蝶カッコいいパリス様VSピカピカキノコバエ
菌糸の森にはキノコ系のモンスターが多いが、そのキノコ達を捕食するモンスターもまた多く存在する。
代表的な存在がキノコバエ系だ。
その名の通り幼虫成虫共にキノコを食べながら成長する蠅のモンスターだ。
特に広く分布してあるキララタケなどを好んで捕食している。
幼虫はキララタケをメインに、成虫はヤコウタケなどをメインに捕食している。
光茸蝿系などはキラキラタケに反射したキララタケのように光り擬態することによって、
うまくプレデタートリュフを利用し、プレデタートリュフから身を守るどころか、
上手くプレデタートリュフを操り、外敵を排除することもある。
キララタケの群生地からやや離れた場所にいるのにプレデタートリュフが襲ってくる場合は、
光茸蝿による仕業の場合も多くある。
今回パリスもその例に巻き込まれた。
パリスが少し離れた場所にキララタケの群生地を見つけ襲いに行く前に少し休憩しておくかと考え休んでいた時のことだった。
まだキララタケに少しも近づいていないにもかかわらず突如プレデタートリュフ6体が周囲から包み込むように襲ってきたのだ。
しかし僅かにパリスの反応の方が早かった。
せっかくプレデータートリュフたちは地表の下を潜るようにして隠匿しながら移動してきたのだが、
各プレデタートリュフが伸びあがり倒れこむように襲い掛かるタイミングが微妙にバラバラだったのだ。
周囲を囲み終えてから一気にやればより成功率は早かったかもしれないが、
パリスの正面にいたプレデタートリュフが後ろに回り込むプレデタートリュフを待たぬまま伸びあがってしまった。
それによって包みの形が不完全になってしまったのだ。
そしてそれを見逃す程パリスの反射神経は鈍くない。
「うわっと、危ねーなお前ら。オレ様が休憩してるところを邪魔してくれやがって。…わかってるんだろうな?」
とそういったところでパリスはふと気づいた。
アレ?こいつらってキララタケのボディーガードじゃなかったけ?
そう思ったパリスはプレデタートリュフたちを放ってキララタケの所に近づいてみる。
ごく普通のキララタケの群生地だ。
もう一度確認してみる。
……やはりごく普通のキララタケの群生…アレ?二つだけ微妙に光り方が変なキララタケがある。
パリスがそう気づいたのと同時だった。
変なキララタケ?だと思っていたものがパリスに向かって螺旋軌道を伴って『飛んできた』。
「WHAT!? FANTASTIC!?」
思わずキャラがぶれたパリスであったが、
この世界は結構適当だしそんなこともあるかと思いなおそうとして
もう一度光る空を突き抜けフライアウェイなキノコという現実に向かいなおしたパリスは更に別の事に気が付いた。
「コイツキノコじゃなくてハエじゃん。」
そう。光り空を突き抜けるハエ(フライ)だったのだ。
急速に軌道を変え、回避困難な連続攻撃を繰り出してくる光茸蝿であったが、
その攻撃の全てを『蝶感覚』をもつパリスは躱し続ける。
だが、ハエたちの攻撃は非常に躱しづらかった。
恐らくパリスが蝶族でなければ回避は難しかったのかもしれない。
ハエ系統の恐ろしさはその厭らしさだ。急速に変わる複雑な機動を容易に達成する飛行能力と、
各種状態異常を付与した攻撃。攻撃を加えようとしても躱され続けている間に状態異常により苦しめられる。
鬱陶しいことこの上ない。
当初こそ2体の光茸蝿の複雑かつ急激に変わる軌道に驚かされる点もあったが、
ソレを理解していればその機動を躱すことができた。
相手の行動の複雑さや速さを読みだけで躱し続ける。
ソレが蝶族の舞闘法なのだ。
「ダーリン助けてぇ~。コイツ攻撃が当たらないわぁ~。」
「大丈夫だよハニー。さっき産んできた卵と君の為にも愛の力で頑張るから。」
「ダーリンカッコい~。わたしも愛してる~。ラブラブパワーで頑張っちゃうぞ~。」
ちょっと容姿がアレな2匹のハエがいちゃついている。
「……お前ら死ねよ。」
「嫉妬かぁ~?」
「ぷぷぷぷぷだっさ~い。」
パリスは戦闘中に気が付いたが片方のハエはメスだった。
というか喋っているのを聞いて初めて分かった。
ハエ族自体がパリスの美的センスに合わないうえに、
個体としても両ハエはお世辞にも美男美女とは言い難かった。
よってパリスの美少女センサーに反応しなかったのだ。
不細工同士がイチャイチャしている様はパリス的にはかなり見苦しい。
だからパリスは容赦せず2匹とも殺してしまおうと思っていた時だった。
2匹のハエが急に空に停止し光りながらニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべていた。
「お前ら何ニヤついてんの?―――――――って判ってんだよ!!」
いつの間にかパリスの背後に構えていた6体のプレデタートリュフが襲い掛かってきたが、
最初から気が付いていたように、
