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踊る大砲

そ城の外から爆音。

どごぉぉん!!

兵士が飛び込んでくる。


「大変です!!」

「今度は城門前に“踊る大砲”が整列してます!」


全員が天を仰いだ。

レナが叫ぶ。


「管理しっかりぃぃ!!」


城門前広場。

爆音を聞いて駆けつけた一行が見たものは――

ずらりと並ぶ十二門の大砲だった。

黒鉄の砲身。

金の装飾。

無駄に豪華。

しかも。

左右に揺れている。

ずん。

ちゃっ。

ずん。

ちゃっ。

一定のリズムで踊っていた。

広場の民衆は半歩引いて見守っている。

レナが額を押さえる。


「もう意味がわからない」


ノヴァは一歩前へ出た。

白金の翼をぴしっと広げる。


「……何してるの?」


広場、静止。

踊る大砲たちもぴたりと止まる。

沈黙。

一本の先頭大砲が、おそるおそる砲身を上げた。


「……れ、練習です」


全員が固まる。

ゼルクが聞き返す。


「喋るのか、砲台」


先頭大砲は名乗った。


「我ら王国礼砲隊・サウンドキャノンズ!」

「本来は祝祭日に一斉発射で盛り上げる役目!」


フィリアが資料をめくる。


「記録あり。確かに存在する」


レナが指差す。


「じゃあなんで踊ってるのよ」


大砲は少ししょんぼりした。


「長年倉庫で出番なし……」

「せめて芸でも磨こうと……」


ミミクロンが感動していた。


「わかるぞ、その気持ち!」


ノヴノヴァはじっと大砲たちを見る。

怒っているようで、少し考えている顔。

やがて聞いた。


「うつと、あぶない?」

「花火なら安全です!」

「おどるの、たのしい?」

「とても!」

「みんな、みたい?」


周囲の民衆がざわつく。

子どもたちは目を輝かせていた。


「見たい!」

「大砲ダンス!」


レナが吹き出す。


「流れ変わったわね」


ノヴァはこくりと頷いた。


「なら、ちゃんとやる」


王女エリシアが察する。


「まさか……」


ノヴァは城門を指差した。


「おまつり、する」


王都即席祭り

その日の夕方。

城門前広場は急きょ祭り会場となった。

屋台が並び、音楽隊が集まり、人々が押し寄せる。

中央ステージには十二門の大砲。

司会はミミクロン。


「皆の者! 王都初! 爆音演舞祭の開幕だァ!」


ゼルクが遠い目をする。


「なぜこうなる」


ノヴァが合図で手を上げる。

大砲たちが一斉に回転。

ずん!

ちゃっ!

ずん!

ちゃっ!

砲身を振り、車輪でステップし、完璧な隊列移動。

最後に夜空へ花火。

どぉぉぉん!!

鮮やかな光が広がる。

観客は大歓声。


「すげぇぇ!」

「もう一回!」


レナも拍手していた。


「悔しいけど面白い!」


演舞後、大砲たちはノヴァの前に整列した。


「ご指導ありがとうございました!」


ノヴァは真顔で言った。


「つぎ、かってにでない」

「はい!!」

「でも、れんしゅうしていい」

「ありがとうございます!!」


エリシアは笑顔で宣言した。


「王国礼砲隊サウンドキャノンズ、正式復帰!」


歓声が上がる。

アルヴェリアは娘を見つめて呟いた。


『叱り、導き、活かす……見事だ』


ノヴァは首を傾げた。


「んー?」


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