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お見合いが終わってからすぐに、バージニア家から正式な交際の申し込みが来た。
交際の申し込み…
なんだかピンと来なかった。
どうしよう。
そう考えながらロマンス小説を読みながらクリストファー王子からもらったチョコレートを食べていた。
午後からセレーナ、キャサリン、キャメロンとお茶会だった。忘れてた…
そろそろ準備しないといけないかな?と考えて本を閉じた。
「ねぇ、テーブルの上の箱のお菓子をお茶会に出す準備をしてくれない?」
「わかりました。任務の日はいつもお菓子を持って帰って来ますが、その量が回を重ねる度に増えているような気がするんですが…。これもそのお菓子ですよね?
…リリアンナ様?なんか今日は元気がありませんね」
と、ハルはリリアンナのためにお茶を入れる。
「ハル…。バージニア家から正式に交際の申し込みが来たの。」
「ええ。知っております。使用人一同嬉しく思っておりますよ。でも、お嬢様は…嬉しくないのですか?」
「…うーん。…よくわからないの。ハルの恋バナは聞いたことがないけど、ハルはお付き合いしたことある?」
「…ありますよ。庶民は貴族社会と違って何もかも自由ですから…ただし、財産も将来の保証もないので、結婚となるとまた違う話ですけどね。
お嬢様の場合は、簡単にお付き合いしてダメなら別れるなんていかないですから。お返事したら、婚約者にはまだなりませんが、結婚を前提にした交際になりますしね。
難しいですね」
「…やっぱり決められないわ…」
「そんな決められないお嬢様にお手紙ですよ」
ハルに渡されたのは魔法便だった。
中を見たリリアンナは固まった。
「どうされたのですか?お嬢様。」
「王弟殿下とクリス殿下からのピクニックのお誘い…日付は次の日曜日。この前のお見合い、クリス殿下が同席したのよ?一体何なのかしら?この人たち噂では忙しいと聞いていたのに暇なのかしら?」
ハルは何となく察したが答えなかった。
その日の午後、
いつもの3人が遊びに来た。
「いつ来ても、ラテイン公爵家はクラッシックで素敵よね。領地のお屋敷の作りが全部大理石なのも素晴らしいけど、このクラッシックな町屋敷もいいわ」
セレーナは古い建物が大好きで、いつもラテイン家を珍しそうに眺める。
セレーナの領地では林業か盛んで、役所や協会などを建てる時の骨組みは、セレーナの領地の木材が一番だ。
「ラテイン家は建国からの名家ですものね。さすが!」
「いつもはお庭でお茶会をしていたけど、今日は図書室にしようと思うの。いいかしら?」
図書室は屋敷の一番奥にあり、ここは立ち聞きされる恐れがない。使用人を信用しているけれど、誰にも聞かれたくなかった。
「なんて素敵な部屋なの?この部屋でお茶会をしてもいいのかしら」
セレーナが嬉しそうに答えた。
「みんなに相談したいことがあるの」
そう言うとリリアンナはバージニア家から届いた交際の申し込みの手紙を見せた。
「リリー!やったわね?いつのまにあなた!」
とキャサリン
「一昨日の日曜日にお見合いをしたの」
「え〜!何で教えてくれなかったの??」
「うーん。先週、王妃様のお茶会があったでしょ?あの前日、お見合いが決まったの。でもお茶会、バタバタしてその後、みんな忙しそうで…」
お茶会の前にクリストファーから呼ばれて、そのせいで混乱して、うっかりみんなに言うのを忘れたとは言えないリリアンナ。
「で、お見合いはどうだったの?」
お見合いが始まる前に王弟殿下が来て、ブルーム様とお仕事の話をして去って行ったせいで微妙な雰囲気で始まった事。
しかもクリストファー王子が同席して全く質問やお話ができなかった事を話した。
話の途中、きゃー!
とか、まぁ!
とか3人は驚きながら聞いた。
「で。王弟殿下は仕事の話しかしていないから…邪魔しに来たわけではないのかしら?
そしてなんで第一王子のクリストファー殿下が同席していたの?」
「よくわからないの」
とリリアンナ。
「リリー?もしかしてあなた、第一王子様とあの夜会の後も会ったの?」
任務で会っているとは言えないので、リリアンナは
曖昧な態度を取った
「会ったのね!どこでどこで?」
「王妃様のお茶会の前に温室で…」
「その時なんて言われたの??」
3人は目をキラキラさせていた。
女子はみんな人の恋バナが大好物!
