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144/144

144話 嫌な予感的中


ノヴァは寝ぼけたまま目を開ける。


「……ん?」


次の瞬間。

全員まとめて光に包まれた。

レナが叫ぶ。


「えぇぇぇぇぇ!?」


ノヴァは毛布ごと吸い込まれる。


「やだぁぁぁ!!」


光が消える。

そこは見覚えのある場所。

天井まで続く本棚。

黒板。

机。

知識の間。

中央で腕を組み、待ち構えていたのは――

賢者グラン・テスタ。


『時間通りだな』


レナが即ツッコむ。


「こっちは呼ばれてないです!!」


毛布に包まれたままのノヴァは、数秒固まる。

ゆっくり周囲を見回す。

黒板。

机。

賢者。

現実を理解した。


「……うそ」


その場に崩れ落ちる。


「ゆめであって」


フィリアが淡々と告げる。


「現実です」


賢者は厳かに告げた。


『次は算数だ』


沈黙。

風も止まった気がした。

ノヴァがゆっくり振り向く。


「……きょう、まだつづくの?」


レナが天を仰ぐ。


「二部制だったの!?」


ゼルクが笑う。


「ここから本番らしいぞ」


ノヴァは毛布に潜り込む。


「みえない」

「きこえない」


フィリアが淡々と告げる。


「現実逃避、再発」


アルヴェリアは静かに毛布を少しめくった。


『出なさい』


ノヴァ、しゅん。


「……はい」


黒板に大きく文字が浮かぶ。

“第一問:昨日、何を学んだ?”

全員、止まる。

レナが吹き出す。


「それ算数!?」


賢者は真顔。


『過去の出来事を知る。それも立派な勉強だ』


ゼルクが頷く。


「嫌いじゃない理屈だ」


賢者が指さす。


『ノヴァ、答えよ』


ノヴァは少し考える。


「……つらかった」


レナが崩れ落ちる。


「感想!!」


黒板が一瞬光る。


『半分正解』


フィリアが分析する。


「主観史観」


黒板の文字が変わる。


“7×8はいくつ?”


ノヴァ、顔面蒼白。


「……また、おまえか」


レナが笑いすぎて机を叩く。


「復習だよ!」


ノヴァは立ち上がる。

翼がぶわっと広がる。


「だましたな……!」


賢者は落ち着いて答える。


『歴史とは繰り返すものだ』


ゼルクが腹を抱える。


「名言っぽく言うな!」


ノヴァは黒板を睨みつける。


「……56」


黒板が光る。


『正解』


レナが拍手する。


「記憶してる! えらい!」


ノヴァは少し誇らしげ。


「かけざん、かった」


その瞬間、黒板に次の文字。

“第二章:分数”

ノヴァの笑顔が消えた。

黒板に無慈悲に浮かぶ文字。

“第二章:分数”

ノヴァの誇らしげな笑顔は、一秒で消えた。

目が見開かれる。

翼が逆立つ。


「……え」


レナが小声で言う。


「来るぞ……」


ノヴァは頭を抱え、その場でぐるぐる回り始めた。


「しらない!」


一周。


「しらないしらない!」


二周。


「しらないしらないしらない!!」


三周。

最後に天を仰いで絶叫した。


「うわああああ!!」


教室の窓がびりびり震える。

本棚の本が少し傾く。

レナが腹を抱える。


「パニックの勢いがすごい!」


ノヴァは机の下に潜り込む。


「ここなら、むりょく」


フィリアが覗き込む。


「意味不明です」


ノヴァはさらに奥へ入る。


「わたし、いない」


ゼルクが笑う。


「存在消去に失敗してるな」


足だけ完全に見えていた。

賢者グラン・テスタは杖を鳴らした。

かつん。


『落ち着け』


ノヴァ、机の下から叫ぶ。


「むり!」

『まだ何も始めておらぬ』

「でも、ぶんすう、いる!」


レナが机を叩いて笑う。


「分数への敵意が強すぎる!」


アルヴェリアが静かに近づき、机の下へ手を差し入れる。

ノヴァはずるずる引っ張り出された。


「やだあああ」

『話を聞きなさい』

ノヴァ、しゅん。

「……はい」


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