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子:灼岩獣ガルドン 親:灼天王バルガノス


だが平和は長く続かない。

夜。

街全体が揺れた。

どごぉん!!

露天風呂の湯面が跳ねる。

レナが立ち上がる。


「今度は何!?」


外から悲鳴。


「火山が暴れてるぞー!」

「また出た!」


フィリアが眉をひそめる。


「また?」


街の外。

火口から巨大な影が這い出ていた。

全身が黒い岩。

体内に溶岩が流れる獣。

角から煙を噴き、目は真紅。

歩くたび地面が割れる。

人々は逃げ惑う。

宿の主人が叫ぶ。


「あれは!灼岩獣ガルドン」

「百年に一度、温泉街を壊しに来る災害だ!」


レナがツッコむ。


「定期イベントみたいに言うな!」


ノヴァは濡れた髪のまま立っていた。

湯上がり姿。

肩にはタオル。

瞳だけが真剣だった。


「……おふろ、じゃまされた」


ゼルクが遠くから笑う。


「終わったな、あの獣」


ノヴァはそのまま飛び上がる。

白金の翼が夜空に広がる。

タオルは落ちた。

レナが拾って叫ぶ。


「あとで返す!」


灼岩獣ガルドンが咆哮し、溶岩弾を吐く。

ノヴァは空中で片手を出した。


「だめ」


溶岩弾、停止。

くるりと反転。

ガルドンの顔面へ直撃。

どごぉん!!

獣がよろめく。

人々が叫ぶ。


「すげぇ!」

「湯上がりの英雄だ!」

「タオルの子つよい!」


レナが笑う。


「新しい二つ名ついたわよ」


フィリアは冷静だった。


「語感は微妙」


しかしその時。

火口の奥から、もう一つの咆哮。

地面がさらに揺れる。

宿の主人が青ざめた。


「ま、まさか……」

「親玉だ……!」


火山が割れ、巨大な金色の角が姿を現した。

ゼルクがため息をつく。


「また親世代か」


ノヴァは空中で振り返り、小さく言った。


「つぎ、でかいの」


火山口が裂け、溶岩の海から現れた金色の角。

続いて頭部。

さらに肩。

さらに胴体。

姿を現したのは、山そのもののような巨獣だった。

全身は赤黒い岩盤。

裂け目から金色の溶岩が流れ、背には火山群のような突起。

二本の黄金角が夜空を貫く。

宿の主人が膝から崩れ落ちた。


「灼天王……バルガノス……」

「伝説の火山王だ……!」


レナが顔を引きつらせる。


「温泉地、イベント濃すぎない?」


先ほど吹き飛ばされた灼岩獣ガルドンが、巨獣の足元へ這って戻る。

バルガノスが低く唸る。

その声だけで温泉街の窓ガラスが震えた。

まるで言っている。

我が子に何をした。

ゼルクが腕を組む。


「やはり親世代」


フィリアは無表情で頷く。


「いつもの流れ」


空中に浮かぶノヴァ。

湯上がりで髪はまだ少し濡れている。

彼女は巨大な火山王を見下ろし、小さく言った。


「おふろ、こわす」


少し間を置いて。


「だめ」


レナが笑う。


「理由が一貫してる」


バルガノスが咆哮。

火口すべてが噴火した。

空を埋める溶岩弾。

一つ一つが家ほどの大きさ。

街へ降り注ぐ。

フィリアが杖を構える。


「防ぐ」


ゼルクも翼を広げる。


「我も出るぞ」


だがノヴァが片手を上げた。


「へいき」


溶岩弾が街の上空で止まる。

数百個。

赤く輝く流星群が静止したようだった。

人々が息を呑む。

ノヴァは指をくるりと回す。

全部の溶岩弾が向きを変える。

レナが口を開ける。


「えげつな」


次の瞬間。

溶岩弾は一斉に火山王へ戻った。

どどどどどどぉぉん!!

爆炎が山肌を覆う。

煙の中から、バルガノスが姿を現す。

傷はある。

だが倒れない。

むしろ身体の亀裂がさらに光り、熱量が増していく。

宿の主人が叫ぶ。


「まずい! 怒ると第二形態になる!」


レナが即座に突っ込む。


「なんで詳しいのよ!」


バルガノスの背中が割れた。

中から巨大な溶岩翼が展開される。

翼を一振りするだけで、街の屋根が吹き飛ぶ。

ゼルクが顔をしかめる。


「空まで取るか」


ノヴァは少し嬉しそうだった。


「とぶ、おおきい」


フィリアが分析する。


「楽しんでる」


火山王が飛び上がる。

山が宙に浮いたような迫力。

ノヴァも白金の翼で上昇。

夜空の中央。

小さな少女と山の王が向かい合う。

静寂。

レナがつぶやく。


「サイズ差おかしいでしょ」


バルガノスが拳を振り下ろす。

巨大な岩拳。

ノヴァは避けない。

小さな拳を前に出した。

こつん。

……とても軽い音。

次の瞬間。

火山王の巨体が一直線に吹き飛んだ。

山を三つ貫通し、遥か彼方で爆発した。

数秒後、地平線が赤く光る。

沈黙。



街全体が静まり返る。

やがて誰かが叫んだ。


「勝ったぁぁぁ!!」


歓声が爆発する。

宿の主人は泣いていた。


「百年の悩みが一瞬で……!」


レナは肩をすくめる。


「いつも通り」


お風呂上がりのノヴァはちゃんと服を着てますよ?さすがに服着てないわけじゃないよ?


それから溶岩弾を跳ね返したのはいつぞの戦いのときに使っていた因果反転です。黄金のノヴァの時ですね。詳しくはエピソード61をご覧ください。そこで使ってるので

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