喫煙室の休憩中の着信
真名の夜遊びから数日後、彼は会社の喫煙室で袴田と休憩を取っていた。あれから真名は大人しく学校に通っている。以前よりは口数が減ったが、態度の悪さも徐々に緩和されていった。思春期特有の、いっときの気の迷いだったのだろうか。好奇心に駆られて行った夜遊びかも知れない。
「なあ、タバコいつから吸い出した?」
彼の袴田への唐突な質問に、一瞬沈黙が場を支配した。袴田は少し考え込んだ後、薄ら笑いを浮かべて答えを口にした。
「17くらいかな。好奇心に駆られてな。そういうお前はいつからなんだよ。オレは今でも後悔してるよ。こんなに世の中が嫌煙ムードになるとは思わなかったからな。時代は変わるもんだよな」
「オレは14だ。それっきり人生の落伍者になった気分だよ。欲求が湧いてきて勉強には集中できないわ、授業も苦痛になってな。後悔ってもんじゃないよ」
彼と袴田が自嘲気味に笑っていると、スマホの着信音が喫煙室内に響いた。二人はスマホを確認した。鳴っているのは彼のスマホの方だった。取引先にトラブルでもあったかな。彼はタバコをもみ消して、スマホの画面を確認した。液晶画面に映し出された着信先の相手は、清子だった。彼の胃が急に痛みだした。すぐに電話を受け取って、耳にスマホを当てた。
「もしもし?」
「警察から連絡があったの。真名が補導された」




