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143/144

143話 嫌な予感…………?

ノヴァは胸を張る。


「かった」


アルヴェリアが頭を撫でる。


『よくできました』


ノヴァの翼がぱたぱた揺れる。

さっきまでの絶望顔は消えていた。

その時、森の奥から、地面を揺らす足音。

ずしん。

ずしん。

巨大な影が近づく。

レナが青ざめる。


「え、今度は何!?」


フィリアが警戒する。


「大型反応、接近」


ノヴァの目が一気に輝いた。


「……たたかい?」


ゼルクが笑う。


「宿題のご褒美かもしれんな」


木々を押しのけ、現れたのは――

巨大な石像の兵士。

胸に文字が刻まれていた。

“算数補習担当”

ノヴァの笑顔が消えた。

巨大な石像兵士――“算数補習担当”。

胸の文字が夕日に照らされ、不気味に輝いていた。

ノヴァの笑顔は完全に消えている。

翼がぶわっと広がる。

空気が震えた。

レナが一歩下がる。


「まずい、これは本気で怒ってる!」


フィリアが淡々と分析する。


「感情出力、過去最高水準」


ゼルクは楽しそうに笑う。


「ついに勉強が逆鱗に触れたか」


ノヴァは拳を握りしめ、石像兵士を指差した。


「……けす」


地面にひびが入る。


「ころす」


風が逆巻く。


「きえろぉぉぉ!!」


森中の鳥が飛び立った。

レナが叫ぶ。


「語彙が全部物騒!!」


石像兵士は無機質な声で告げる。


『落ち着きなさい』

『本日の内容は、たし算復習です』


ノヴァ、さらに怒る。


「やだぁぁぁ!!」


白金の光が爆発した。

ノヴァは一瞬で距離を詰める。

拳を振りかぶる。


「――スーパーノヴァ・インパ……」


レナが顔を覆う。


「森が終わる!!」


だがその瞬間。

アルヴェリアがすっと前に出た。

前足で、ぽん。

ノヴァの額を軽く押さえる。

勢いが止まる。


「……あれ?」


アルヴェリアは静かに告げた。


『言葉は選びなさい』

『相手は敵ではなく、教師だ』


ノヴァはむくれる。


「きょうし、てき」


レナが吹き出す。


「その気持ちは少し分かる!」


賢者グラン・テスタがいつの間にか現れ、咳払いした。


『聞こえておるぞ』


石像兵士の胸の文字が変わる。

算数補習担当やさしい

さらに手元に小さな板が現れる。


“1+2=?”


全員、沈黙。

フィリアが頷く。


「難度、最低水準」


ゼルクが笑う。


「ここで倒すより答えた方が早いぞ」


ノヴァは石像を睨む。

拳を握る。

答えるか。

殴るか。

長い沈黙の末。


「……3」


板が光る。


『正解』


石像兵士はその場で土下座し、森の奥へ去っていった。

レナが目を見開く。


「答えたら帰るの!?」


ノヴァは呆然としていた。


「……たたかわずに、かった」


ゼルクが腹を抱えて笑う。


「新しい勝ち方を覚えたな!」


アルヴェリアは優しく微笑む。


『それも強さだ』


ノヴァは少し考えてから言った。


「……でも、つぎきたら、なぐる」


次の日の朝。

澄んだ空。

小鳥のさえずり。

穏やかな日差し。

宿屋の一室で、ノヴァは毛布にくるまり幸せそうに眠っていた。


「……すぅ……」


レナは窓を開けながら伸びをする。


「今日は平和に観光でも――」


その時。

床一面に巨大な魔法陣が展開した。

眩い光。

フィリアが即座に反応する。


「転移術式、超高精度」


ゼルクが笑う。


「嫌な予感しかしないな」


エピソード数を合わせるため、明日の朝の話は無しになります。申し訳ありません

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