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蝶カッコいいパリス様VSジョウニンジン

皆はあのニンジンたちの事を覚えているだろうか?

そう、あの忍ばない忍者たちの事だ。

いや、現在においてその言い方は少し適切ではない。

訂正しよう。

皆はあのニンジンを覚えているだろうか?





パリスに敗北を喫したチュウニンジン二体は忍参(ニンジン)の里で想像を絶する修行を受けていた。

全ては散っていった仲間に報いるために、だ。忍参の里のチュウニンジンの中で最も強くなった。

もう最後の試験を受ければジョウニンジンに成り上がれるだろうというとこまで来た。

そしてその最後の試験の内容は、



『トモニチュウニンノキワミニイタッタモノトタタカイホフルベシ。ジョウニンニナルノハイッタイノミ。』




―――――互いに殺し合えというものであった。

彼らは憎み合っているわけではない。

だが散っていったここにはいないもう一体に約束したのだ。

何としてでも上忍に上り詰め仇を取る、と。


月もない夜、

赤色の鉢巻を付けた『空』のチュウニンジンと、

黄色の鉢巻を付けた『大地』のチュウニンジンは互いに頷くと迷いなく互いに向かって駆け出した。

そして二つの影が交差した後一つの影が倒れた。

最後までたっていた方のチュウニンジンの鉢巻は赤い様に見えた。









元ミザリオス、元メネラオスのコミュニティーを出た後、

いつも通り姿を消して森を飛んでいたパリスがグレートリザードを発見し、

姿を消したまま襲っていた時だった。


グレートリザードの体液を吸い尽くし、その場を去ろうとした時だった。

葉で造られた手裏剣がグレートリザードの真上、つまりは見えないはずのパリスに飛んできたのだ。

咄嗟に光学操作レーザーで焼き尽くすとそこには忍者がいた。


いつものようにBGMが流れており後ろに色つきの煙などのエフェクトがかかっているが、

そこに明るい雰囲気は無い。

あるのはどこまでも暗い殺意だけだ。

この暗殺には敢えて目立つ特殊効果もかつての仲間たちの思い出の残滓でしかないことを考えれば、

そのひょうきんげな効果がかえって白々しく悲しい。


ふざけて楽しんでいたころと、ふざけていた頃の思い出につかるために楽しくもないのにふざけているのではその中身は全く違う。

―――――だがそれでも彼はSHINOBIでなければならないのだ。


―――その様はどこかイケメンであろうとするパリスに似ていた。



「なんか見ないうちにSHINOBIじゃなくて忍びになっちゃったな。正直見たくなかった。」

「………ニンッ。」

互いの勝利条件は相手の死。ならば殺し合うしかない。この世界は、いやこの世界も生き延びたほうが正義なのだ。

パリスは思い出す。あの『赤い』鉢巻は確か空中型の炎使いであったはずだ、と。


だからこそ敢えて低空で飛行してジョウニンジンに襲い掛かる。



しかしパリスの翅がジョウニンジンに当たる寸前で地面から大岩がせり出し、パリスを上に突き上げた。

ジョウニンジンの鉢巻の『赤』は倒れた仲間の鉢巻を継いだものだったのだ。


パリスの姿こそ視認できないが、『彼ら』はパリスの情報を集め、共に姿の見えぬ敵を想定し、

気配を読む訓練を続けてきたのだ。そして自身(なかまごろし)に対する最大の皮肉をフェイクとして活用した。


仲間の死すら利用したと取るか、仲間の死が作ってくれた千載一遇のチャンスをものにしたかと取るかは受け取り手次第であろう。

だが、少なくともパリスにはそのロマンとなぜここにもう1体のニンジンがいないかが理解できた。

…流石に仲間の死因が目の前にいる唯一のジョウニンジンとまでは判らなかったが。


上に打ち上げられダメージを負ったパリスに追撃すべく、ジョウニンジンは自身の足元を隆起させ己の身体を上空へ弾き飛ばした。

空中戦は本来の分野ではないが、共に成長してきた親友の動きを思い出せば実行できた。

上に弾き飛ばされたパリスの更に上に先に飛び上がり、今度はパリスの上から下に叩きつける。

地面には尖った岩を隆起させてサンドイッチを用意して、だ。

逃れようとするパリスだが、両端にはジョウニンジンが両手に握った葉の刀で挟むようにし、逃げられない。


だが、ジョウニンジンを振りほどいて逃げようとしたのはパリスのフェイクだった。

すぐ下に攻撃が待っているなら簡単な対処法がある。―――クッションを敷けばいいのだ。

そしてそのクッションはパリスの背中に乗ってある。


バランスを崩したかのように急激に下に落ちていったパリスは尖った岩にぶつかる寸前で、

スキル『回転』『姿勢制御』で急激に上下をひっくり返した。





下敷きになったジョウニンジンは右上半身が砕け散り跳ね飛ばされた、が、

それでも残された左上半身と下半身だけで起き上がり岩の破片を飛ばしてくる。


パリスのレーザーを受けて倒れても起き上がり、燃える糸を吐きつけられても立ち上がり、

下半身と上半身を真っ二つにされても横に倒れたままの左上半身についてある目はその意思を失ってはいない。

それはどこまでも非情に、どこまでも情熱的なSHINOBIの姿であった。



「もう休めよ。オレがアンタらの分も忍んでやんよ。どんな奴よりも派手にな。」


宿敵にこんなことを言われても何も納得ができるわけでもなかったが、

いや、宿敵だからこそだろうか、最後に遺されたニンジンは決着をつけることにしたのだ。


「…ニンッ!!」


地面から湧き出た岩がジョウニンジンの体に張り付き破損部分を補完し、更に空を飛ぶための羽も作りだした。

パリスもまた決着をつけるつもりで空を翔ける姿勢になる。


「ニンッ!!!!」

「うぉぉぉぉっ!!」


二つの影が交差し――――――――








ジョウニンジンは自ら倒した仲間と同じように倒れた。

岩で造られた部分の身体が崩壊していく。

だが、敗れたジョウニンジンはどこか満足したような表情であった。


パリスはスキル『かなり派手に忍ぶ』が『蝶派手に忍ぶ』に成長した。

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