表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
105/128

海竜の悩み事

海竜は浜辺まで近づき、深い声で言った。


『陸の英雄よ……助けてほしい』


全員、納得した。

ゼルクが空を見る。


「やはりか」


ノヴァは前へ出る。


「なに?」


海竜は困った顔で答えた。


『海底神殿ネレイアに、“歌うタコ”が住み着いてしまった』


沈黙。

レナが崩れ落ちる。


「また歌うの!?」


波音の中、巨大な海竜が神妙な顔で告げた。


『海底神殿ネレイアに、“歌うタコ”が住み着いてしまった』


沈黙。

レナは砂浜に膝をつく。


「また歌う系……」


ゼルクは額を押さえた。


「この世界、歌う物が多すぎる」


フィリアは記録帳に追記する。


「分類:音楽系トラブル」


アルヴェリアは首を傾げる。


『タコは歌うものなのか?』


そんな中、ノヴァだけは真剣だった。

海竜の前まで歩き、じっと見上げる。

そして一言。


「歌……うまい?」


全員、固まる。

レナが叫ぶ。


「そこ確認するの!?」


フィリアも少し目を見開く。


「着眼点が独特」


ゼルクは吹き出した。


「重要ではある」


海竜は少し考え込んだ。


『……うまい』


さらに続ける。


『非常にうまい』

『声量もあり、音程も完璧だ』


レナが頭を抱える。


「じゃあなんで困ってるのよ!」


海竜、苦しげに叫ぶ。


『夜通し歌うのだ!!』

『眠れぬ!!』

『しかもアンコールを求めてくる!!』


全員納得した。

海竜は訴える。


『神殿に近づく魚たちは全員ファンになり帰ってこぬ!』

『イルカたちは毎晩ペンライトのように跳ねる!』

『クラゲが照明係になっておる!』


フィリアが淡々と言う。


「完成度が高いライブ」


ゼルクがうなる。


「被害規模も高い」


ノヴァは少し考える。

海を見る。

空を見る。

そして真顔で言った。


「……ききたい」


レナがずっこけた。


「そっち!?」


アルヴェリアは苦笑する。


『好奇心旺盛だな……』


ノヴァはこくり。


「うまいなら、きく」

「それで、きめる」


フィリアが頷く。


「合理的審査方式」


海竜は深く頭を下げた。


『では背に乗れ。案内しよう』


一行は海竜の背へ乗り込む。

ノヴァは先頭。

レナは少し不安。

ゼルクは水しぶきを嫌がり。

アルヴェリアは浮く準備をしている。

海竜が潜る。

ざぶん!

青い世界へ。

魚群がきらめき、珊瑚が揺れる。

ノヴァの目がまた輝く。


「……きれい」


深海へ近づくにつれ、遠くから歌声が響いてきた。

澄んだ低音。

伸びやかな高音。

妙に情感たっぷり。


♪ 海よ〜 我が恋心を運べ〜♪


レナが驚く。


「……え、ほんとにうまい」


ゼルクも認める。


「腹立たしいが事実だ」


フィリアが分析する。


「かなりの実力者」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