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蝶カッコいいパリス様VSキンリュウソウ

何処かで恐ろしいほどの執念に自身を探しているものの気配にパリスは悪寒が走った。

マザーがダッシュした訳ではない。ちょっとわけのわからない恐怖を感じたのだ。


そんな彼は今肩慣らしの相手を探し求め、

その結果としてS+ランクモンスターであるキンリュウソウと対峙している。


キンリュウソウ。

ランクS+の超高位植物族モンスター。ギンリュウソウの進化系。

竜と植物と茸の因子がより密接に融合し高次の存在となった細胞で構築されたその身体は、

黄金に輝き、ギンリュウソウと比べ格段に能力が向上している。



そんなキンリュウソウに対峙しているパリスには脅えは無く、

むしろちょうどいい腕試しが来たと満足している。

…無論蝶に腕は無くあったとして前脚だが、そんなことは気にしてはいけない。

何故彼がそんなことをしようとしたかというと、

以前ヨーヨーモンスターを倒した際に経験値が必要指定値を飽和したのか、


おや、パリスの様子が…


状態になり透明西風蝶(クリアゼフィルス)から幻惑西風蝶(ミラージュゼフィルス)に進化したからだ。

幻惑西風蝶(ミラージュゼフィルス)の力、それは強力な光学作用を持った鱗粉を操作し空間全体の光を操作する力だ。

鱗粉を敢えて持たないことで透明度を増していた透明西風蝶(クリアゼフィルス)までとは違い、

爆発的に能力の支配領域が拡大した。

取り敢えず近くにいた猿のモンスターに試してみたところ先程から木に対して交尾を続けている。

そのすぐ横には天敵の羽の生えた虎のモンスターがいるにも拘らずまるで『見えてない』かのように木と交尾をしている。

あっ喰われた。

猿を食った虎はその後木を齧り続けている。

すぐ横に虎をゆうに超える烏賊がいるがやはり、『見えていない』ようだった。

結局その烏賊に虎は食われ、烏賊は遊びに飽きたパリスにスルメにされた。

非常に愉快な使い方のできる能力だ。


だが折角なので自分の力を十全に出して戦う相手が欲しかった。

そんな中スルメに突如触手が伸びてきてスルメをかっぱらっていってしまった。

そのスルメの行方を追ってみれば案外近くでスルメを食んでいる龍のような植物がいたわけであり、

それで冒頭に至るわけだ。



その植物は以前パリスが倒したギンリュウソウに凄くよく似ていた。

モデルをコピーして色を眩い金色に変えて大きくしたような姿だ。

まぁ確かにギンリュウソウの正統進化である以上形が大きく変わったりはしなくても無理はないのだが、

ちょっとだけ手抜き感を感じてしまう。

敢えて褒めるなら、ギンリュウソウの時点でフォルムが完成していたとも取れるのだが。





何はともあれパリスにとってキンリュウソウがランクS+の実力を持ち、

新たな位階に昇り詰めたパリスを愉しませてくれればいいのだ。

今できる自分の力を試すためにパリスは周囲に鱗粉を振りまく。

パリスを核として周囲に散布された鱗粉は巨大なレンズとなり、

以前までとは一線を画す威力のレーザーが放たれた。


圧倒的光量のレーザーが地面を削りながらキンリュウソウに向かっていく。

削れらた地面が赤熱して地中の蒸気を発していることから、

単純にそのままキンリュウソウが真っ二つに焼き切られることだとパリスは思っていた。


しかしその予想は簡単に覆された。

超高密度に融合された龍と菌と植物の因子で造られた金色の特殊細胞は強力な光に対する反射特性を持っていた。

本来であれば完全な反射が起こる場合は鏡のように光の入力先がそのまま反映されるため、

金色に見えるという時点で既に光の反射能力を落としているはずなのだが、

キンリュウソウはいともたやすくパリスのイケメンレーザー(仮)を跳ね返した。


パリスは跳ね返された光に対し驚いたがしかしその作用によってダメージを受けたなんてことは無い。

ただ更に透明度を上げただけで対処をした。

