120話 ノヴァの怒り
一行は砂丘の陰で待機することになった。
夕日が沈み、砂漠は青い夜へ変わる。
気温も下がり、星空が広がる。
レナは少し感動する。
「……きれい」
ゼルクも静かだった。
「悪くない」
ノヴァは寝転がって星を見ている。
「しずか」
全員が頷いた。
その時。
ドン。
ドドン。
ぴろろろろ〜。
全員、起き上がる。
「来た」
月明かりの中。
砂丘の向こうに無数の光。
松明。
行列。
太鼓隊。
笛隊。
踊り子たち。
そして中央には、黄金の玉座に座る人物。
巨大な羽飾り。
眩しい装飾。
やたら堂々とした姿。
レナが叫ぶ。
「また濃いの来た!!」
玉座の人物が立ち上がる。
『我こそは砂上の王!』
『ダンシング・ファラオ、ラメセス十三世!!』
その瞬間、背後の楽団が一斉演奏。
どどん!!
ノヴァ、顔を覆った。
「……もう、やだ」
月下の砂丘。
黄金の玉座に立つ男。
羽飾り。
豪華な装飾。
無駄に堂々としたポーズ。
『我こそは砂上の王! ダンシング・ファラオ、ラメセス十三世!!』
背後の楽団が一斉演奏。
どどん!!
ぴろろろ〜!!
ノヴァは顔を覆った。
「……もう、やだ」
レナが笑いながら崩れる。
「わかる、今回は本当にわかる!」
ラメセス十三世が腕を広げる。
『旅人たちよ! 共に踊ろうではないか!』
太鼓のリズムが強まる。
どん。どん。どどん。
その瞬間。
ゼルクの足が勝手に動き出す。
「なっ……!?」
フィリアの肩が左右に揺れる。
「身体制御、阻害」
レナはすでにステップを踏んでいた。
「やめたいのに乗れてるぅぅ!」
サンドバジリスは涙目で腰を振っている。
『だから言っただろう!』
全員がリズムに支配される中。
ノヴァだけがその場で棒立ちだった。
ラメセス十三世が目を見開く。
『ばかな……我が魅惑の律動が効かぬ!?』
ノヴァ、真顔。
「うるさい」
空気が凍る。
レナが踊りながら叫ぶ。
「今それ言えるの強い!」
ラメセス十三世は杖を掲げる。
『ならば奥義! 太陽神の千連ビート!!』
空に巨大な光の太鼓陣が出現。
無数の打撃音が砂漠へ降り注ぐ。
どどどどどどどどん!!!
砂丘が跳ねる。
ラクダが踊る。
サボテンまで揺れる。
フィリアが分析する。
「広域精神干渉型」
ゼルクが回転しながら叫ぶ。
「説明は後だ!」
ノヴァの眉がぴくりと動いた。
「……しずかに、して」
ラメセス十三世は高笑い。
『できぬ! 我は止まれぬ王!』
ノヴァ、ゆっくり前へ出る。
白金の翼がふわりと開く。
レナが叫ぶ。
「終わった! 王が終わった!」




