蝶カッコいいパリス様VSトコトコウズラ
まぁ取り敢えず勝利したということでパリスはアイとハイタッチしようとした、が―――――
「あっ触らないでください。」
すんごく優しそうなメスの蝶から恐ろしいほど冷たいことを言われてパリスの炎は今にも消えそうだ。
「……だって熱いじゃないですか。」
パリスが傷ついたのに気が付いたのか、ちょっと申し訳なさそうにアイはそう告げた。
だがパリスのテンションはたった今から最底辺だ。
ファイアバタフライはファイアバタフライとしか番えない。
そんな事実をパリスは今になって知った。
「詐欺だ。こんなの詐欺だ。」
「えぇっ~と落ち着いてください?え~あの~お名前はたしか…」
「パリス様だ。」
「あっそのパリスサマさん?先ほ「ごめんパリスでいい。」えっ?あっそうですか?
じゃあパリスさん。大丈夫ですよ。きっとその燃えるような体がいいというメスの方も…
「いるわけないだろっ?」あーそうですね。「今度は即、肯定っ?」…まぁ、
安心してください。この世界はこんなにも生き抜くものに優しいのですから。」
その言葉に別の世界の記憶も持つパリスは驚いた。
「この世界が優しい?…冗談だろ?この弱肉強食の世界が?」
「えぇ、だから言ったじゃないですか。この世界を『生き抜く』ものに優しいって。
死んでしまったらそこでお終いですが生きていけばいつか伴侶を焼き尽くさない力も手に入る……はず?」
「何で最後疑問形っ!?……まぁそうかもな、そんなチャンスもあるかもな、『生き抜けば』。」
「えぇ『生き抜けば』。」
「「はははははっ。」」
ひとしきり笑ったあとパリスはすっきりしたがそこでふと気が付いた。
「……ところで何て名前だっけ?」
「酷いっ、言ったじゃないですか。アイですよ。ア イ。」
「……初耳だ。」
「アレ?そうでしたっけ?じゃあ改めて自己紹介します。アイです。種族はホワイトバタフライ。
レベルに関しては内緒です。」
あれ?レベルってそんな聞かれて恥ずかしいものだったっけ?
パリスには女心は判らなかった。でもきっとユーミアでも今の台詞には疑問を覚えたに違いない。
でも取り敢えずパリスは女心はそういうものかと納得することにした。
そんなこんなでまた会ったらお話ししようと約束を取り付けてこの時はパリスは離れた。
その直後パリスは振り向く。
「あれ~律儀に待っててくれたんだ?…じゃっやろっか。」
トコトコウズラ RANK E
チョコチョコウズラの進化系で人間の子供より少しだけ大きいぐらいのモンスターだ。
ただ、このモンスターはパリスたちが別れるのを待っていたのは事実だが、
それは邪魔をしない為ではなく、2対1では勝てないと踏んだからだ。
まぁそんなこといえば、いくら鳥族が昆虫族に対する優位性を持つとはいえEランクでCランク上位に挑もうとすることが間違いだった。
「お礼にサービスしてやるよ。ん~そーだな。ん~、ん~、ん~……だめださっぱりサービスが思いうかばねぇっ。
ってわけで死ね。」
パリスはトコトコウズラに覆いかぶさるとその身体を抱きしめて焼いた。なるべく一気に焼いてやった。
意外に高い温度に強いのか思ったほど早くは焼き切れなかったので苦しんでいたが、
苦しみながらトコトコウズラは時折どこかを見ていた。
パリスがその方向を見ると小さなチョコチョコウズラたちが近寄ってきていた。
「ピィィッ」
トコトコウズラは来るなとでも言いたかったのか雛たちに向かって強く鳴いた。
それを最後にトコトコウズラは焼け死んだ。
母鳥を殺したパリスに1匹のチョコチョコウズラが突っ込んできては焼け死んだ。
残りのチョコチョコウズラはパリスが2匹を喰らい尽くすまでじっとその様を見て去ることは無かった。
罪悪感を感じたのかどうだったのかは知らない。仮にそうだったとしたら本当に今更だ。
だが、結果としてパリスは残りのチョコチョコウズラに手出しをせずに飛んで行った。
パリスはLの欠片を手に入れた。
ちなみに炎の実体のないからだを持つパリスがどうやって見たり聞いたり食べたりしているのかは謎。