光を透き通すということは光の影響を受け付けないということである。

代わりにパリスを透過した光がその延長上にいた飛竜に直撃して墜落させた。

パリスはキンリュウソウで新しい自分の力を試すことができなかったことは残念だったが、

その反射で飛竜を即死させたことで威力実験としてはまぁまぁの満足を得た。


しかし満足していないどころか不満しかないのはキンリュウソウだ。

いきなり何もないところから高密度レーザーが飛んできた。

キンリュウソウはその特殊細胞故に被害をこうむることは無かったが、

自分を害そうとするものにまで平然と対処を取らないでいてやるほど野生の世界は優しくない。

当然キンリュウソウも見えない何かに反撃してやろうと考えていた。

……いや、正確には見えない何かではない。

しかけたパリスがまだ新しい力に不慣れであったためか、

完全に透明になりすぎると光が透過し過ぎるがゆえに透明度を調節したためかはわからないが、

一瞬だけ空気が蝶の形に歪んだようにキンリュウソウは感知した。

ギンリュウソウまでの時には目が無いがゆえに知覚を完全に地面に散布された菌根による触角に頼っていたが、

キンリュウソウの特殊細胞は、その細胞の一つ一つが光を感知するがその上で一定以上の光量を反射して調整可能な視覚、

空気の振動を直接感知する触角を兼ねた聴覚、

空気中の微細物を吸収して取り組む味覚と消化器官を兼ねた嗅覚を持った高機能細胞なのである。

そのうちの視覚機能をもって敵対者の影を捕え、特殊細胞で束ねられた根を幾つも地中から生やし、

一斉に叩きつけた。


しかし荒ぶる無数の菌根もただただ地面や他の菌根を打ち据えるのみで、

圧倒的な回避能力を持つ最上クラスの蝶族であるパリスを叩き潰すには至らない。

鞭であり、口であり、胃であるその菌根を受けて無傷ということは無いだろうが、

それこそ当たらなければどうということをないを地で行くのが蝶族の圧倒的な回避能力だ。

物が動く際の僅かに発生する風を感知しその特有のゆっくりとした舞いで為される必要最小限の移動の前に、

キンリュウソウの攻撃手段は何一つ通用しない。

時折菌根ごと溶かし飛ばす強力な溶解液のブレスを撃ち出してはいるがそれすらも何の効果も生まない。

特殊細胞で内部に一時吸収し乱反射させ再度収束することによって放たれるレーザー光線などは、

そもそも光のエキスパートであるパリスに対して行うなど釈迦に説法もいいところだ。

本来他の生物に対してであれば暴虐の嵐というのも生易しい攻撃の乱舞が全く通用しない中、

この状況に飽きたのかサイド攻撃に転じたパリスによって状況は大きく推移した。


パリスは先程キンリュウソウに行った超高出力レーザー、彼曰くイケメンレーザーをキンリュウソウの足元に射出する。

僅かな時間で地面が熱せられるがキンリュウソウも馬鹿ではない。

自身の周囲に菌根を集中して生やすことで鏡の壁を作りだした。

当然レーザーは跳ね返されるがそんなことはパリスにとっては想定の上。

逆にキンリュウソウの周囲以外の菌根が手薄になったことで菌根の壁の寸前まで楽々と近づいていく。

そして再び大量の鱗粉をキンリュウソウの周囲で生成した。



パリスが何を行うかわからないが、自身を殺傷さししめる手段を持っていると恐れたキンリュウソウは最後の技に出る。

支配範囲にある領域にある全ての菌糸を励起状態にし、周囲にある生命という生命を菌糸を通じて奪い去る。

周囲にある木々が即座に枯れ、朽ち、その枯れ木の内側から突き破って伸びた菌糸がその木に巣を作った鳥たちに襲い掛かりその命を奪った。

わずか数秒にして周囲から音が消えた。

略奪の力によって最励起状態になったキンリュウソウが行う最奥義。

その下準備として支配領域全体に夥しいほどの菌根が地中から天に向かって生える。


そして互いに絡み付き巨大な大鞭となった菌根群は互いに勢いをつけてぶつかり合うと光の粉のように霧散した。



キンリュウソウの最終奥義 『菌龍葬』



