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蝶カッコいいパリス様VSヨーヨーモンスターズ +???

ヨーヨーをしたことがあるだろうか?

出店で取れる水風船の方ではない。

ストリングプレイスパイダーベイビ―とドヤ顔でいう方のアレだ。

昔の人はコ○コーラのヨーヨーと言えば分るかもしれない。

最近はヨーヨー、プレイヤー共に技術が凄いことになり、

強力な空転(スリープ)に裏打ちされた超ロングコンボや、

指の隙間を通すプレイや、水平(ホリゾンタル)技、

果ては中国独楽(ディアボロ)のように糸からヨーヨーが独立したプレイなんてのもある。

まぁプレイの話はこれぐらいにしておこう。


ヨーヨーの歴史は意外と古く、人形遊びの次に古い遊びがヨーヨーだと言われている。

古代の壁画にも描かれるくらい、古代から続いてきた遊びなのだ。

そういう意味では蹴鞠や歌留多よりも伝統的な遊びなのかもしれない。



ホラーで古くなった人形に魂が宿り、ひとりでに動く、という話がある。

まぁそれは人形の役目がそもそも身代わりだったりする側面からというのも大きいのだが、

単純に古くから伝わる物には付喪神的な側面もあるのだと思う。

では、ひとりでに動くヨーヨーの話は聞いたことがあるだろうか?

