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平和的解決

ノヴァはふわりと降りてきた。

みんなを見る。

一言。


「つづき、おふろ」


フィリアが頷く。


「最優先事項」


ゼルクが笑う。


「異論なし」


その時、遠くで地面が揺れた。

レナが青ざめる。


「……今の、戻ってきてない?」


歓声に包まれる温泉街。

灼天王バルガノスは彼方へ吹き飛び、平和が戻った――

はずだった。

どん。

遠くの山脈が揺れる。

どどん。

さらに近づく地響き。

レナの笑顔が引きつる。


「……戻ってきてるわね」


ゼルクが空を見上げる。


「しかも速い」


次の瞬間。

遥か彼方の山を突き破り、巨大な火の玉が一直線に飛んできた。

灼天王バルガノス。

全身を燃やしながら、転がる隕石のような勢い。

宿の主人が悲鳴を上げる。


「怒り狂って転がってきたぁぁ!」


フィリアが冷静に言う。


「移動方法が雑」


バルガノスは温泉街の手前で急停止……できず、

そのまま露天風呂群へ突っ込んだ。

どごぉぉぉん!!

湯けむり大爆発。

岩風呂が舞う。

桶が飛ぶ。

温泉卵が空へ散る。

レナが絶叫した。


「お風呂ぉぉぉ!!」


ノヴァの目が据わる。


「……こわした」


ゼルクが一歩下がる。


「まずい」


ノヴァは静かに前へ出る。

白金の翼がふわりと広がる。

空気がぴんと張り詰める。

いつもより怖い。

フィリアが分析する。


「世界の危機より怒ってる」


レナが頷く。


「娯楽は大事だからね」


瓦礫の中からバルガノスが起き上がる。

咆哮しながら地面を叩く。

宿の主人が通訳した。


「えーと……」

「“子どもをいじめるな、あと自分の縄張りだ”と言ってます」


レナがびっくりする。


「通訳できるの!?」

「長年の付き合いで……」


ノヴァは少し考えた。

そしてガルドンを見る。

先ほどの小型灼岩獣は、父の後ろでしょんぼりしていた。

ノヴァが近づく。

ガルドン、びくっとする。


「いたく、した?」


ガルドンは首を横に振る。


「がお……」

「びっくり、しただけ?」


こくこく。

レナが感心する。


「ノヴァのほうが通じてる」


ノヴァはバルガノスを見上げる。


「なら、けんか、おわり」


火山王は唸る。

だが納得していない。

ノヴァは少し考えて、街の壊れた露天風呂を指差した。


「なおして」


沈黙。

バルガノスが首を傾げる。


「なおして、おわり」


フィリアが頷く。


「合理的」



数十分後。

温泉街では信じられない光景が広がっていた。

灼天王バルガノスが巨大な爪で岩を積む。

ガルドンが溶岩で岩を接着する。

ゼルクが空輸担当。

白ぽむたちが小石運搬。

レナは指示係。


「そこもう少し左!」


フィリアは設計図を書いている。

ノヴァは足湯で見守っていた。


「いいかんじ」



翌朝。

壊れた温泉街は以前より豪華に再建された。

巨大露天風呂。

溶岩サウナ。

火山王足湯。

観光客が殺到する。


「すげぇ!」

「火山王が湯温調整してる!」


宿の主人は嬉し泣きしていた。


「過去最高売上です……!」


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