海だぁぁ!
空喰い鳥グラヴィスは改心し、巡回警備隊長として真面目に飛び回っていた。
小人族は祭り。
白ぽむたちは果物を抱えて転がり。
レナはやっと平和を満喫していた。
その時。
ノヴァが空の果てを見つめ、ぽつりと言った。
「つぎ、うみ」
沈黙。
レナが聞き返す。
「海? 今ここ空の上だけど?」
ノヴァはこくり。
「うん。だから、いく」
ゼルクがため息をつく。
「理屈になっていない」
フィリアは地図を広げた。
「最寄りの海域あり」
フィリアが指差したのは、世界南東に広がる蒼海域。
そこには伝説の場所があった。
海底神殿ネレイア。
古代文明の遺跡。
海竜の住処。
秘宝眠る神殿。
レナの目が輝く。
「それよ! 冒険っぽい!」
ゼルクも頷く。
「王都の家具より百倍ましだ」
アルヴェリアは少し不安げだった。
『水は……あまり得意ではない』
ノヴァが見上げる。
「おかあさん、いぬかき」
『我は犬ではない!』
巨大亀ガメリアの協力で、一行は海沿いまで運ばれることになった。
亀の背に乗り、空を進む。
雲を越え、山を越え、森を越える。
やがて地平線いっぱいに青が広がった。
海。
どこまでも続く水面。
太陽を反射し、きらきらと輝いている。
ノヴァの目が丸くなる。
「……おおきい」
レナが笑う。
「今日はそればっかりね」
赤ぽむたちは何かを話し合っている
「ぽむ」
「ぼむ」
「ぴむ」
「ぷむ」
フィリアが翻訳する
「ここに残るらしい」
ノヴァは首をかしげる
「のこるの?」
赤ぽむが代表して答える
「ぽむ!」
「わかった。げんきでね」
「ぽむ!」
浜辺へ降り立つ。
波が寄せては返す。
白い砂浜。
潮風。
ノヴァはそっと波打ち際へ歩いた。
水が足に触れる。
ぴしゃ。
少し下がる。
また来る。
ぴしゃ。
ノヴァ、真顔。
「……たたかってる?」
フィリアが即答。
「違う」
数分後。
ノヴァは波を追いかけて走っていた。
レナは貝殻集め。
ゼルクは日陰で寝転び。
アルヴェリアは海を警戒しつつ足先だけ浸けていた。
『冷たい……』
その姿を見てノヴァが笑う。
「いぬかき、まだ?」
『だから犬ではない!!』
平和な時間は、やはり長く続かなかった。
沖合いで水柱が上がる。
どごぉん!!
海面が盛り上がり、巨大な影が現れる。
鱗。
角。
長い体。
海を割って現れたのは、蒼き海竜だった。
レナが立ち上がる。
「はい来た!」
フィリアが分析する。
「高確率で何か頼み事がある」




