二十一、<回想>小さな兄妹の会話
この兄妹の兄は動物好きで、いろんな動物を手なづけることが得意です。
「そろそろ縞玉大哥は着いたかな?」
木の根元に寝そべっている海青玉が誰にともなく呟く。久しぶりに妹と湖畔に佇んでいた。
「叔瑤叔母様はお元気かしら…」
海叔瑤が海邑を離れたのは数年前のことである。丁度虎玉が成体となる頃で、護衛をかねて虎玉を連れて行ってくれるよう叔母に願い出たことを、二人は昨日の事のように良く憶えていた。
「虎玉もきっと大きくなったろうな」
声に出したのはそれだけだが、すぐ隣に居る兄が同じことを考えていることに気付き、少女はほんの少し幸福な気分に満たされた。
「淋しい? 三哥」
覗きこむと、少し目を見張った青玉の顔が見える。
「……まあ、な。紅玉もだろ?」
同意を示すように微笑む。少年は目を閉じた。白く雪を被った山が微笑む顔の向こうに見えて、少し目に眩しかったからかも知れない。湖を渡る風がその裾を軽く持ち上げて、揺らめかせる。少女は茶色の双眸を兄に向け、両手の指を軽く組んでそっと唇にあて、軽く首を傾けた。
虎玉は人間ではなく、虎です。
たまたまこの兄妹が密猟者に殺されたらしい虎の巣で子虎に遭遇したのですが、元々とても賢かったので、番虎として可愛がっておりました。
成体になる頃には海邑から遠ざかった元の巣のあたりに放す予定でしたが、叔瑤が邑を離れるときに護衛代わりに連れていったことがもとで、現在も叔瑤のもとにいます。




