115話 対アウレクシオン
アウレクシオンも翼を広げる。
黄金の雷が空を走る。
山全体が震える。
レナが後退する。
「巻き込まれたくない!」
フィリアは防壁展開。
ゼルクは興奮気味に笑う。
「これは見ものだ」
ノヴァは拳を握りしめ、構える。
「じゃあ……いっぱい、あそぼう」
雲海の上。
黄金龍アウレクシオンとノヴァが向かい合う。
片や山を統べる天龍王。
片や小さき英雄。
だが、放つ気配は互角以上だった。
レナは岩陰へ避難。
「生きて帰れますように……」
ゼルクは腕を組み、笑う。
「久々に純粋な力比べだ」
フィリアは防壁を重ねていた。
「観戦位置、重要」
アルヴェリアは静かに娘を見つめる。
『見せてみろ、ノヴァ』
アウレクシオンが咆哮した。
黄金の雷が空を裂く。
同時に巨体が消える。
レナが叫ぶ。
「速っ!?」
次の瞬間。
龍の爪がノヴァのいた場所を切り裂く。
山頂の岩盤が五百メートルえぐれた。
だがノヴァは、その爪の上に立っていた。
「おそくは、ない」
龍の瞳が見開かれる。
ノヴァは龍の爪先を、指でちょんと押す。
こつ。
アウレクシオンの巨体が空へ吹き飛ぶ。
雲海を三枚突き破り、太陽の前まで飛んだ。
レナが立ち上がる。
「始まって二秒よ!?」
ゼルクが笑う。
「いい流れだ」
空の彼方で龍が体勢を立て直す。
黄金鱗が眩く光る。
翼が二重に展開。
角に雷が集中する。
『見事……ならば我も本気だ!』
巨大な魔法陣が空一面に広がる。
無数の雷槍が出現。
山一つ消し飛ばせる数。
フィリアが即座に判断。
「危険」
レナが叫ぶ。
「今さら!?」
数千本の雷槍が一斉降下。
空が金色に染まる。
ノヴァはそれを見上げ、少し考えた。
「……きれい」
そして跳んだ。
小さな体が空へ一直線。
雷槍の群れへ飛び込み、拳と蹴りで全部弾き返していく。
ぱん。
ぱきん。
どごん。
雷が花火のように散った。
レナ、口が開いたまま。
「雑に無茶苦茶……」
ノヴァはそのまま龍の眼前へ到達。
アウレクシオンも爪を振るう。
拳と爪がぶつかった。
どぉぉぉぉぉん!!
衝撃波で雲海が円形に消し飛ぶ。
遠くの山々まで揺れた。
ゼルクが目を細める。
「互角か」
フィリアが訂正する。
「いいえ」
煙が晴れる。
アウレクシオンが両爪で押し返している。
だが後退しているのは龍だった。
ノヴァは片拳ひとつで押していた。
龍が驚愕する。
『小さき体で……この力!?』
ノヴァは少し笑う。
「たのしい」
アウレクシオンは一度距離を取り、静かに着地した。
誇り高き瞳でノヴァを見る。
『認めよう』
『貴様は久方ぶりの好敵手だ』
黄金の鱗がさらに輝き始める。
体が倍近く膨れ上がり、背に六枚の光翼が生えた。
レナが震える。
「第二形態あるの!?」
ノヴァは楽しそうだった。
「いい」




