真名の本音
彼が二人に近づくと、真名は金髪の青年の後ろに隠れてしまった。彼はそこで立ち止まり、青年の顔をみつめた。青年は先程の薄ら笑いを消して、彼を睨みつけている。彼はそれに少したじろいだが、一歩ずつ二人に近づいていった。
「真名、帰ってきてくれないか。お父さんが悪かったよ。いや、何か悪いところがあれば言ってくれ。真名がいないと家は崩壊するんだ」
「オッサン、真名は帰らないよ。俺が面倒みるんだ。親なんて信用してないんだよ真名は。自分らの勝手に子供を育てやがって。子供を舐めるんじゃねえぞ」
青年が威嚇するように暴言を彼に吐いてきた。彼は歯を食いしばり、つとめて大人の対応しようとした。
「君には関係ない話だ。ちょっと黙っていてくれないか。」
「なに!オッサン、一発痛い目に合わせてやろうか」
息巻いた青年は、彼にすごい勢いで向かっていく。背後からみていた真名がそれを止めに入った。
「やめて!お父さん、私帰りたくないの。家にいると息が詰まる。生きてる感じがしないの。檻に閉じ込められた動物みたいに思えるのよ」
彼は青年の動きに身構えたあとで、真名の言葉を真摯に受け止めた。しばらく黙っていた彼は、先程の清子の謝罪を思い出した。それを真名に伝えれば分かってくれるんじゃないかと思った。三人の視線は絡み合い、夜の静けさが不気味な性格をあらわにしていた。




