達也の誘惑
真名が学校で昼休みに一人本を読んでいると、達也がひょっこりあらわれた。達也はあどけない笑顔をみせ真名に声をかけた。
「おう!真名。今からタバコ吸いに行かない?」
「・・・ごめん。私タバコは学校では吸わない約束したの。悪いけど一人で吸ってきて」
「なんだよそれ、いいじゃねえか。分かった、お前は吸わなくていいから付き合ってくれよ。一人で吸うのも寂しいしな」
真名は清子と彼の顔を思い浮かべて、あの夜の約束を心に思った。付き合うだけならいいか。吸わないことには変わりないのだし、達也を紹介してくれとも言っていた。多少の罪悪感に苛まれながらも、真名は本を閉じて校舎裏へと向かった。
達也がタバコを吸っているの横で、真名は空を見上げていた。二人の間には親しい雰囲気と、やるせない思いが漂っていた。達也は私のことをどう思っているんだろう。
「今夜また遊びに行かないか?最近ろくにデートもしてないじゃないか。いいだろたまには」
「うん、どうかしら。門限に間に合えばいいけど」
「分かった、じゃあ今夜あの公園前で待ち合わせな」
短い昼休みが終わり、二人は別れた。真名は授業が始まっても、心は上の空だった。今夜達也と遊ぶ。でも門限は破れない。もうこれ以上心配をかけるわけにはいかない。




