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蝶カッコいいパリス様VSマスターマイセリア

前回までのあらすじ。3行。

お姉様ラブよ。なプリンセスなシスター登場。

その前でお姉様ナンパ。

フルボッコにされた。←今ココ

この世界にはいないが、世界的な英雄の配管工の男を知っているだろうか?

…そうBでダッシュする鼻がデカいあの男だ。

彼はキノコを食べては巨大化し、星を掴めば無敵になり、花を摘んでは火をだし、

葉っぱを拾えば尻尾が生えて空が飛べる。尻尾が生えることと空を飛ぶことは普通一致しないが、

彼はなんたってスーパーだからそんなのは当然のことなのだ。


そして何より彼は緑色のキノコを食べてさえいれば決して死ぬことは無い。

何度でも不死鳥のようによみがえるのだ。全く駆逐艦は最高だぜ。ハラショー。


そんな凄い彼のパワーの秘訣はなんだろうか?

噂として彼は特殊なキノコで生きたまま身体を作り変えられた生体兵器という話がある。

あくまでネタ程度の話だが…。

その説において凄いのは一つ一つのアイテムの効能だ。

瞬間的に体組織のバランスを維持したまま細胞数を2倍に膨れ上がらせるだの、

人体発火レベルの揮発性高温ガスを発生だの、

超高速再生だのキノコの王国の科学力は世界一ィィィィ的な?


まぁ今回の話はそんな話。



話は変わるが世界一大きさのキノコはどれくらいか知っているだろうか?


A ヒトの拳一個

B ヒトのアレ一個(励起状態)

C ヒトを丸々すり潰して作った肉団子一個分

D むっちゃデカい


Aの拳一個分位?

ノンノンノン。

それはあくまで子実体の話。

表面に出ているキノコはあくまでほんの一部でしかない。

正解はDのむっちゃでっかい。でした。


アルミラリア・オストヤエというキノコがあって東京ドーム200個分以上の大きさだそうだ。

まぁいつもいつも日本人は大きさに東京ドームを、食物繊維にキャベツを例えに出すが、

どちらも言うほど凄いわけではない。

それでもまぁ200個分というのは十分デカいのではないだろうか。



此方の世界にもそれより少しぐらいデカいキノコのモンスターが存在する。







菌糸(マスター)の王(マイセリア)  RANK SS+


どれぐらいデカいのか?