「お見合いをここの温室でしろと…」
「まぁ!第一王子がお見合いの場所を決めたのね。はじめに場所を聞いた時、おかしいと思ったのよ」
「そして第一王子が同席したと!」
「これはもう、アレね?」
3人は目を見合わせて笑っていた。
「アレって何よ?」
「それはリリーが自分で気づかないとね」
リリーは困った顔をして、次の手紙を出した。
「今日、これが届いたの」
中を見た3人は、満面の笑みになり
「やっぱりアレね」
「本当アレよ」
「王弟殿下は女性慣れしてそうだから、もっとテンポ良く進めそうなのに。」
「王弟殿下ともなれば相手に事かかないから、この手のタイプをはじめて見たとか」
「面白い事になってきたわー。挙手制にします。」
とキャメロンがいい
「王弟殿下」
キャメロンとキャサリンが手を上げた。
「第一王子」
セレーナが手を上げた。
壁際に控えていたハルも手を上げたのをキャメロンは見逃さなかった。
「ブルーム様」
誰も手を上げなかった
「2対2ね!」
「ハル、いつも侍女としての役割に徹底しているプロフェッショナルなあなたが手をあげるなんて!」
とキャメロン。
「申し訳ございません。思わず手が出てしまったのです」
3人のお嬢様は盛り上がった!
「いいのよいいのよ!もう何か知っているんでしょ?話してよ」
ハルはチラッとリリアンナを見ると
「王妃様のお茶会から帰ってきたリリアンナ様は、御髪にガーベラを刺しておかえりになりました」
「確かに、あの日のお茶会ではリリアンナは素敵なガーベラを髪飾りにしていたわ」
「ええ!素敵なピンクのガーベラ。みんなで揃えたドレスによくあっていて、みんなあのガーベラにうっとりしたわ」
「それが??」
「ラテイン家の街屋敷はバラ屋敷でございますので他のお花はございません」
「あっ!そう言うことね。だから第一王子なんだわ」
リリアンナはよくわからなかった。
「そういえばセレーナ、私に聞きたいことがあるって言ってたけど?」
とリリアンナ。
「もういいの。なんとなく解決したわ」
「なんとなくって何?」
「最近、たまに講義を休むじゃない?
そしてその貴族の令嬢らしからぬ素朴なネックレス、何人かに見られていたけど乗合馬車にコソコソ乗ったり、かと思えば王弟殿下と夜会に参加したり。
リリアンナの恋のお相手は、公にできない、でも地位のあるお方…例えば隣国の王族とか?ってね。」
「何でそうなるのよ?」
「そのネックレス、素朴だけど石は高級品なのは見ればわかるもの。
それに悪い虫がつかないように依頼された王弟殿下が守ってるんじゃないかって。
ほら、王弟殿下は外交官として優れていて他国を行き来してるじゃない?隣国の王族からの依頼なら、王弟殿下自らが動いても不思議じゃないもの」
「だからって何で隣国なの?」
「隣国は側室を設ける風習があるじゃない?一昨年、隣国の王様が正室様を迎え入れたから、我が国から側室様を、となったらリリーが適任だもの。
学園じゃ噂になってるわよ?
でもお見合いの話を聞いて、それはないか。と思ったのよ」
とセレーナはお菓子を食べながら答えた。
「さっきから気になってたんだけど、今日のお茶会のお菓子すごいわ!!
ドランバリュの新作お菓子それと、食べたことのないお菓子ばかりじゃない?」
「最近お裾分けしてくれるお菓子が、見たことのないお菓子ばかりよ!」
「これも、他国へ嫁ぐんじゃないかって噂の一つなのよ」
「え?何で???」
とリリアンナ。
「リリー、あなた講義が終わるといつもお菓子を食べるでしょ?最近あなたが持っているお菓子、誰も見たことのないお菓子だもの」
「この間持っていたドランバリュの箱に入った綺麗なラズベリー色のチョコレート!あれを見た何人かがドランバリュに買いに行ったんだけどね…特注のお菓子だからって販売をお断りされたのよ」
「え?何で?私が持っているお菓子をみんな知っているの?」
「リリーはお菓子が…食べることがすきでしょ?リリーはいつも最新のお菓子を食べているのよ。だから、お茶会を開く時は、皆、リリーが学園で食べているお菓子を参考にするわけ」
「そ、そ、そんなに見られていたのね。私が講義が終わるたびにお菓子を食べてるのなんて、誰も気にしていないと思ってた」
リリアンナは恥ずかしくなって赤くなった。
「リリーは名家のお嬢様なのよ?当然じゃない」
「で、どこで買っているの?他国からお取り寄せしているとか?」
「…これは…ある料理人の、手作りなの。だから…売ってないの。レシピをお願いしたらもらえるかもしれないけど…期待しないでね?」
「手作りって!もしかして…その人がリリーの本命?」
キャサリンは聞いた。
「…本命?…」
リリアンナには通じなかった。
「4人目出てきた!」
と3人のお嬢様は嬉しそうに笑っていた。
リリアンナだけがよくわからず首を傾げていた。
お嬢様方の尽きない話を聞きながらハルは、リリアンナ様の趣味ってロマンス小説なはずなんだけどな。何でこんなに鈍いのかな?と考えていた




