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117/129

117話 勝負の結果


ノヴァが拳を軽く握る。

山全体がきしむ。

アウレクシオンも六翼を最大展開し、黄金雷を天へ放つ。

二人の視線が交わる。

ノヴァが一言。


「こわれたら、ごめん」


レナが絶叫した。


「山に謝ってぇぇ!!」


世界が息を止めていた。

六翼龍王アウレクシオン。

本気を解放したノヴァ。

両者が向き合うだけで、空間が軋む。

レナは岩陰で震えていた。


「今さらだけど、私ここにいて大丈夫?」


フィリアが即答する。


「たぶん無理」


ゼルクは楽しそうに笑う。


「最高の席だ」


ノヴァが拳を握る。

白金の光が掌に収束する。

アウレクシオンは六翼を広げ、全身を黄金雷で包んだ。

山頂の雪が蒸発する。

岩が浮く。

雲が逆回転する。

アルヴェリアが静かに呟く。


『……来る』


二人の姿が消えた。

音もない。

光もない。

ただ一瞬、空に白と金の線が交差した。

それだけだった。

次の瞬間。

どぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!

遅れて衝撃が来る。

山全体が揺れ、周囲の雲海が一掃された。

遠くの森で鳥たちが一斉に飛び立つ。

レナが転がる。


「遅れて来るタイプのやつぅぅ!!」


静寂が戻る。

空の中央。

ノヴァは小さな拳を突き出した姿勢のまま浮いていた。

その前で、アウレクシオンの巨大な拳爪が止まっている。

互いに当たっていた。

……ように見えた。

だが。

龍王の黄金装甲に、一本の綺麗な線が入る。

ぴし。

ぴしぴしぴし。

鎧のような鱗が、花びらのようにぱらぱら落ちていく。

アウレクシオンは目を見開き、やがて笑った。


『見事……完敗だ』


巨体がゆっくり地に降りる。

倒れはしない。

だが膝をついた。


ノヴァもふわりと着地する。

翼が消え、いつもの姿へ戻る。


「だいじょうぶ?」


レナが叫ぶ。


「聞くのそこ!?」


龍王は豪快に笑う。


『命も誇りも無事だ!』

『最後の一撃、急所をすべて外したな』


フィリアが頷く。


「完全制御」


ゼルクが肩をすくめる。


「やはり化け物だ」


アウレクシオンは頭を垂れた。


『ノヴァよ』

『貴様に山頂の資格を与える』

『そして願うなら、この山の宝も持っていけ』


レナの目が輝く。


「宝!」


ノヴァは少し考える。


「いらない」


全員固まる。

ノヴァは龍王を見上げて言った。


「たのしかった」

「それで、いい」


沈黙。

アウレクシオンは大笑いした。


『ははははは!! 実に良い!!』


アルヴェリアの瞳は優しかった。


『……育ったな』


一行はついに山頂へ立つ。

雲の上。

世界の果てまで見える景色。

夕日が大地を赤く染めていた。

レナは感動して座り込む。


「……これは来た価値ある」


ゼルクも静かだった。

フィリアは珍しく無言で景色を見ている。

ノヴァは風の中、ぽつりと呟いた。


「……つぎ、さばく」


レナが絶叫した。


「休ませてぇぇぇぇ!!」


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