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44話 第四観測者 討伐


赤塔の光が一気に増した。

街のあちこちで悲鳴。

窓辺で倒れる人影。

レナが振り向く。


「住民から直接吸ってる!」


フィリアの顔色が変わる。


「まずい」


セラフィムは腕を広げる。


「この都市ごと壊し尽くす」


塔の先端に、巨大な赤い球体が形成される。

殺す気だ。

王都ごと。

ノヴァは球体を見る。

次に塔を見る。

次にセラフィムを見る。

攻撃。

供給源。

制御者。

三つある。

全部壊せばいい。

単純だった。

ノヴァは静かにその場へ座る。

レナが察して叫ぶ。


「来たわね大技!」


フィリアも即座に周囲へ防壁を重ねる。


「広場から離れて!」


パウはノヴァの横にちょこんと座った。


「ぱう!」


応援席である。


空はまだ昼だった。

なのに星が見えた。

白い点が、王都の上空に一つ。二つ。十。百。

市民たちが窓から見上げる。

誰かが呟く。


「また、あの白い狼……」


セラフィムの声に初めて焦りが混じる。


「まさか、この都市で――」


フィリアが冷たく言う。


「遅い」


ノヴァが咆哮した。

白い流星群が、赤塔へ向けて落ち始める。



――メテオ・ノヴァ:精密照準型——



白い星々が昼の空を裂いて落ちる。

王都アルセリアの人々は、窓辺や路地裏からその光景を見上げていた。

恐怖で閉ざされていた街に、初めて希望のざわめきが走る。


「来た……!」

「白い狼だ!」

「助けてくれる!」


赤塔の頂点で、セラフィムが叫ぶ。


「防御展開!」


六枚の翼刃が広がり、巨大な赤い結界が塔を包む。

だが遅い。

最初の流星が着弾した。

どごん!!

塔の上部だけを正確に砕く。

続いて二発、三発。

周囲の建物には一切触れず、赤塔の構造部分だけが次々と爆砕されていく。

レナが口を開けた。


「精密になってる!?」


フィリアは少し誇らしげだった。


「成長した」


ノヴァは真顔だった。

前に雑と言われたのを覚えている。

赤塔が崩れる。

供給を断たれたセラフィムの翼刃が明滅し、空中でバランスを失った。


「ありえない……!」


レナが見逃さない。


「あるのよ、現実に!」


跳躍。

空中で回転し、全体重を乗せた一撃を叩き込む。

剣がセラフィムの胸部を裂く。

観測者は地上へ落下した。

石畳に激突。

広場が揺れる。

仮面は半分砕けていた。

その下の顔は、人間に似ている。

だが目だけが深い赤。

セラフィムは笑っていた。


「なるほど……君たちは、予測外だ」

「だから価値がある」


ノヴァが近づく。

ゆっくり。

セラフィムはその小さな姿を見上げた。


「白き核よ」

「次は第三観測者が来る」

「彼は、私などより遥かに――」


ぺし。

ノヴァの肉球が額に触れる。

言葉はそこで終わった。

白い亀裂が走り、セラフィムの体は音もなく崩れ、赤い砂となって風に散った。


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