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78話 黄色いモフモフ


その時、見張り兵が塔から叫んだ。


「報告!」

「海の向こうから、巨大な黄色い毛玉を確認!」




王都アルセリア。

南門広場。

白ぽむ。

赤ぼむ。

青ぷむ。

その中心で眠るノヴァ。

横で濡れているゼルク。

そこへ見張り兵の叫び。


「海の向こうから巨大な黄色い毛玉接近!」


レナは真顔になった。


「……来るなら陸路にして」


フィリアは静かに補足した。


「無茶を言う」



数十分後。

一行は王都の港へ移動していた。

ぽむ族三体は転がって移動。

ごろごろごろ。

街の石畳が少し削れた。

ノヴァは白ぽむの上で揺られながら移動。

完全にVIP待遇である。

ゼルクは飛びながら叫ぶ。


「誰か我にも乗り物を用意しろ!」


レナが見上げる。


「翼あるでしょ」


港に着くと、海面がきらきらと光っていた。

波が左右に割れる。

船乗りたちがざわめく。


「あれを見ろ!」

「太陽が海から来るぞ!」


水平線の向こう。

黄金色の何かが跳ねていた。

一回。

二回。

三回。

ぴょん。

近づくたび、水しぶきが虹になる。

レナが顔をしかめる。


「演出が強い」


次の瞬間。

海から飛び出した。

巨大な黄色い毛玉。

太陽のように明るい毛並み。

丸い体。

尻尾は稲妻型。

空中で一回転し、港の石畳へ華麗に着地。

ぽよん。

衝撃が柔らかい。

口を開く。


「ぴむっ!」


人々は一瞬で集まった。


「黄色かわいい!」

「元気出る色!」

「笑顔になれる!」


ぴむはその場でぴょんぴょん跳ねる。

跳ねるたび、周囲に小さな光の粒が舞う。

子どもたち大歓声。

ゼルクが震える。


「我の8%が……!」


フィリアは冷静。


「消えるかも」


白ぽむ。

赤ぼむ。

青ぷむ。

黄ぴむ。

四体が港で向かい合う。


「ぽむ」

「ぼむ」

「ぷむ」

「ぴむ」


真剣な空気。

レナが息を呑む。


「ついに何か起こる……!」


数秒後。

四体同時に跳ねた。

もふん!!!

巨大な団子になった。

レナが膝から崩れ落ちる。


「またそれぇぇ!!」


ノヴァは迷わず頂上へ登った。

白赤青黄の巨大もふもふ山。

その頂点で丸くなる。

風が吹く。

夕日が差す。

王者の風格だった。

フィリアが静かに言う。


「毛玉王」


ゼルクは空へ飛び上がった。


「見ていろ!」

「我はこの山の頂を奪う!」


急降下。

黒い流星となって頂上へ突っ込む。

あと少し。

その瞬間。

四体が同時に弾んだ。

ぽよん。

ゼルクは上空へ打ち返された。


「ぬおおおお!?」


そのまま港の鐘楼に刺さった。

ごーん……。

鐘が鳴る。


夕方、掲示板更新。

第一位:ノヴァ&ぽむ族(連合)97%

第二位:ゼルク(鐘)3%

ゼルクが鐘楼から叫ぶ。


「鐘って何だぁぁぁ!!」



その夜。

ノヴァは毛玉連合の上で眠っていた。

白の柔らかさ。

赤の暖かさ。

青の涼しさ。

黄の弾力。

完璧だった。

レナは遠くから見て呟く。


「……あいつ、人生上がってない?」


フィリアは頷く。


「上がってる」




夜の港。

王都アルセリアは静まり返っていた。

白ぽむ。

赤ぼむ。

青ぷむ。

黄ぴむ。

四体の毛玉連合の上で、ノヴァは気持ちよさそうに眠っている。

鐘楼に刺さったゼルクだけが、沖合の黒い霧を見つめていた。


「……嫌な気配だ」


レナとフィリアも駆けつける。

海風が冷たく変わっていた。


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