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蝶カッコいいパリス様VSギンリュウソウ

竜(ドラゴン)。それは力の象徴。

この世界においては昆虫族の驚異的な強さのせいで霞んでいるが非昆虫族の中ではトップクラスの実力者である。


このキノコの跋扈する菌糸の森にも竜の名を冠するものはいる。


ギンリュウソウ RANK A 植物族


その他にこの菌糸の森に存在する本物の竜種などを押しのけて君臨する植物族モンスターだ。

その実態は植物と茸と龍のキマイラ体。

一応メインとなっているのが植物なので植物族モンスターとなっているが、

少なくともキノコといっても龍といっても大きく間違っているとは言えない。



透明感あふれる銀色の鱗のように茎に張り付いた細かい葉。

粘着した涎のような蜜を垂らし唸り声のような音を出す龍の咢の如き花弁。

そしてその圧倒的な威圧感はまるで地から上半身を出した龍の如き姿である。







パリスが姿を消して空を飛んでいるとやたら開けた場所に出た。

といっても周囲の大樹が影を造り若干薄暗くはある。


「普通こういうところってゲームならボスモンスターがいるよな。」


そうぼそっと言った時だった。

開けた場所の中央に空から鮮やかな鳥が飛んできた。

その鳥が地面に足を付けるかつけなかったかという瞬間の事であった。

突然地面が隆起しその地の主が無断で敷地に入り込んだ無礼者に裁きを下さんと姿を現した。

地の主ギンリュウソウは地面から顔を出すと同時に鳥を飲みこんだ。



ギンリュウソウのあふれ出るイベントボス感にパリスはつい興奮して言葉を漏らしてしまう。


「うわっすっげー。ドラゴンじゃん。初めて見た。」



その言葉に気付いたのかギンリュウソウはパリスの方向に振り向く。

しかしその視界には何も映らない。

そもそもギンリョウソウの主な感覚は視力ではないのだが、その感覚も飛んでいるパリスには通用しない。


しかしギンリョウソウはパリスの声がした付近に向かって粘着性の強酸の蜜、龍の息吹を繰り出した。

しかし既にそこにはパリスの姿は無い。気のせいと判断したのかしばらくしてギンリュウソウが再び地に潜ろうとした時であった。


ギンリュウソウの花弁の下付近、すなわち龍の首元を焼き落とさんと強力な光線がギンリョウソウの頭上から降り注いできた。


「GUUOOOOOOONNNNNN!!!!!!」


弱点である強烈な光に怒りを覚えたギンリュウソウは再び頭上に向かってブレスを吐くがそこに何か手ごたえは無い。


ギンリュウソウは自身の最大の感覚器官である根による触角で敵を探知する。

辺り一面に張り巡らされた根である菌糸を注意深く神経を集中させるが、

何か乗っている感覚は無い。


そうしている間にも再び上空から今度は龍の頭の如き花を狙った光線が降り注ぐ。


「GYAAAAUUAAOONN!!!!!!!」


ギンリュウソウは思わず根である菌糸を束ねて極太の鞭のようにして周囲に暴風を発生させながら振り回すがまたしても手ごたえは無い。

暴れるギンリュウソウに3度目の光線が降り注ぐ。今度は根元だった。




ここにきて見えない敵は地に足を付けているものではなく宙を舞うものだとギンリュウソウは気が付いた。

長い年月を生きたギンリュウソウはその経験からグラスウィングバタフライの系統かと勘づく。

但しごく通常のグラスウィングバタフライにこれほどの芸当はできない。よってその上位種とまで判断した辺り、

年の功というのは馬鹿に出来ないのかもしれない。




しかしパリスにとってギンリュウソウというのはそんなに手強い相手ではなかった。

ブレスは顔を向けた方向にしか討てないようだし、

暴風と轟音を纏う菌糸の大鞭はその動きの完成を予測して空気抵抗を利用して避けるのは透明翅蝶(クリアバタフライ)たるパリスには難しい話ではない。

それにパリスの場所が感知できていないようで周囲にやみくもに攻撃している。

攻撃が非常にわかりやすいギンリュウソウはパリスにとっては恐ろしいAランクモンスターというよりはウドの大木なのだ。

精々周囲の生い茂る大樹のせいで日光が集めにくいとかそういうのが難点であったぐらいだ。



ただただ龍の名を冠すものともあろうものが一匹の虫けらにいいように弄ばれている。

しかし龍にも矜持があったのだろう。ギンリュウソウは空に向かい凶暴な咆哮をあげた。

同時に周囲の植物たちが急速に枯れ始めた。地に張り巡らせた菌糸を伝い周囲の命という命を奪い尽くしているのだ。

これも全ては見えない敵を倒すため。



周囲の木々などの命を奪い尽くしそれにより得たエネルギーにより更に菌糸を増殖させる。

そして大量に作り出した菌糸を極細の何本もの、いや何億本もの細い糸にし周囲一帯から湧き上らせる。

地だけでなく空も菌糸で覆い尽くしておけば敵を捕らえられるとギンリュウソウは考えたのだ。



その考えに気が付いたパリスはためしに軽く翅で風を一本の菌糸に当ててみた。

その直後、風が当たった周囲の菌糸がまとまって当初風が当たった菌糸事包むように檻を作った。

檻は休息に縮こまり檻の中に入ったものを潰そうとしたが、その中にあったのは空気だけであった。



「危ねー。」


またしても思わず声を漏らしてしまったパリスに反応したギンリュウソウは周囲の菌糸をすべて集め極太というのも言葉が足りないような大鞭を振り回す。


余りの威力に周囲の枯れた木々が文字通り木端微塵になってしまった。

当たればパリスもそうなってしまったであろう。

―――――当たれば、の話であるが。




それにギンリュウソウは致命的な下手を打ってしまった。

折角周囲の木々が薄暗い環境を作っていたのにその木々を自ら破壊してしまったのだ。

辺り万遍なく光が降り注ぐこの状況。

つまりは上空から以外でもどこからでも高位力のレーザーが使用できるのだ。


パリスはレーザーで極細の菌糸の糸を一掃した。

細いがゆえに耐久力なんてなく当たった傍から焼け落ちていった。


周囲の菌糸が焼け落ち、残るはギンリュウソウ本体のみとなってしまった。

ギンリュウソウはところ構わずプレスを打つがそんなものが当たるはずもない。

見えない敵に脅えたのかギンリュウソウは再び地に潜ってしまった。



「おーい聞いてるか~?ってオレの言葉判んないか。まっいいけど。」


ギンリュウソウの上から嘲るような声がする。

しかしその存在に勝ち目がないとでも思ったのかギンリュウソウは潜ったまま出てこない。


「最初はカッコいいと思ったけどさ、今のアンタ龍っていうかミミズみたいだな。

すっげーカッコわりーよ。

ところでさ?すんげー昔に植物育てた時に水やり忘れて枯らしちゃったんだよね。

そん時に思ったんだけど植物って苦しくても死にそうでもその場所から動けないって可哀そうだよねって。」


まぁこっちの世界じゃ動ける植物結構いるけどさ、

そう付け加えてパリスはギンリュウソウが潜った辺りをレーザーで炙り続けた。

今日は久しぶりなほどの快晴だ。レーザーの威力も上がっている。

既に地表からは水蒸気があふれ出しているがそれぐらいでパリスは攻撃をやめたりはしない。

地面を只管熱せられた結果、ギンリュウソウは遂に耐え切れなくなって地表に姿を現し、息絶えた。



パリスは称号『竜殺し』を手に入れた。

パリスはスキル『体力吸収』『感覚強化』『生命力上昇』を手に入れた。

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