124話 ノヴァの強者発現
女帝の甲殻がさらに光り始める。
空気が裂ける。
フィリアが即座に告げる。
「訂正。まだ上があり」
ノヴァの目がまた輝いた。
「いい」
全攻撃を完封され、さらに「よわ」とまで言われた砂海女帝スコルピア・レギナ。
だがその甲殻はなお光を増していた。
黒金の外殻がひび割れ、内側から灼熱の紅光が漏れ出す。
砂漠全体が震える。
フィリアが即座に告げる。
「第二段階移行中」
レナが頭を抱える。
「まだあったの!?」
ゼルクは笑う。
「いいぞ、続けろ」
女帝の背甲が開く。
中から現れたのは、巨大な光輪。
尾は六本へ増殖。
鋏には古代文字。
脚部の一歩ごとに砂が結晶化する。
六つの眼は太陽のように燃えていた。
『小娘……訂正させてもらう』
『今までの我は、眠かっただけだ』
レナが吹き出す。
「言い訳のスケール大きい!」
ノヴァはその姿を見て、少し嬉しそうだった。
「やっと、いいかんじ」
女帝が尾を地面へ突き立てる。
天まで届く砂柱が何本も立ち上がる。
空が赤く染まる。
サンドバジリスが震える。
『本当に本気だ……!』
ノヴァは一歩前へ。
風が止まる。
白金の翼が静かに開いた。
小さな姿なのに、砂漠の中心が彼女へ変わる。
レナがごくりと唾を飲む。
「ノヴァ……?」
ノヴァは女帝をまっすぐ見上げる。
そして、静かに言った。
「……わたしに」
「ほんきを、ださせてみて」
沈黙。
周囲の反応
レナがその場に座り込む。
「セリフが強者すぎる!!」
ゼルクは口角を上げる。
「完璧だ」
フィリアは記録する。
「挑発値、過去最高」
アルヴェリアは苦笑した。
『親として複雑だ』
女帝の背後に砂の月。
ノヴァの背後に白金の翼。
夜の砂漠が二つの力で昼のように明るい。
ゼルクが低く呟く。
「来るぞ」
フィリアが防壁最大展開。
レナは伏せる準備。
ノヴァは一言。
「たのしませて」
夜空には巨大な砂の月。
その下で、真なる姿へ変貌した砂海女帝スコルピア・レギナが君臨していた。
六本の尾。
古代文字を帯びた鋏。
砂漠全域を操る圧倒的魔力。
対するノヴァ。
小さな姿のまま、白金の翼を背に静かに立つ。
張り詰める空気
女帝の咆哮だけで砂丘が崩れる。
『貴様の笑みを消してやる!!』
空の砂の月がさらに膨れ上がる。
レナは伏せながら叫ぶ。
「十分怖いってこれ!!」
フィリアは防壁を何重にも重ねる。
「想定被害、広域」
ゼルクは楽しそうだった。
「いい煽り合いだ」




