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134話 ノヴァの選択


門に新たな文字が浮かぶ。


“では問う。1+1は?”


ノヴァ、後退。


「むり」


レナが叫ぶ。


「いやそこはやって! 世界一簡単だから!」


フィリアが補足する。


「整数加算、初級」


ゼルクは面白そうに腕を組む。


「見ものだ」


ノヴァは首をぶんぶん振る。


「たたかうなら、できる」

「これ、できない」


門の声。


『では戦闘形式に変換する』


文字が変わる。


“敵が1体いる。もう1体来た。敵は何体?”


ノヴァの目が少し開く。


「……2?」


ごぉぉぉん!!

門が光る。


『正解』


レナが叫ぶ。


「戦闘換算ならいけるの!?」


ノヴァ、調子に乗る

ノヴァは少し嬉しそう。


「これなら、いける」


門に次の文字。


“敵が3体。ノヴァが1回殴った。何体残る?”


沈黙。

ノヴァは真顔で答える。


「0」


門がしばらく沈黙した。

フィリアが呟く。


「理屈は独特」


ゼルクが爆笑する。

やがて門がゆっくり開き始める。


『……発想力、優秀』


レナが吹き出す。


「採点基準どうなってるの!?」


門の奥から、まばゆい光が漏れる。

ノヴァの目が再び輝いた。


「べんきょう、おわった?」


アルヴェリアが静かに言う。


『たぶん、まだ始まりだ』


巨大な石門がゆっくりと開いていく。

ごごごごご……。

隙間から溢れる光はまぶしく、樹海の闇を押し返していた。

ノヴァは期待に満ちた顔で一歩前へ出る。


「ほんき……!」


レナは慎重に後ろから覗く。


「頼むから今度こそ戦う相手であって……」


ゼルクは笑う。


「さて、どうかな」


中にあったのは、巨大な円形空間だった。

壁一面に本棚。

天井まで届く書架。

机、椅子、黒板、白いチョーク。

中央には、長い髭をたくわえた老人が座っていた。

ローブ姿。

片手に杖。

片手に分厚い本。

目だけが異様に鋭い。

老人は静かに告げた。


『ようこそ、求道者よ』


ノヴァの期待が一気に高まる。


「つよい?」


老人は頷く。


『強いとも』


ノヴァの翼がぴこっと揺れる。

老人は立ち上がり、黒板へ歩く。

杖で床を鳴らした。

かつん。

瞬間、黒板に文字が走る。


“本気を引き出す秘奥義――学習”


沈黙。

ノヴァの顔から光が消えた。


「……あ」


レナがその場で爆笑した。


「また勉強ぉぉぉ!!」


ゼルクが腹を抱える。


「完璧な罠だ!」


フィリアが記録する。


「連続教育施設」


老人は名乗る。


『我が名は賢者グラン・テスタ』

『千年の知識を持ち、万の弟子を育てた者』

『貴様の力、その九割は未熟な制御だ』


ノヴァ、少し止まる。


「……きゅうわり?」

『そうだ。学べば真の力に届く』


ノヴァの瞳が揺れる。

本気を出せるかもしれない。

だが。

勉強。

ノヴァは頭を抱える。


「ほんき……ほしい」

「でも、べんきょう……やだ」


レナが涙目で笑う。


「人生最大の悩みきた!」


アルヴェリアは静かに見守る。


『自分で決めよ、ノヴァ』


ゼルクは腕を組む。


「どちらを選ぶ?」


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