表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
82/113

82話 黒天崩槍


空の悪魔兵たちは笑った。


「なんだあの丸いのは!」

「毛玉で戦う気か!」

「終わってる王都だ!」


白ぽむが少し傷ついた顔をした。

ノヴァの耳がぴくりと動く。

ゼルクの目が細くなる。

レナが低く言う。


「……あ、言っちゃった」


次の瞬間。

黄ぴむが跳ねた。

光の弾丸となって悪魔兵を十体まとめて吹き飛ばす。


「ぎゃああ!」


青ぷむの水流が空へ昇り、翼を濡らして墜落させる。

赤ぼむの熱風で槍が真っ赤に焼ける。

白ぽむは突進し、悪魔兵の列をまとめてもふんと跳ね飛ばした。

レナが叫ぶ。


「毛玉つよ!!」


空の中心。

ルシエラがノヴァを見下ろす。


「……その白き獣」

「面白い。私が直々に殺してやろう」


黒槍が振り下ろされる。

ノヴァは真正面から跳んだ。

白い閃光と黒い雷が激突する。

衝撃波で雲が裂ける。

ゼルクが笑う。


「いいぞ、白いの!」


しかしその時。

空の亀裂の奥から、さらに巨大な影が動いた。

兵士が震える声で叫ぶ。


「ま、まだ何か来る……!」


ルシエラが不敵に笑う。


「本隊到着だ」


黒い門がゆっくり開き始めた。

王都全体が闇に包まれていく。



王都アルセリア。

空の裂け目から現れた悪魔軍本隊。

数は先ほどの比ではなかった。

黒い翼が空を覆い、昼が夜になる。

槍の雨。

呪術の嵐。

黒雷の連撃。

王都は戦場へ変わった。



レナは剣を振るい、悪魔兵を次々となぎ倒す。


「まだまだぁ!」


フィリアは氷壁を何重にも張り、人々を守る。


「下がって」


ゼルクは空へ舞い、黒雷で敵陣を裂く。


「雑兵どもが!」


白ぽむたちは連携し、街路を守った。

白ぽむの突進。

赤ぼむの熱風。

青ぷむの水障壁。

黄ぴむの閃光。

ノヴァも空を駆け、悪魔兵を撃ち落としていく。

だが――

敵が多すぎた。



空高く、ルシエラが笑う。


「よく粘った」

「だが終わりだ」


彼女の背後に、巨大な魔法陣が展開される。

幾重もの黒輪。

王都全域を覆うほどの大きさ。

フィリアが顔色を変えた。


「まずい」


レナが叫ぶ。


「全員、防御――!」


遅かった。



ルシエラの槍が振り下ろされる。

空から無数の黒槍が降った。


――黒天崩槍——


城壁を砕き、塔を折り、広場を抉る。

轟音。

悲鳴。

土煙。

王都が揺れた。


仲間たちの倒壊

レナは人々を庇い、背中に直撃を受ける。


「っ……まだ……!」


膝をつき、剣を杖にして立とうとするが、血を吐いて倒れた。

フィリアは最後まで氷壁を張り続けた。

だが黒槍が壁ごと貫く。


「ノヴァ……逃げ……」


言い切る前に崩れ落ちた。

ゼルクは空で迎え撃つ。


「舐めるなぁぁ!」


だが六翼を貫かれ、地へ墜落する。

広場に激突し、動かない。

白ぽむはノヴァを守ろうと飛び出し、吹き飛ばされた。

赤ぼむは炎を纏いながら倒れた。

青ぷむの水は血に混じる。

黄ぴむの光も消える。



煙が晴れる。

王都中央広場。

瓦礫の中。

倒れた仲間たち。

うめき声すら弱い。

立っている者は一人だけだった。


ノヴァ。


純白の毛並みは煤で汚れ、息も荒い。

だが倒れていない。

ルシエラが空から見下ろす。


「ほう」

「貴様だけは少し違うらしい」


ノヴァは動かなかった。

レナを見る。

フィリアを見る。

ゼルクを見る。

毛玉たちを見る。

みんな倒れている。

みんな、自分を守ろうとして傷ついた。

耳がゆっくり立つ。

瞳の奥で、白い光が燃え始める。


「その小さな体で何ができる?」

「一匹で、この軍勢に抗うと?」


悪魔たちが笑う。

空一面の嘲笑。

その時。

ノヴァの足元の石畳が、音もなく砕けた。

ぱき。

ぱきぱき。

白い魔力が地面を走る。

風が逆巻く。

ルシエラの笑みが止まる。



ノヴァは小さく吠えた。

その声は低く、王都全体へ響いた。

倒れていたゼルクが薄く目を開ける。


「……白いの……?」


フィリアもかすかに呟く。


「怒った」


レナは血だらけのまま笑う。


「……やっちゃいなさい」


ノヴァの背から、今までにない巨大な光翼が生え始めた。

王都を照らすほどの、神々しい白金の翼だった。



王都アルセリア。

瓦礫の広場。

倒れた仲間たち。

空を埋める悪魔軍。

そして中心に立つノヴァ。

その背から伸びた白金の翼は、さらに大きく広がっていった。

光が空を貫く。

悪魔たちが目を細め、ルシエラさえ顔をしかめる。


「……何だ、その力は」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