真名を発見
「止まって!」
彼が運転している助手席で、清子が金切り声をあげた。彼はブレーキをかけて車を止めた。清子の視線の先にはコンビニがあり、その前で数人の若者がたむろしていた。清子は窓の外をじっとみつめている。彼も清子の視線を追った。若者のなかに真名の姿があった。彼がそれを認めると、ドアを開けて外に出ようとした。それより先に清子がドアを勢いよく開け、若者の群れの方に足早に向かっていった。彼も慌てて清子の後を追いかけた。
「真名!何してるの?帰るわよ」
「・・・嫌よ」
「真名、頼むから帰ってちょうだい。お母さん、何か悪いところでもあったら治すから。お願いだから帰ってちょうだい」
「嫌って言ってるでしょ!お母さんこそ帰ってよ」
彼は一部始終を清子の背後でみていた。どうしたものか。このままでは事が大袈裟になってしまう。穏便に事を済ませたい。清子と真名の言い合いは、終わらない水掛け論に聞こえた。彼は清子の肩に手を置くと、前へ出て真名の顔をみつめた。
その夜は、なんとか真名を自宅に連れて戻った。清子は黙って寝室に入った。彼は真名が自室に戻るのを確認すると、リビングのソファで目をつぶった。長い夜だった。今日は大事な会議があるから会社は休めない。少しだけ眠ろう。明日、家族で話し合えれば良い。彼の心は見た目とは裏腹に荒れていた。




