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137話 九九


ノヴァはゆっくり顔を上げる。

その目は真剣だった。


「……わかった」


賢者グラン・テスタが頷く。


『申してみよ』


ノヴァは黒板を指さし、堂々と宣言する。


「8たいの、てきが」

「8かい、くる」


全員、静かに聞く。


「だから」


胸を張る。


「64」


沈黙。

黒板がまばゆく光る。


『正解』


どぉぉぉぉん!!

天井から紙吹雪第二弾。

鐘の音。

どこからか祝福のファンファーレ。

レナが飛び跳ねた。


「できたぁぁぁ!!!」


ゼルクが腹を抱える。


「計算過程が戦場すぎる!」


フィリアが記録する。


「乗算理解:独自方式で成功」


アルヴェリアは優しく微笑む。


『それでよい。辿り着ければな』


ノヴァはきょとんとしていたが、やがて口元がゆるむ。


「……かった」


レナが親指を立てる。


「勝ったね!」


ノヴァも頷く。


「うん。すうじに」


賢者グラン・テスタは杖を床に鳴らす。

かつん。


『公式暗記ではない』

『だが、自分で考え答えに届いた』

『それこそ学びの第一歩』


ノヴァは少し照れくさそう。


「……べんきょう、たおせる?」


レナが笑い崩れる。


「まだ敵認識なの!?」


賢者は満足げに黒板へ新たな文字を書く。


“9×9=?”


ノヴァの笑顔が消える。


「……つよそう」


フィリアが淡々と分析。


「ボス級」


ゼルクが肩を震わせる。


「ここから本番だな」


ノヴァは拳を握る。


「にげない」


そして小さく呟いた。


「……ほんき、だす」


黒板には新たな強敵が刻まれていた。


“9×9=?”


ノヴァは問題を見た瞬間、すっと目を細める。


「……ボス」


レナが吹き出す。


「数字に二つ名つけないで!」


フィリアが頷く。


「脅威認定」


ノヴァの戦略思考

ノヴァは黒板の前をうろうろ歩き回る。


「9たいの、てき……」

「9かい、くる……?」


指を折り、途中で足も使い、最後は翼まで広げる。

ゼルクが笑う。


「全身計算だな」


アルヴェリアは静かに見守る。


『急かすでない』


ノヴァは突然ぴたりと止まる。

顔を上げる。

頭上に小さなひらめきの光。


「……81?」


沈黙。

黒板がまばゆく光った。


『正解』


どぉぉぉぉん!!

天井から紙吹雪第三弾。

今度は花びらまで舞う。

レナが叫ぶ。


「連勝したぁぁぁ!!」


ゼルクが腹を抱えて笑う。


「戦場換算、万能すぎる!」


フィリアが即記録。


「九九習得速度、急上昇」


アルヴェリアは誇らしげに頷いた。


『よくやった、ノヴァ』


ノヴァは少し驚いた顔。


「……また、かった」


レナが飛びつく勢いで褒める。


「すごいよ! もう九九マスター目前!」


ノヴァは胸を張る。


「べんきょう、よわい」


賢者グラン・テスタが咳払いした。


『調子に乗るな。まだ入口だ』


黒板に次の文字。


“12×12=?”


ノヴァの笑顔が凍る。


「……なにそれ」


レナが崩れ落ちる。


「急に裏ボス出してきた!!」


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