お互いの欠点
マンションの駐車場に車を停めた彼は、ゆっくり一つため息をついた。真名が付き合っている不良青年はどんな奴なんだ。今から部屋に帰るが、このことを清子に言わないわけにはいかない。清子はどんな反応をするだろうか。考えただけでも気が重くなった。
玄関のドアを開けると、彼はリビングに向かった。椅子に腰掛けた清子の姿が、妙に寂しく写った。清子は彼をみて、何か言いたげだったが、すぐに口をつぐんだ。沈黙を破るように彼が話しだした。
「さっき真名の親友の家にお邪魔して来た」
真名が不良青年と付き合っていること、親友とは疎遠になっていることなどを清子に報告した。それを聞いた清子の顔は険しくなった。彼がまた清子の怒声が飛んでくるのではないかと怯えていると、清子は深呼吸を一つして笑顔を作った。
「私考えてたの。自分の短気が真名をあそこまで追いやったんじゃないかってね。反省してるわ。この性格どうにかならないものかしら」
「いや、オレが悪い部分が沢山あるんだ。真名に怯えているのは図星だよ。強く叱ることくらい出来ないといけない。それがどうしても出来ないんだ。お前ばかりに苦労かけて悪いと思ってる。オレが変わらないといけないんだ」
清子と彼は視線を合わせ、お互いに苦笑した。性格の異なる二人だからこそ、今まで上手くやってこれた節がある。不満もあるだろうが、二人は欠点を認め合った。真名のことは心配だが、今はどうすることも出来ない。リビングに清子と彼の笑顔が漏れた。