解かりやすく言うなら菌糸の森一帯と同じ大きさにマスターマイセリアはあると言えばいいだろうか。

いや厳密にはマスターマイセリア自体が菌糸の森なのだ。

キノコモンスター達が闊歩するその足元には最強のキノコモンスターが眠っていたのだ。










前書きはこの辺にしておいて本編に戻ろう。

前回アデルフィーナに一撃で沈められたパリスであったが目立った外傷は無く、

気絶しているだけで済んだ。

もしかしたらそれはパリスの下で潰れている人間と関係があるのかもしれないしそうでないのかもしれない。

気が付けば月の出た夜であったので取り敢えずディナーとして潰れた人間を食べたパリスは周囲を見回した。

そこにあったのは緑色のキノコ……



「1UPキ○コ!?」


思わずマ○オなキノコを見つけてテンションが上がるパリス。

あのゲームの通りであればこれを食べただけで一回は生き返れるのだ。

この殺し合いが常の世界で命のストックが一つ増えるというのは非常に大きい。

だから迷わず食べることにした。








だいたいこういうのは罠なのだ。

そしてやっぱり今回のも罠だった。


ファイナルフィッシャーキノコマン  RANK SS+


そう。マスターマイセリアと同じランクSS+だ。

これは偶然ではない。

ファイナルフィッシャーマンがマスターマイセリアの端末であるからだ。

これはファイナルフィッシャーキノコマンがこの位階に進化するずっと前、

自身の一部ではなく、支配下にある最下級キノコモンスターであるキノコノコノコを餌に獲物を待ち構えていたことがあった。

自らの身体を損傷させる可能性を畏れたためだ。

だがキノコノコノコが長らく生き延び、キノコノコになり、そこからホクト―キノコに進化した辺りから様子が変わり始める。

更にラオーキノコにまで進化した時フィッシャーキノコマンはその支配を十分にきかせられなくなった。

そしてキングマイセリアにまで元キノコノコノコが成長した時には支配関係が逆転して、

フィッシャーキノコマンの方が端末となっていた。


今現在マスターマイセリアから養分を提供されて最終形態ファイナルフィッシャーキノコマンにまで進化した端末の役目は、

『菌糸の森』を一気に広げるために必要な地表に出した生殖器もとい子実体である緑色のキノコの護衛と、

それを囮にして寄ってきた獲物を養分にすることだ。






だが相手が悪かった。

緑色のキノコに留まった蝶を周囲の木々ごと纏めて喰らったはずだったのだ。

しかし今その蝶はファイナルフィッシャーキノコマンの閉じられた口の先端に留まっている。

確かに捕えたはずだった。緑色のキノコが感じていら重量感を確かに『感じた』はずだったのだ。

アタリがあったにもかかわらずアワセに失敗してしまったのだ。キノコ界最強の釣り師である彼(?)が。


まぁ実際の所パリスも女の子や意表を突いた何かが無い限り馬鹿ではないので『感覚操作』で1UPキノコを確認してみた。

具体的には齧られた程度の痛みを与えてみたのだ。

案の定罠であった1UPキノコは接触を感じた瞬間引っ込み、代わりに巨大な菌でできた口がその周囲から天に向かって伸び、

そして閉じた。



トラップ型モンスターであるフィッシャーキノコマン系統の類にもれず獲物を採りこんだ内側の部分は非常に強靭にできている。

取り込まれたうえで内側から突き破るなんて言うのは恐らく魔王級でなければ難しいのではないだろうか。

しかしトラップが作動した際の外側の部分に関してはそこまでは強くできていない。

鰐が口を閉じる力に比べ開く力が弱いのや、釣糸の結び方の中に魚側の方から引っ張ると強いものの、

竿側の方から解くとすぐ解けるものがあるのと同じだ。

ファイナルフィッシャーキノコマンの場合内側に向かって強力に菌繊維が発達している。

そのため最内の強度は外側の表面とは約10倍以上の差が存在する。



それがどういうことかわかるだろうか?

