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130/144

130話 相談ではなく……

その時

砂丘の向こうから、巨大な木が一本、歩いてきた。

ずしん。

ずしん。

枝が腕のように揺れ、根が脚のように進む。

全員、停止。

レナが震える声で言う。


「……迎えに来た?」


ノヴァは嬉しそうに手を振った。


「はやい」


砂丘の向こうから現れた巨大な歩く木。

幹は城壁のように太く、枝は何十本もの腕のようにうねっていた。

根が脚となり、ずしん、ずしんと大地を踏み鳴らす。

ノヴァは嬉しそうに手を振る。


「はやい」


次の瞬間。

巨大樹は返事の代わりに、枝の拳を振り下ろした。

どごぉぉぉん!!

砂丘が爆ぜる。

レナが絶叫。


「敵対ぃぃぃ!!!」


ノヴァはぴょんと跳んで回避。

枝の拳は地面にめり込み、砂煙が舞う。

ノヴァは空中で首を傾げる。


「……あいさつ、へた?」


ゼルクが笑う。


「いや、完全に殴りに来てる」


フィリアは分析する。


「交渉意思、低」


歩く木の幹に裂け目が走り、口のように開く。


『侵入者ァァァ!!』


怒号と同時に、周囲の砂から無数の蔓が飛び出した。

鞭のようにしなり、一行へ襲いかかる。

レナが転びながら叫ぶ。


「植物なのに血気盛ん!!」


ノヴァは蔓を片手でつかみ、くるくるまとめる。

そのまま蝶結びにして地面へ置いた。


「……そうだん、じゃない」


フィリアが頷く。


「珍しく純粋敵対」


ゼルクは拳を鳴らす。


「歓迎しよう」


巨樹は枝を広げ、さらに吠えた。


『我は樹海門番グランウッド!』

『主の命により、ここから先へは通さん!』


アルヴェリアが目を細める。


『門番か。なら奥に王がいるな』


サンドバジリスが震える。


『樹海王の配下だ……!』


ノヴァは巨樹を見上げる。


「たおしたら、すすめる?」

『当然だァァ!!』

「わかった」


レナが顔を覆う。


「交渉が一秒で終わった……」


グランウッドは両枝を交差させ、巨大な木槌のように振り下ろす。

空気が裂ける。

ノヴァはその場で軽く拳を握る。


「じゃあ」


白金の光がにじむ。


「どいて」


ノヴァが拳を前に突き出した瞬間

どぉぉぉぉん!!

衝撃波だけで、巨樹の枝槌が粉々に砕け散った。

グランウッド本体が数十メートル吹き飛び、砂丘に刺さる。

レナが目を見開く。


「拳、当たってないよね!?」


フィリアが即答。


「圧のみ」


ゼルクが笑う。


「寝起きでこれか」


砂丘に突き刺さった樹海門番グランウッド。

折れた枝が再生し、幹の奥で赤い光が脈動する。


『ならば……第二防衛形態!!』


巨体がさらに膨れ上がる。

枝は刃へ。

根は槍へ。

背から無数の種子砲台。

完全に戦争仕様だった。

レナが叫ぶ。


「門番の装備じゃない!!」


ゼルクは笑う。


「本気で止める気らしい」


フィリアは記録。


「防衛特化個体」


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