大気中に充満する菌は大気中でぶつかる自分以外の全てのものを食い尽くす。

如何に回避に優れた蝶族とはいえ、大気中に万遍なく存在する粒子までは躱しきることはできない。

早速パリスの身体に付着した菌が侵食を始めている。

最上位クラスの昆虫族モンスターが持つ生命力に取り組んだ力が飽和し、付着した端から菌が自滅していってはいるが、

着実にパリスの力が奪われていっていた。



だが、キンリュウソウが最後の攻撃手段を取ったようにパリスに攻撃手段が残されていないわけではなかった。

先程キンリュウソウの周囲に散布した鱗粉を一斉に『発火』させた。

炎に包まれたキンリュウソウの身体の表面は焼け焦げ黒ずんだ色に変わる。

悪魔で黒焦げになったのは表面だけで、その甚大な生命力から、逐次元の金色の細胞に再生し始めているが、

パリスにとってはキンリュウソウの最表層の細胞が壊死した。






――――――――それだけで十分だった。

上っ面が黒ずんだだけで既に鏡面反射の機能は作用しない。

パリスは3度目のイケメンレーザーを射出した。

黒ずんだ表面では光を反射するどころか受けることしかできない。

そしてそれによって発生した熱量が黒ずんだ細胞の直下の間だ金色の細胞も壊死させ攻撃対象範囲に惹き落とす。

その刹那の繰り返しによりキンリュウソウは真っ二つに切断された。

同時に主を失った菌細胞はその機能を停止して落ちていく。




パリスはスキル『略奪』を手に入れた。



「まっ、オレ様の敵じゃねーな。

………だが、まだだ。まだ満足しねえ。オレはもっと高みへ、もっと強く、もっとかっこよくなって見せる。

此処じゃまだ、終われねーな。」





この日以降、この森に住まう生き物たちが急に朽ち果て溶け崩れていくという現象が発生することになる。

人々はこの現象を起こしているものを魔王(アエーシュマ)と呼んだ。

……なんのことはない。姿を隠したパリスが透明な鱗粉で『略奪』の力を作用させただけである。

ミラージュゼフィルス RANK SS+ 名称パリス LV155


属性 空 虫 光 風 弱点 闇 火 水

HP3500 SP3900 ATK1900 DEF1900 INT12000│(種 限界値) MAG2900 RE2900 DEX2200 AGI880

称号 コミュニティーリーダー 竜殺し 同族殺し

種族特性 蝶感覚 糸を吐く 食草 吸蜜 半透明 光学操作(透過、収束、屈折、反射) 内定強化(大)

毒耐性遺伝(大) 幽玄の舞い 揚力上昇 フェロモン生成 鱗粉 光学機能付き鱗粉操作


スキル 猛毒耐性 猛毒 自己を映す鏡 対植物(大) 好き嫌い克服 カリスマ(中) 交渉術 統制力(小) 柔軟性

回転 催眠作用 幻覚作用 視力上昇 蝶派手に忍ぶ 滋養強壮 ヒモ 体温上昇 免疫低下攻撃

火耐性(中) 雷耐性(小) 姿勢制御 軽量化 発火 可燃付加機動性上昇 キラキラ

体力吸収 感覚強化 生命力上昇 感覚操作 発光 ザ・目立つ 美味化 早食い 戦闘後捕食簡易化補正

光吸収 幻影 幻覚 巨大化成長補正 スピナー テクニシャン 切裂舞 略奪



ミラージュゼフィルス

ミラージュバタフライの亜種


ミラージュバタフライ

自らの翅だけではなく、付随した様々な光学作用を持つ鱗粉を使用し、

支配する空間全体の光を自在に操る透明翅(グラスウィング)蝶(バタフライ)の最上位存在だ。






ギンリュウソウ系上位


キンリュウソウ

テリトリーはかなり広くなった。

地中から極太の菌糸の鞭を大量発生させるパターンから、鞭同士をぶつけて空中で鞭を分解し、

発生させた菌糸の雨に当たったものを寄生状態にする特殊派生パターン(菌竜葬)がある。

ただ、何かしらの形で食事系のスキルやその他の要因等で、

無効化したり消化したりもできる上に、

寄生されきる前にキンリュウソウを殺せば端末も死ぬので必ずしも万能なわけではない。

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