いやむしろ2匹のハエと戦いながらもひと時もプレデタートリュフ自体への警戒を解いて居なかったパリスには
実際に最初から気が付いていたのだ。
あくまでパリスが回避に徹していたのはプレデタートリュフの警戒を重視していたため。
2匹のハエ程度だけなら倒すのは難しい話ではなかった。
6体のプレデタートリュフを糸で縛り上げ光学操作により根元から一体を除いてレーザーで焼き殺す。
一体はギリギリ生かしてある。
「え……うそ~ん!?」
「やばいって。これ。」
ハエ族の軌道は厄介だ。しかしその機動を完全に読める者にとっては全く別の話だ。
だがそもそもハエ系統自体が昆虫族の中でも貧弱なのだ。
つまり肉体的に非常に打たれ弱い。
あまりにからめ手に特化しすぎた種族なのだ。
蝶族も力に関しては貧弱なことでは有名だが、硝子翅蝶系統には光学操作がある。
まるで光線銃かの如く強力なレーザーを撃てる力がある。
「さて……ラブラブパワーとやらを見せてもらおうか?」
そういって今度はパリスはその翅をハエたちに向ける。
その様はさながら銃を突き付けているようだった。
「ひっひぃぃ何でもするから私だけは助けて~っ。ねっ?ねっ?」
「ひっひどいよ僕のことはどうでもよかったのかぁ。」
「私に命の方が大事に決まってるじゃん。」
「お前最低だ。……そこの蝶のお兄さんコイツがどうなってもいいから僕を助けてぇ。」
「あんた最っ低ねっ!!」
「お前ほどじゃないさ。」
「醜い奴らの醜い争いをこれ以上見せんなよ。ラブラブパワー│(笑)ってなんだったんだろうな?
愛ってホント薄っぺらいものだよな。……ホント嗤えてくるぜ。
あぁ後そこのブス。オレ、ブスにナニしてもらっても嬉しくないから。死んでていいよ。
お前みたいなブスにはそこの不細工がお似合いだ。…まぁ生まれてきた子供がブス確定で可哀そうだけどな。」
そういってパリスは二匹をキララタケの上に光線で焼き落とした。殺してはいない。
光茸蝿は幼虫成虫共に
自発光するキラキラタケに反射するキララタケに偽装しているからプレデタートリュフやキラキラタケなどに襲われない。
それどころかキララタケを真似た光り方でプレデタートリュフに助けてもらったりするが、
丸焦げになった黒ずんだ姿でそんなことが通用するだろうか?
……するはずがない。
2匹の黒ずんだ『外敵』または『獲物』を認識したキラキラタケはキララタケやプレデタートリュフに命令する。
『襲え』、と。
焼き焦げた熱で癒着して動かない翅と脚を引きちぎるようにもがきながら逃げようとするが身体は少しも進んでいない。
先程まで散々利用してきたキノコ達に埋もれるようにハエたちは沈んでいった。
パリスはハエたちが産んでいった卵を見つけるとそれも焼き焦がした。
キノコ達はそれをも飲みこんでいった。
そうしてハエたちを食いつくしたキノコ達は最終的には自分たちも焼き焦がされパリスの餌となった。
「負ければ全部奪われるんだよ。居場所も女も命も全てな。…だからオレは奪う側に回ってやる。」
パリスはスキル『機動性上昇』『キラキラ』を手に入れた。
パリスにとって愛は薄っぺらいものだ。
イケメンだから、力があるから、そんな理由で愛という名の欲望は生まれる。
だがパリスはそんな薄っぺらい愛を愛していた。
イケメンだから他者に愛される。オレも可愛くてきれいな女の子だから好きになる…。
それのどこが悪いんだ?
飛び方色々
ハチ族
高いスタミナと飛行能力を持つ。何よりその飛行能力は行動、
特に攻撃をする際の行動と飛行の連動度が高い。
つまりは推進力と踏込、そして腰が入ったパンチの為の動作と同じようなものだ。
最強種の名は伊達じゃない。
チョウ族
幻惑的な舞いを中心としたその飛び方の特徴は、相手に読ませないこと、である。
速度こそ遅いものの回避を中心に常に相手のペースに飲みこまれない飛び方である。
一見緩やかな動きであるが捕えることは難しい。
トンボ族
原始的な翅の構造であるがゆえに複雑なマニュアル操作により細かい動作と驚異的な速度を両立した。
最高速度はピカイチ。
カゲロウ族
トンボ族と似ているものの最新技術の粋を凝らした身体構造となっている。
トンボ族程の力強さは無いが無駄の無さによる軽やかさは高い。
速度と機動性が高次元で両立している。
ハエ族
非常に速い翅の振動回数により、驚異の反応と軌道能力による小回り性能を見せる。
それは平均棍による空間の認識能力によるところも大きい。
蝶族が読みに対する回避ならこちらは身体能力による回避の割合が大きい。
アブ族
ハエ族に近い飛行能力を持つが、より直線的で爆発的な傾向が強い。
短期戦に特化した種も多く攻撃的な飛行となる。
カ族
ハエ族よりさらに細かい動きができるが体がスカスカで表面積に対して軽量すぎるため、
風の影響を非常に受けやすい。反面、面の打撃に関しては発生する気流により躱すこともできる。
バッタ族
フライというよりメインはジャンプ。




