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40話 観測者の鎧


その夜。

丘の上から、遠くに王都アルセリアが見えた。

巨大な城壁。

無数の灯り。

栄えた街。

そしてその中心から、空へ伸びる一本の赤い塔。

光でできた柱が、雲を貫いている。

レナが息を呑む。


「……でかい」


フィリアは呟く。


「もう始まってる」


ノヴァは立ち上がった。

街を見つめる瞳が、静かに光る。

今度の戦場は、王都だった。

丘の上から見下ろす王都アルセリア。

夜の街は本来なら賑やかなはずだった。

だが今は違う。

城壁の門は閉ざされ、通りの灯りはまばら。

広場には人影がなく、鐘の音も聞こえない。

そして街の中心。

王城のさらに奥から、赤い塔が空へ伸びていた。

光でできた柱。

脈打つように明滅し、雲を赤く染めている。

レナが腕をさする。


「見てるだけで嫌な感じする……」


フィリアは頷く。


「魔力を吸ってる」

「街全体から」


ノヴァの耳が立つ。

それはつまり、人々が弱っているということだった。



三人と一匹は王都へ近づく。

門前には衛兵たちが倒れていた。

傷はない。

ただ眠るように意識を失っている。

レナが確認する。


「生きてる」


フィリアが門に触れる。

巨大な鉄扉には赤い紋様が走っていた。


「封印式」

「中から閉じられてる」


レナがノヴァを見る。


「……お願いしていい?」


ノヴァは前へ出た。

ぺし。

鉄扉の中心に肉球。

一秒沈黙。

次の瞬間、赤い紋様だけが砕け散り、扉がひとりでに開いた。

レナが首を振る。


「便利なんだか何なんだか」


中へ入る。

王都の大通りは静かだった。

露店は閉まり、荷車は放置され、窓には灯りがない。

だが人気がないわけではない。

家々の中から気配はある。

みな息を潜め、外へ出られずにいる。

パウが小さく鳴く。


「ぱう……」


ノヴァも鼻を鳴らした。

怖がっている匂いがする。



広場へ差しかかった時だった。

石畳に赤い円陣が浮かび上がる。

そこから人型の影が立ち上がった。

十体。二十体。三十体。

鎧姿。

だが中身は空洞で、目だけが赤く燃えている。

レナが剣を抜く。

「今度は鎧の幽霊!?」

フィリアは冷静だった。

「器だけ動かしてる」

「中身なし」

ノヴァは少し安心した。

人間ではない。

遠慮不要。



鎧兵たちが一斉に突進する。

ノヴァが前へ。

石畳を蹴り、最前列の脚へ滑り込む。

ぺし、ぺし、ぺし。

三体まとめて膝関節だけ砕け、前のめりに転倒。

レナがその上を跳び越え、峰打ちで兜を次々弾き飛ばす。

フィリアは後方へ氷壁を展開し、脇道から回り込む敵を封じる。

パウは応援に徹している


「パウ!」

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