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118/129

118話 ノヴァの爆笑


夕日が世界を赤く染める。

絶景。

達成感。

静かな風。

その完璧な空気を切り裂くように、レナの叫びが響いた。


「休ませてぇぇぇぇ!!」


山々にこだまする。

谷へ反響する。

遠くの鳥まで飛び立った。

全員が少し呆然としていた。

ゼルクは肩をすくめる。


「気持ちはわかる」


フィリアも頷く。


「妥当な主張」


アウレクシオンですら苦笑している。


『元気な仲間だな』


アルヴェリアは額に手を当てた。


『毎度騒がしい……』


その中心で、ノヴァはきょとんとしていた。

レナを見る。

もう一度、景色を見る。

そしてレナを見る。

数秒の沈黙。

突然。


「……ふっ」


小さく肩が震えた。

レナが目を細める。


「え?」


次の瞬間。


「ふふ……あは……っ」


ノヴァが口元を押さえて笑い始めた。

全員、停止。

さらに我慢できなくなったように、ノヴァはその場に座り込み――


「あははははは!!」


声を上げて爆笑した。

転がる。

足をばたばたさせる。

翼までぱたぱたしている。

レナ、硬直。


「……ノヴァが……笑ってる……?」


ゼルクが目を見開く。


「初めて見たかもしれん」


フィリアは即座に記録。


「希少現象確認」


ノヴァは笑いながら、息を整えて言った。


「レナ……いつも……」

「さいごに、さけぶ」


また笑う。


「あはは……!」


レナは顔を真っ赤にした。


「だ、だって毎回急なのよ!」


ノヴァは指さしてさらに笑う。


「また、おなじ……!」


ゼルクが先に吹き出した。


「くく……確かに毎回だ」


フィリアも珍しく小さく笑う。


「様式美」


アルヴェリアまで口元を緩める。


『よいではないか』


ついにはレナ本人も笑い出した。


「もう、なんなのよ!」


山頂に笑い声が広がる。

さっきまでの激戦が嘘のようだった。

アウレクシオンは穏やかに言った。


『強き者が笑えるのは、良きことだ』

『貴様ら、実に眩しい』


レナが照れる。


「急にいいこと言う……」


ひとしきり笑ったノヴァは、涙をぬぐって立ち上がる。

まだ少し笑いながら、言った。


「じゃあ……きょうは、やすむ」


レナが感動して泣きそうになる。


「ほんと!?」


ノヴァはにやっとした。


「……うそ」


レナの絶叫が、再び山にこだました。

ノヴァはまた爆笑した。

澄んだ空。

冷たい風。

朝日に染まる雲海。

絶景の中、レナは毛布にくるまっていた。


「……夢であってほしい」


ゼルクは朝日を見ながら腕を組む。


「現実だ」


フィリアは荷物を整えている。


「出発準備完了」


アルヴェリアは優雅にお茶を飲んでいた。


『切り替えが早いな』


その中心でノヴァだけが朝から元気だった。

ぴょん。

ぴょん。

山頂の岩を飛び移りながら振り返る。


「いくよ」


レナがうめく。


「昨日、世界揺らしてたのに……」


ゼルクが肩をすくめる。


「疲労の概念が違う」


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