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真名の夜遊び
時計の針は夜中の1時を回っていた。彼は頬杖をついて、反対側の手の人差し指でテーブルをコツコツ叩いていた。正面に座っている清子はスマホの画面を食い入るようにみている。こんなに夜遅くまで真名が帰って来ない。誘拐にでも合ったのかと心配になるが、清子いわく遊び呆けているのだろうということだった。彼の深刻な心配とは裏腹に、清子の冷めた解析が心を少しだけ楽にする。清子は先程から真名のラインにメッセージを送り続けている。
「既読もつかないのよ。完全に私達のことを無視するつもりね。反抗どころの騒ぎじゃないわ。真名は非行に走ったのよ」
「何か事故にでも合った可能性もないではないじゃないか」
「もしあなたの言う通り誘拐にでも合ってたなら犯人から連絡が来るはずじゃない。事故なら警察から。遊び呆けてるに決まってるわ」
それもそうかと妙に納得した彼は、再びテーブルをコツコツ叩きはじめた。清子はまたスマホの画面に顔を戻していった。
時計の針が残酷に回っていくなかで、彼と清子はリビングに取り残された。朝方になって彼は仮眠を取ることにした。清子も寝室に入っていく。真名のいない家は、活気のない祭りのように惨めだった。




