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121話 砂海女帝スコルピア・レギナ登場


一撃……ではなく

ノヴァは王の前まで歩く。

拳を握る。

全員が“ワンパンだ”と思った。

だがノヴァは違った。

王の肩に、ぽんと手を置く。


「そんなに、おどりたい?」


ラメセス十三世、誇らしげに答える。


『無論!!』

「じゃあ」


ノヴァはこくり。


「もっと、おどって」


白金の光が王を包む。

次の瞬間。

ラメセス十三世の動きが十倍速になった。

どどどどどどどどど!?

足さばきが見えない。

腕が残像になる。

羽飾りが円盤化。

楽団が追いつけない。

太鼓隊、転倒。

笛隊、息切れ。

踊り子、座り込む。

レナが爆笑する。


「本人だけ強制アンコール!」


一分後。

ラメセス十三世は砂に倒れ伏した。

羽飾りぼろぼろ。


『はぁ……はぁ……満足……した……』


ノヴァは頷く。


「よかった」


魅了のリズムは消えた。

ゼルクたちは動きを取り戻す。

サンドバジリスは感動して泣く。


『威厳が戻った……!』


……と言いながら少し揺れていた。

フィリアが指摘する。


「癖が残っている」


ノヴァは砂丘に座り込み、星空を見上げる。


「……やっぱり、なぐるほうがらく」


全員、深く同意した。

ラメセス十三世が砂に埋まり、ようやく静寂が戻った――その直後。

地平線の彼方。

巨大な砂嵐が天まで伸びていた。

月明かりを飲み込み、星空すら隠す規模。

その中心に、ゆっくり動く巨大な影。

サンドバジリスが震える。


『まさか……砂海の女帝……!』


レナが乾いた声を出す。


「今度はまともに強そうなの来た……」


ゼルクは翼をたたむ。


「ようやく本命か」


ノヴァの目だけが輝いていた。


「いい」


ごぉぉぉぉ……。

風圧だけで砂丘が削れる。

太鼓隊は転がり、笛隊は埋まり、ラメセス十三世は再び砂に刺さった。


『た、助けぬかぁぁ!』


誰も助けなかった。

フィリアが冷静に言う。


「優先順位低」


砂嵐が左右に割れる。

現れたのは、巨大なサソリだった。

山ほどもある甲殻。

月光を反射する黒金の外殻。

尾の毒針は塔のように高い。

六つの紅い眼。

一歩進むたび、大地が沈む。

砂海女帝スコルピア・レギナ。

レナが息を呑む。


「でっか……」


アルヴェリアも警戒する。


『古代種か……』


女帝は低く、威厳ある声で告げた。


『誰だ、我が睡眠時間を乱す者は』


視線が砂に埋まったラメセスへ向く。


『またお前か』


ラメセス十三世、震える。


『ち、違う! 今回は客人が――』


女帝の尾がぴくり。

ラメセス、失神。

レナが小声で言う。


「関係性あるんだ……」


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