119話 ノヴァは戦いたい
明日は特別な日なので0時、6時、12時、18時に投稿します!
一行は山を降り、麓の転移門へ。
古代石造りの巨大門。
行き先は西方乾燥地帯。
灼熱の大砂海サンドリア。
門番が確認する。
「観光ですか?」
ノヴァ、即答。
「たたかい」
門番、固まる。
レナが慌てて訂正する。
「ち、違います! 冒険です!」
フィリアが補足。
「半々」
光に包まれ、次の瞬間。
熱風。
まぶしい太陽。
見渡す限りの砂。
巨大な砂丘が波のように続いていた。
レナはその場で膝をつく。
「暑ぅぅぅぅい!!」
ゼルクは翼で風を送る。
「海と山の次はこれか」
フィリアは冷却術式を展開。
「体温維持推奨」
ノヴァは砂を踏みしめ、きらきらした目で周囲を見る。
「ひろい」
「なにも、ない」
少し考えて。
「いい」
レナが突っ込む。
「あなた“何もない”好きすぎるでしょ!」
その時。
ずずずずず……。
足元の砂が沈み始めた。
レナが叫ぶ。
「来たぁぁ!! 早い!!」
巨大な砂の渦。
その中心から、黄金の何かが浮かび上がる。
長い首。
鱗のような砂金の外殻。
宝石のような目。
砂漠竜サンドバジリス。
ゼルクが構える。
「いきなり主級か」
砂漠竜はノヴァを見るなり、目を輝かせた。
そして口を開く。
『来た! 待ってた!』
全員、停止。
レナが頭を抱える。
「普通に敵じゃないの!?」
砂漠竜は嬉しそうに続ける。
『相談があるんだ!』
ノヴァ、真顔。
「……もう、やだ」
巨大な砂渦から現れた砂漠竜サンドバジリス。
堂々たる巨体。
黄金の外殻。
王者の威圧感。
……なのに。
『相談があるんだ!』
ノヴァは真顔のまま固まっていた。
レナが肩を震わせる。
「気持ち、すごくわかる」
ゼルクもため息。
「最近こういう流れしかないな」
フィリアは記録する。
「敵対率、低下傾向」
サンドバジリスは巨大な頭を下げた。
『頼む、聞いてくれ!』
『最近、夜になると砂漠で変な踊り声がするんだ!』
沈黙。
レナが空を見る。
「また音楽系?」
フィリアが頷く。
「高確率」
ノヴァは遠い目。
「……たたかいたい」
砂漠竜は早口で語る。
『最初は気にしなかった!』
『だが毎晩、どこからか太鼓と笛が鳴る!』
『気づけば俺も踊ってしまう!』
ゼルクが吹き出した。
「自制しろ」
『無理なんだ! 足が勝手に!』
サンドバジリスはその場で少し腰を振ってしまった。
どすん。
どすん。
砂丘が揺れる。
レナが笑い崩れる。
「重いのにリズムいい!」
ノヴァは近づいて聞く。
「こまる?」
『困る! 威厳がなくなる!』
「でも、たのしい?」
サンドバジリス、沈黙。
『……少し』
フィリアが即答。
「本心確認」
ノヴァは顔をしかめる。
「また、なおす?」
アルヴェリアが優しく言う。
『頼られているのだ』
ノヴァは小さくうめいた。
「……つよいのに」
レナが笑う。
「強い人ほど便利屋になるのよ」




