ソウマの本音
◯ソウマ
「君たちには負けるよ」
僕の口から思わずそんな言葉が飛び出した。
だってあの漫画を読んでしまった僕はもう、サカキ氏の親友でなくなってしまったのだから。
「あの漫画には、お前がそう思えるようなことが書いてあったのか?」
僕は見つめた。
あの日、破かれた漫画、サカキ氏がセロハンテープで直してくれた漫画を手に持ってこちらを真剣に見つめるセンゴク君を。
僕はずっとこう思っていた。
いや、思いたかった。
僕はサカキ氏のことを誰よりも理解していて一番の親友であると。
いくら同じ道を歩んだからといってセンゴク君とサカキ氏は親友ではない、僕こそが本当の親友なんだと。
でも、違った。
やっぱり違ったんだ。
よりによってどうしてセンゴク君なんかと君が。
僕は本当に・・・
「僕は本当に君が嫌いなんだ」
僕の声はもう止まらない。
ずっと僕の心の中に閉じ込めていたものだったから、一度開けてしまうともう止まらないんだ。
「たとえ君が今、立派に大人になっていたとしても君が僕たちにしてきたことは消えない。あの時、僕たちがどれほど辛かったか知ってる?あの教室に入ることも、君の声を聞くことも本当に怖かった。正直今でもびくついてしまう。あの時、何もしていないのに、暴力を振るわれた僕たちの気持ちを君は少しでも考えたことがあった?ないよね。あるわけないよね。そんな奴に僕は、サカキ君・・・いやサカキ氏の漫画の意義なんて知ってほしくない。なによりもサカキ氏の死で涙ひとつ見せない・・・悲しみひとつ見せない君は本当にサカキ氏の親友なの?」




