133話 勉強?
樹海王ベヒモア・シルヴァルドが差し出した一枚の葉。
そこには古い紋様が刻まれていた。
『森の奥に、”本気を知る者”が眠っている』
空気が変わる。
レナは嫌な予感しかしなかった。
「その言い方、絶対ろくでもないやつ……」
フィリアが葉を確認する。
「高濃度魔力反応あり。古代遺物級」
ゼルクは口角を上げる。
「面白い」
ノヴァは葉を受け取り、じっと見つめる。
数秒。
そして、ぱっと顔が明るくなった。
翼までぴこっと揺れる。
「……ほんき」
「だせる、かも!」
満面の笑みだった。
レナが青ざめる。
「嬉しそうな顔しないで! 世界が危ない!」
ゼルクは大笑いする。
「ははは! 久々に見る顔だな、それは!」
フィリアは冷静。
「危険度、上昇」
アルヴェリアは額に手を当てた。
『喜ぶ方向が普通ではない』
ノヴァはその場で小さく跳ねる。
「いこう」
「すぐ、いこう」
「まってる」
レナが止めに入る。
「待って、こういう時って準備とか心構えとかあるの!」
ノヴァは真顔。
「ある」
「たたかう、きもち」
レナが膝から崩れ落ちる。
「それしかないの!?」
ベヒモア・シルヴァルドが低く告げる。
『気をつけよ、小さき白翼よ』
『あれは敵ではない』
『だが、試される』
フィリアが反応する。
「戦闘以外の可能性」
ノヴァは首を傾げる。
「……やだ」
レナが即座に指差す。
「そこ! 学校の時と同じ顔!」
ゼルクが翼を広げる。
「行くぞ。退屈しなさそうだ」
アルヴェリアも微笑む。
『見届けよう』
ノヴァは葉を握りしめ、森の奥を見つめる。
その瞳はきらきらしていた。
「ほんき……!」
木々が自然と道を開く。
奥へ。
さらに奥へ。
光も届かぬ深緑の中心。
そこには、巨大な石門が眠っていた。
門には一文だけ刻まれている。
“力を求める者、まず学べ”
沈黙。
ノヴァの笑顔が消えた。
「……まって」
レナが吹き出した。
「はい来た!!」
さっきまで「ほんき……!」と目を輝かせていたノヴァは、その場で固まっていた。
白金の翼もぴたりと停止。
レナが口元を押さえる。
「来るぞ……」
ノヴァは門をじっと見つめる。
数秒。
そして、真顔で一言。
「……べんきょう、やだ」
森にこだました。
鳥が飛び立つ。
遠くの樹海王がむせた。
レナが腹を抱えて笑い出す。
「やっぱりぃぃぃ!!」
ゼルクは肩を震わせる。
「最強の天敵が知識とはな」
フィリアが淡々と記録する。
「精神的弱点、確定」
アルヴェリアは額を押さえた。
『戦うより嫌なのか……』
ノヴァは即答。
「うん」
その瞬間、石門がごごご……と震えた。
中央に巨大な目のような紋章が開く。
低い声が響く。
『回答確認』
『正直者、加点』
全員、停止。
レナが目を見開く。
「そこ加点されるの!?」




