ソウマの家
○センゴク
そこは、どこにでもある普通の家だった。
狭い玄関の目の前には2階に続く階段。
階段の奥には、キッチンが見える。
きっとそこにダイニングとリビングがあるのだろう。
なんて、俺はぼんやりと思った。
他人の家には数え切れないくらい入り込んでいる。
取立てで。
だから、こいつが外で会話をすることを嫌がったのもわかるつもりだ。
俺は見た目通りのヤクザだしな。
「あ、セ、センゴク君。こちらにどうぞ」
俺は靴を脱いで家に上がった。
予想取りだ。
階段の奥にはキッチンとダイニング、その横にテレビとテーブルにソファーが置かれたリビング。
どこにでもある家、そしてきっと家族。
「あの、お茶・・・ここに置いとくね」
だから俺には謎だったことがある。
「おい」
湯呑をテーブルに置いたソウマが、びくっとして俺を見つめた。
「お前はなんでサカキと友達だったんだ?それも今まで」
「そ、それは・・・サカキ氏じゃなくてサカキ君も好きだったからだよ」
「何が?」
ソウマは、ぼそっと呟くように言った。
「・・・イッコクノオウ」
「はあ?」
「イ、イッコクノオウだよ」
「なんだよそのイッコクノオウてのは」
「漫画・・・です」
「漫画!?」
ソウマは頷いた。
「もしかしたら・・・君も覚えているかもしれない」
「俺が?なんで」
「きっかけは君だったから」
「え?」
「ちょっと待ってて。説明するよりも実物を見た方が早い」
そう言って2階に駆けていったソウマはさっきまでびくびくしていたソウマとは別人のようだった。
なんだあいつ。
オタクってあんな感じなのか?
漫画の話になると機嫌がよくなるとか?
「変な奴」