地表に出て獲物を喰らい沈むまでが一瞬とはいえ、

今ファイナルフィッシャーキノコマンは無防備に弱点を晒してパリスの前に存在するのだ。

予め仕掛けておいた満天の月下に漂う直径100mに広がる光学鱗粉によるレンズにより集められたレーザーを照射する。


「月は出ているか?……なんてな。」





月の光量が太陽に劣るためレンズが受ける光自体は減っている。

ならば方法は二つある。一つは焦点をより絞ることにより集約率を上げる事。

これに関しては月から受ける光をパリス自身が受け更に焦点を絞ることで解決している。

もう一つはスキル『発光』を鱗粉の一つ一つに加えることによって単純に光量を増やせばいい。

『発光』に伴うエネルギーは月光に対してのスキル『光吸収』で賄う。

それによってレンズが受けている光とレンズから出ている光で明らかに出ている光の方が多いという特殊な状況が実現している。

完全に物理法則を超越している気がするが反転分布とかわけわからない理論で誤魔化しておこうと思うので気にしないでください。

困った時の粉じん爆発や熱膨張と同じ感じだ。詳しく知っている人が見ればぼろが見えるのでそっとしておいてほしい。


月光という不十分な光を受けつつも夥しいほどの光子を集約して放ち続けるパリスのサテライトイケメンレーザーの前に、

ファイナルフィッシャーキノコマンは瞬間的に灰になった。

ファイナルとかいう割に案外あっけなかった。



パリスはスキル『釣り士』を手に入れた。







先程もいったがファイナルフィッシャーキノコマンはマスターマイセリアの端末だ。

当然ファイナルフィッシャーキノコマンが消滅させられて気が付かないということは無い。

余談になるがマスターマイセリアは長らく休眠状態でいた。

理由は領土を広げるための胞子をばら撒く緑色のキノコを造るための準備休養期間であったからである。


しかしつい最近その眠りが妨げられた。

その理由は突如天から降り注いだ森を小区画ながらも焼き尽くした熱線のせいである。

その犯行に及んだものを地表にある金糸を使い注意深く探していたが暫く見つかることは無かった。

しかしその日の夜出力はほんの若干だけ落ちるが同様のレーザーが自身の端末たるファイナルフィッシャーキノコマンに降り注いだ。

コイツが犯人、いや蝶だから犯虫かと理解したマスターマイセリアは犯虫を倒すことにした。







森が動く。

パリスが感じたのはそれだった。

突然の地面の揺れに慌てて宙に舞いあがるとパリスがいた場所だけでなく森全体が揺れていたのがわかった。

ジャイアントバタフライやギガントバタフライの話の際に体が大きいだけと馬鹿にしたことがあったが、

身体の大きさというのは単純に強さの要素の一つである。

ましてやその大きさが森一つ分ともなれば勝てるものなどそうはいまい。






パリスを一撃のもとにのしたアデルフィーナでさえも無理だろう。

何せ単純に森全体であるマスターマイセリアの驚異的な耐久力の前には決定打が無さすぎる。

もちろんアデルフィーナの『お姉様』でも同様の理由で多分無理だ。

そもそもいろいろあって『お姉様』と一緒に眠っているアデルフィーナはこの危機的状況に反応した『お姉様』が起こそうとしても、

離れる様子も起きる様子もない。

「むにゃむにゃ、もう少しだけ~。」

もともと寝たらなかなか起きないこであることを知っているだけに『お姉様』も

無理に起こす気にもなれなかった。


ちなみに『お姉様』の歳が大きくはなれた姉であるランクSSS級モンスター、女帝雀蜂(エンプレスヴェスパ)たるスフィカは、

今現在親戚の妹分から紹介したいオスがいるといわれたとかそんな理由でいま極点に移動していてここにはいない。

いたら1分もせずに制圧が完了している。

勿論妹がライブでピンチと知ればそれこそ超音速の飛行速度で帰ってきてくれるだろうが、知らないことにはどうしようもない。

というかその時は極点に住まう海氷雀蜂も応援に来てくれるだろう。

ましてや蜂族最強、いや全世界最強たるスフィカの親戚の妹分の母親が出てきた際には菌糸の森の蜂と、

ハチミツの原材料になる花以外の生命体が滅ぼしつくされるのは確定だ。

まぁ普段は春でも夏でも秋でも冬眠しているのでそれは無いだろうが。

そんなことを考えていると『お姉様』も眠くなってきた。

……まぁ本当に危なくなったらその時どうにかすればいいか。

そんなことを考えながらアデルフィーナを抱きしめて眠った。

…………色々とまさぐられたりしないように念入りに抱きしめて眠った。






話が大きくずれた。現状に立ち返ろう。

今、森は中央付近を起点に大きく盛り上がり変動する地形の上に生えてある木々が倒れていく。

そして地形隆起により起こる大地の揺れに獣や鳥たちが鳴きながら避難している。

鳥はともかく、獣は結局逃げようと思えば森から出るまで走り続けなければならないのだ。超頑張ってくれ。


