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38話 守護兵

翌朝。

ノヴァは完全復活していた。

雪原を走り、パウを追いかけ、朝食を二回食べている。

レナは呆れる。


「回復力どうなってるのよ……」


フィリアは真面目に記録していた。


「食事量に比例してる可能性」

「研究しなくていいのよ」


その時。

宮殿全体が揺れた。

どん。

天井から雪が落ちる。

レナが固まる。


「……また?」


どん。

どん。

規則的な振動。

外からだった。

三人と一匹が外へ飛び出す。

雪原の向こうから、何かが歩いてくる。

一歩ごとに地面が揺れる。

白い巨体。

人型。

だが全高は城の塔ほどある。

全身が氷岩でできた、巨大なゴーレムだった。

肩には古い紋章。

胸には青い核。

レナが見上げる。


「今度はでかいの来た!」


フィリアの目が少し見開かれる。


「……守護兵」

「まだ残ってたんだ」


守護兵は低い音を発した。

ごごご……。

胸の核が点灯する。


「侵入者確認」

「識別不能個体複数」

「排除開始」


レナが指さす。


「住人いる!住人ここ!」


守護兵は無視した。

巨大な拳を振り上げる。

ノヴァは思った。

最近、説明を聞かない相手が多い。



拳が落ちる。

ノヴァが跳び、フィリアが氷壁を張り、レナがパウを抱えて退避する。

どごぉん!

雪原に巨大な穴。

宮殿の一角まで揺れる。

レナが叫ぶ。


「家壊される!!」


フィリアの目が冷たくなる。


「それは許さない」


彼女の周囲に蒼い冷気が渦巻いた。

フィリアが両手を突き出す。

地面から氷柱が百本突き上がる。

守護兵の脚を拘束。

さらに肩、腕、首へ絡みつき、巨大な体を止める。

守護兵が唸る。


「抵抗確認」

「危険度上昇」


胸部の核が赤へ変わる。

レナが嫌な顔をする。


「色変わるやつ、だいたい危ない!」


守護兵の胸部装甲が開き、極太の光線が溜まり始める。

ノヴァは前へ出た。

フィリアが叫ぶ。

「待って、それは――」

ノヴァ、助走。

全力跳躍。

そして胸部の砲口へ、前足を突っ込んだ。

ぺし。

内部で何かが狂った。

守護兵の目が点滅する。


「エラー」

「エラー」

「干渉、想定外」


次の瞬間。

自分の砲口から逆流した光で、守護兵は上半身ごと吹き飛んだ。

レナは膝から崩れ落ちた。


「もう何でもありじゃない……」


残った下半身が倒れ、胸部核だけが雪原へ転がる。

青く淡く光っている。

パウが近づく。


「ぱう?」


ころころ。

核を転がして遊び始めた。

フィリアが慌てる。


「それ動力源!」


レナが笑う。


「新しいおもちゃ認定されたわね」


ノヴァは核を見ていた。

その光。

どこか、門の向こうの力に似ていた。

少しだけ、嫌な予感がした。


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