蝶カッコいいパリス様VSクラミツハ 2
黒き蝶は黒き蝶を産む。蝶族のことわざの一つだ。
それはブラックバタフライ系統が内定強化(強)によりブラックバタフライに進化先を固定された幼虫を産むことから言われる。
蛙の子は蛙ということわざと同意義のことわざだ。もちろん蛙の仔はオタマジャクシだがそういう意味ではない。
最終的に親と同じ姿になるという話だ。
そしてこの蝶族のことわざは別の意味合いがある。
黒き蝶になる未来を与えられなかった幼虫の追放、又は死を皮肉っているのである。
大枠で昆虫という枠になってもやはり同じ種族とは大きな差がある。
例えば人間という大きな括りがあってもそんな大きな括りよりも同じ国の者、同じ村の者の方が大事だろう。
極端な話、哺乳類がが同じ哺乳類だからと言って他の動物に愛情を振りまけるかということだ。
少なくともライオンにとってはガゼルはただの餌だ。
より自分に近しいものを優遇することは自身の種の発展上何らおかしなことではない。
人間なんて同じ種族でも自身の民族の発展の為に他の民族を殺すのだ。
別に蝶がカブトムシを殺してもおかしな話でもない。
それに哺乳類という枠は殺し合ってもいいが、
人間が同種で民族が違うという理由で殺し合ってはならないというのも変な話だ。
より近しいものを発展させたいと思うのはヒトを含めた生物の性だ。
この世界の蜂族は蜂族同士非常に仲がいいが、
パリスが元いた世界ではヒメスズメバチの主食は他のハチだし、
オニヤンマの主食も他のトンボだ。
むしろ同種の分だけ生活環境が被り、エサの一部も被るため接触機会が多く積極的に狙われる場合も多い。
ついでに言えばその種が摂取する必要がある栄養素も同種であればほぼすべて兼ね備えている。
ここでヒメスズメバチと他のハチをライオンとガゼルとみるか民族の違う同じ人間とみるかは受け取り手次第だ。
その延長上で同じ種族で少し違いがある程度のものでも『別物』だと考えれば、
たとえ同じような形をしていようが、たとえ言葉が通じようが、たとえ同じように心を持っていようが、
それらも全て『どちらも同じ生き物』ぐらいの殺すことに心の痛まないどうでもいいことに成り下がる。
痛ましい民族戦争もゾウとサイの戦争だと思うとあんまり心は痛まない。
ちなみにソウは穏やかなようで結構ドギツイ性格をしている。
無垢そうな女の子にわざわざ自分を引き立てさせるためにキリンさんを引き合いに出させるあたり、大概腹黒い。
会社のお局さんも真っ青だ。
ちなみにゾウの真のライバルはキリンではなくペリカンだったりクロネコだったり巨人だったりするが、
まぁどうでもいい。マニアックな所に行くとリンゴだったりアヒルだったりもあるがそれも今回は置いておこう。
まぁ今回パリスはこのような難しいことを考えていたわけではない。
ただ単純に可愛い女の子>>>>>越えられない壁>>>>>他の男の命だったわけだ。
その思考の単純さはある種の反射というか符号めいた役割のようなものさえ感じられる。
それぐらいシンプルなオスにアイリーンは初めて会った。
「酔わせても酔わせなくても変わらないんじゃ…」
「ん~ごめんなんか言った?聞き逃しちゃったんだけど。」
「いえ、なんでも?」
酔わせればその者が付けていた仮面が削げ落ち取り繕った本性がはがれる。
しかしそれでも変わることのないパリスは仮面を持たないものなのか、
それとも仮面そのものなのかはわからないが、
他者の裏を読み裏をかき裏を暴くような生き方をしていたアイリーンにはパリスは少し落ちつける存在であった。
「だってかわいい女の子の方が大事じゃん。」
素面の時でさえそんな酔ったようなことを言うパリスには自分のかけている催眠操作効果が出ているかわからなくなるときがあったが、
逆に支配効果なしで自分を認めてくれているパリスにアイリーンはどこか心地よさを感じていた。