本格的に目覚めたマスターマイセリアは『敵』を排除するために食事を始めた。

木々は地面から菌糸に侵食され内側から食い尽くされ砕け、

鳥は地面から伸びた菌糸に引きずり落とされ、獣は地面ごと飲みこまれる。


時折パリスにも襲い掛かってくる菌糸にはサテライトイケメンレーザーで何とかできるが、

如何せん地表や伸びてきた菌糸を傷つけることはできても森の土壌全体にまで有効な攻撃力はパリスには無い。

器用貧乏であるが故に特化したものが無いパリスの弱点であった。


食事を終えたマスターマイセリアは空に残った敵に対する攻撃を開始した。

幾つもの菌糸が異常な太さと力強さでパリスに襲い掛かるそれはキンリュウソウの時でさえ比較にならない。

その風圧を利用して躱すことも逃げることもパリスにはできた。

だがそれをすればどうなる。

菌糸の森に隣接する幻惑の森に住む妻たちを初めとするコミュニティ―のもの達が森ごと飲みこまれるのを見過ごす羽目になるのだ。



だがサテライトイケメンレーザーでは威力が足りなさすぎてマスターマイセリアには到底届かない。

たとえ同じ原理を太陽の光でしても難しいのかもしれない。

パリスでは力が足りないのだ。

圧倒的な力が足りないのだ。


圧倒的ではないがそれなりの技を多く身に着けている。

それがパリスの立ち位置であった。


取り敢えず幾ら最上位蝶族たるパリスとはいえ、森全体の土壌を破壊するほどの力は持っていない。

最上位蝶族であるがゆえにあと数千年時を経さえすれば可能になるであろうが、

今はまだ力が足りないのだ。森全体の土壌を熱砂に変えたり蒸発させるほどの力は。





ならば、だ。それならばその複数の技を組み合わせればそれなりになるのではないか、パリスはそう考えた。

早速手に入れた複合スキル派生必殺技『炭酸ガスレーザー』、

パリス風にいうとケミカルイケメンレーザーを使用しようとしたが、

『条件不足の為使用不可能』だった。

必殺技としてパリスの中に存在しているにもかかわらず『解放条件未達成の為使用不可』という言葉が心の中に降りてくる。

そうしている間にも菌糸の巨大な鞭が増え、攻撃が激しくなってきている。

時折中にある菌糸で固めた土壌と菌糸の柄でハンマーのようにパリスにぶつけてくる。

その圧倒的な質量は触れてしまえばお終いだ。




だがそんな中で条件が揃わないなら揃えればいい。パリスは薄く笑う。

「炭酸ガスってようするにCO2だろ?」

天を覆う鱗粉を『ダイア化』させて一部を『可燃付加』させて『発火』させる。

炭素が燃焼して発生した二酸化炭素と空気中の窒素を掻き集め炭酸ガスレーザーの媒体を完成させる。

後は極めて高い反射率を持つ鏡が必要だがそんなことはパリスの光学操作の前には苦でもないことだ。


『条件達成の為使用可能』


パリスの心の中にすとんと今なら必殺技が使用できるという状態が降りてくるのがわかった。

同時に『これまでの工程を自動化して組み込む』のがパリスにはなぜだか理解できた。



まぁ原理なんてのはどうでもいい。ようするに十分な威力があればいいのだ。

パリスは深く考えることもなく向かってくる大鞭の大群にケミカルイケメンレーザーを射出した。












………………凄まじい威力だった。

大鞭の大群に当たったレーザーは焼き焦がすとか焼切るとかそういう次元ではなく、

触れている部分を完全に蒸発させていた。

攻撃の範囲は点であったがそれで十分だ。点は高速で動かせば線になる。

パリスは当初緑色のキノコがあった位置の周りに円を描くようにケミカルイケメンレーザーを射出し続ける。

当たった地面が蒸発しどんどんと深く地面が掘り進められていく。

緑色のキノコにつなぐ太い菌糸のラインが露わになり次の瞬間焼き尽くされたとき、

マスターマイセリアはその活動を止め、再び長き眠りについた。

同時にケミカルイケメンレーザーの射出装置であるガスとレンズが温度が上がり過ぎて崩壊した。

パリスはこのまま地面をじっくり焼きつくして息の根を止めるつもりもなかったのでそれ以上の攻撃はしなかった。


パリスは表面に露出(ドロップ)した緑色のキノコを見つけると今度こそ一気に食べた。

パリスはスキル『1UP』を得た。








マスターマイセリアの暴走は早期に喰いとめられたため、

生態系は大きく変わることは無かったがこれ以後菌糸の森は凄く起伏にとんだ森となった。

ちなみに蜂の御嬢さんたちは次の日、



「デルフィ、昨日の地震は凄かったな。」

「お姉様、地震があったのですか?わたくしてっきりわたくしの下でお姉様がもぞもぞしてるとばかりに……きゃっ。」

「お前というやつは……まぁ…うん、諦めよう。」

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