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学校からの電話
二人が家を出て行った後、清子は洗い物を済ましリビングの掃除をしていた。時計の針は午前10時になろうとしていた。真名のことが心配だったが、掃除機をかけている間にそのことも次第に頭から離れていった。真名はきっと分かってくれる。賢い子だもの。この間はちょっと言い過ぎたかしら。
突然電話の呼び出し音がリビングに響いた。清子は時計の針をみて、この時間に電話をかけてくる者が我が家にはいないことを確かめた。
「はい、もしもし?」
電話の主は学校の真名の担任だった。真名が、まだ登校していないと言う。清子は焦りと怒りに襲われ、うまく声が出せなかった。やっと出た言葉は少し震えていた。
「今日は風邪をひいたみたいで病院に連れていきましたの。ええ、大したことはありません。すいません連絡が遅くなってしまいました」
咄嗟に出た嘘は、清子の思いやりだった。内申書に響くような素行を公にするわけにはいかない。今後の真名の進路にヒビが入る。清子は電話を切り、素早く真名のスマホに電話をかけた。虚しく呼び出し音が鳴るばかりで、繋がる気配は全くなかった。
再び掃除機をかけ始めた清子は、パニックから自分を救おうと必死だった。