……無いだろう。だって全然怖くないものだから。


だが、この世界にはひとりでに動くヨーヨーが存在する。

其れも幾つもだ。

この世界のヨーヨーの中には回転することによって作用する魔術回路が設けてあったりなど、

ただの遊びとしてでなく、武器としてもこの世界にはヨーヨーは存在する。

中には魔術によって術者の周囲に待機するものまで存在する。

だが、それはひとりでに飛んでいるわけでは無く操られているものだ。

ひとりでに飛ぶヨーヨー。それは魔法生物的なモンスターのヨーヨーである。


かつて栄えていた都市の廃墟などによく出現する人為的な形をした魔法生物群として存在する

モンスターのヨーヨーは武器のヨーヨーと比べ非常に大きい。

仮面と同じく人型よりもモンスターの方を狙いやすい傾向もあるが、

やはり人を襲わないわけではない。巨大な回転する重量物が高速で飛んでくるのだ。

ミンチになること請け合いだ。


また、ヨーヨー系モンスターには大きく分けると2種類あって、

銀色の球体や人形のようなものから糸のようなものが出ていてヨーヨーを操っている支配型のものと、

ヨーヨー自体が動いている独立型のものと、だ。

厳密にいえば全く別のモンスターなのだが、一纏めにされることが多い。


魔法生物系のモンスターに多い特徴ではあるが、倒すとそのまま倒したものが使いやすい大きさの武器に変わることがある。

その際になるべく形を壊さず倒すとそうなりやすいらしい。

方法の一つとして独立型であれば霊的攻撃など、非破壊性攻撃を加えてやる、

支配型であれば戦闘中に糸を切り離した状態で本体である球体や人形のようなものを破壊すればいいのでもっと簡単だ。

ただし、独立型ヨーヨーモンスターを支配型が操っているパターンもあるので、

その場合は糸を斬り落として安心した後に背後からやられるケースもある。

更に特殊なケースとして、糸を使わずにヨーヨーを操る特殊な支配型もいるのだが、

そういう場合は支配している球体や人形を破壊するだけでいい。


ヨーヨーモンスターを倒して人々がヨーヨーをとして手にすることになったのか、

武器として使用されたヨーヨーのなれの果てがヨーヨーモンスターなのかはわからないが、

それは卵が先か鳥が先かのようなものだろう。



この辺り一体のエリアであると、割とヨーヨーモンスターはいる方だ。

パリスもここ最近ヨーヨーモンスターに遭遇した。



ファイアーボール×2 ハイパースピナー×1


ファイヤーではなく、敢えてファイアーな独立型2体なモンスターを糸で操る支配型モンスターのトリオだった。

ファイアーボールはその名の通り空転時には周囲に炎を纏い、その温度は回転速度に比例して強くなり、

ループザループが行われた際には伸びきった瞬間に前方に火の玉を射出することができるモンスターだ。

その使い勝手の良さから倒して武器として手に入れたがる者も多いが、2体になると非常に強い。

今回は球体型をとっているハイパースピナーの指示により独立型である時以上の精度と鋭さでパリスに襲い掛かった。

しかし、ヨーヨーの構造を理解しているパリスにとってはダブルループによる炎を纏った物理と炎の射撃も、

確かに困難ではあったが伸びたら戻ることがわかる以上ある程度の軌道は読めた。

そして起動が理解できるなら蝶族高位種であるパリスに躱せないものなどそうない。

ダブルループの間隙を利用して伸びきったファイアーボールとハイパースピナーの間にすり抜け、

その2本の糸を脚で掴む。

ヨーヨーは糸で操る構造上、よりヨーヨーに近い位置で糸を持ったものが優先的にヨーヨーを操れるのだ。

糸を操るに過ぎないハイパースピナーは勿論、

糸を持ったものに支配される特性のあるヨーヨーモンスターであるファイアーボールもただただパリスに操られるほかない。




「見せてやるぜ、本物のダブルループって奴をな。」



ハイパースピナーが操っていた時よりも遥かに短い糸の状態で周期の関係でより高速になった状態でダブルループを行い、

火炎弾をハイパースピナーに浴びせ続ける。

その速度は先程のハイパースピナーより圧倒的に早くまさにワープスピードと言われる速度であった。

何発佳火炎弾を喰らったハイパースピナーは地に墜ちた。残るはパリスが振り回している2体のファイアーボールだけだ。



「危ないから人に向けてはいけませんってか?アンタ人じゃないしノーカンだろ(笑)。」



パリスはダブルループからアラウンドザワールドとか地球一周とか言われるヨーヨーを大きく振り回す技に移行した。

ハイパースピナーが倒れたことでハイパースピナーからパリスまでの分の糸が使えるようになり、

当初ハイパースピナーが使っていた本来のファイアーボールの最大周期にまで半径が拡大していた。

だが、アラウンドザワールドの方向は二つのファイアーボールでは逆だ。


「あ~わりぃ、手元が狂った。」


二つの逆方向に振り回されていたファイアーボールはぶつかって砕け散った。


パリスはスキル『スピナー』『テクニシャン』『切裂舞』を手に入れた。




パリスのようにヨーヨーを知る物なら対処の方法がわかるのも頷ける。

流石にヨーヨーの支配権を奪って反撃するというの天才の域だが。

もしヨーヨーを知らないのにも拘らず対処できるものがいたら…?其れはきっと…。









とある草原にて



同時刻、偶然ではあるがここにもヨーヨーと戦う蝶がいた。

ヨーヨーモンスターのタイプは独立高持久型。

つまりひとりでに動くストリングプレイタイプの機動を持つモンスターである。

円運動を中心にパターン化された様々な複雑な機動で獲物をすり潰す。

時折見えないトランポリンに弾かれたように直線的な動きを行うこともある。

同系統の最低ランクのモンスターなら人の身でも卓越した術者なら対抗できたかもしれない。

だがこの個体はBランクで尚且つ高レベルのモンスターであった。



ロングスリーパーⅤ


恐ろしいまでの回転力と重量で相対するものをすり潰す魔法生物だ。

魔法生物の中でも高位に位置するこのモンスターと戦っているのは、

儚さと雄大さを併せ持つ、群青の空のような優雅で美しい翅をもつ雌の蝶だった。

彼女を見て高位の蝶だと気付かないものは無い。

見ただけで解かるほど圧倒的な何かを秘めた存在であった。


■■■■■■■■■■■■


彼女の主武装たるは風の技。

しかし重量と抵抗を受けにくい円型のフォルム、超高速回転を併せ持つロングスリーパーⅤには有効ではなかった。

彼女が今だ攻撃を受けていないのは蝶感覚のおかげということよりも、

自身の翅に強力な風を吹きかけて一度の飛行で大きな距離を稼いでいるというのが非常に大きい。

その飛行速度はもはや蝶の域を完全に超えている。


そして自身の飛行速度に追従するように高い動体視力でロングスリーパーⅤの構造を認識する。

ロングスリーパーⅤの中心にはヨーヨーの回転とは少しずれたようにまわる物が存在していた。

解かりやすい言い方をすればベアリングである。

単純に軸を攻撃しても少しでも中心から外れればベアリングに受け流されてしまうのだ。

彼女はその仕組みを一瞬で理解して――――――――嗤った。


彼女はパリスのように刹那を見切る鋭敏な感覚を持つわけでもない。

ユーミアのように先の先のそのまた先まで見通せるわけではない。

だが、彼女は物理的な理解力がずば抜けていた。

そして、ただ単純に強かった。


彼女はロングスリーパーⅤに向かって糸を吐きつけ回転方向とは逆方向から巻きつける。

一瞬だけ糸がベアリングの上を滑ったが何週か回った後、ロングスリーパーⅤは彼女の方へ引っ張られるようにまっすぐ飛んできた。

いや、ようにではない。彼女に引き寄せられているのだ。

これが俗にいうバインドとか言われる技術であるのだが、勿論彼女はそんなことは知らなかった。

感性と理論だけでこの手段を想像したのだ。

そして彼女は引き寄せられてくるロングスリーパーⅤに向かって風を纏った片翅を向ける。

ロングスリーパーⅤの半径もそれなりに大きかったのだが、




―――――――彼女の翅の方が長かった。

糸によってロングスリーパーⅤの内壁と固定されたベアリングはもはやその役目を果たさず、

彼女の翅に吸い込まれるように両断された。




パリスが天才なら彼女はきっと、魔才とでもいえばいいのだろうか?


「どうして余計なモノばかり寄って来るかな?必要なのはあなたたちじゃないのに…。」

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