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116話 本気だせるかな?


ノヴァも地上へ降りる。

その表情は珍しく、はっきり笑っていた。


「もっと、たのしそう」


アルヴェリアが額を押さえる。


『完全に遊んでいる……』


六翼龍王アウレクシオンが咆哮し、空と山が割れる。

ノヴァは拳を構える。

二人の姿が同時に消えた。

レナが叫ぶ。


「見えないぃぃ!!」


六翼龍王アウレクシオン。

黄金の体躯はさらに巨大化し、背から生えた六枚の光翼が空を埋めていた。

対するノヴァ。

小さな姿のまま。

だが、その笑顔だけがいつもと違った。

純粋に楽しんでいる顔。

次の瞬間。

二つの影が空と地上を何度も行き来する。

見えない。

聞こえるのは衝突音だけ。

どごん。

ばきん。

ずがぁん。

山の一部が削れ、雲海が吹き飛び、遠くの湖に波が立つ。

レナは叫ぶ。


「実況不可能!!」


フィリアが淡々と答える。


「目視不能」


ゼルクは笑っていた。


「最高だな」


突如、衝撃音が止む。

空中。

ノヴァが龍の角の上に立っていた。

アウレクシオンは翼を広げたまま停止。

両者、無傷。

龍は楽しげに笑う。


『見事! 実に見事!』

『これほどの者、千年ぶりだ!』


ノヴァは少し考えた。

そして真顔に戻る。

ノヴァは龍の目を見て、丁寧に聞いた。


「……ほんき、だしていい?」


沈黙。

レナが崩れ落ちる。


「今まで何だったの!?」


フィリアが即答する。


「準備運動」


ゼルクが吹き出した。


「龍王相手にか」


アルヴェリアはため息混じりに誇らしげだった。


『やはりそうか……』


アウレクシオンの瞳が大きく開く。

だが次の瞬間、豪快に笑った。


『ははははは!!』

『よい! よいぞ小さき者!』

『ならば見せよ! 貴様の頂を!』


黄金の雷がさらに激しく迸る。

龍王も本気で応じる構えだった。

ノヴァはこくりと頷く。


「じゃあ、すこしだけ」


白金の翼が広がる。

二枚。

四枚。

六枚。

そして、その外側に透明な光翼が幾重にも浮かび始めた。

空気が重くなる。

山の雪が宙に浮いた。

レナの声が震える。


「ちょっとって何……?」


ノヴァが息を吸う。

それだけで風が止まる。

鳥が空中で静止する。

雲の流れが止まり、陽光すら揺らいだ。

フィリアが珍しく動揺した。


「周辺法則への干渉……規格外」


ゼルクも真顔になる。


「これは……」


アウレクシオンは笑みを消した。

誇り高い龍王の顔で、静かに言う。


『なるほど』

『我は今、怪物に挑んでいたか』


ノヴァは首を傾げる。


「ちがう」

「ノヴァ」


レナが思わず笑った。


「そこ訂正するんだ」


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