蝶カッコいいパリス様VS芽生えた発情期
香り立つ白い花を咲かせる巨大な大木。『大』という字を2回使ってちょうどいいぐらいデカい、
異常に巨大に成長したシロップアカシアの超上位種であるクロニクルアカシアには今日も多くの昆虫たちが集まる。
その蜜や樹液を求め、今日も熾烈な戦いが繰り広げられている。
この周辺の雄であるダイケンカブトとソウケンクワガタが互いの刃をぶつけ合いながら今日も火花を散らし、
なにやらお互いを称え合っているようなところになんかタカビー(死語)風な凄い美虫な蜂がやってきた。
先程まで戦っていた2匹が共闘し、好敵手2匹の合体技を発動させ辺り一帯が剣栽の嵐に巻き込まれるも、
その全てを尾針の『突き』のみで弾き返しあっさり大木から叩き落とされる。
毒があっても耐えられるものや、毒があると判らなくても樹液を求める愚か共たちが
剣栽により傷ついた幹から出る樹液を飲もうと集まって来るが、
それらは全て蜂の一睨みだけで威圧されて近寄ってはこない。
美形の睨みというのはプレッシャーが凄いものだ。
2匹の甲虫は十分以上に上位ランクのモンスターであったが、それでも蜂一匹にはかなわなかった。
何せその蜂は星の呪法をもとに、
辺りの大地の生命力を食い尽くして成長したモンスター化したシロップアカシアが
クロニクルアカシアにまで進化の果てに辿り着いたとき、
その容を壊すことなく存在を否定し、蜜を作り続ける奴隷に成り果てさせた張本虫だ。
彼女こそ、蜂族の『偉大なる母の母』なる家の最初の姫の血を継ぐ
巨大雀蜂族正統王家の姫である。
百匹が百匹、美虫だと答えるその容姿に思わずパリスも
(虫でもいいかな…)なんて思ってしまった。
そうしているともう一匹可愛い系のこれまた超絶美虫がやってきた。
2匹がなんかメス同士で仲良く並んで同じところから樹液を吸っている。
(あれっ?オレ虫にときめいちゃった?………まぁいいよね。俺も虫だし。)
なんか自分で決めていた虫は無いな。という一線を成虫になって子孫を残す機能が増えたためか、
いつの間にか虫に対してあっさり欲情できるようになって無くしてしまった
パリスはいちゃつく2匹に声を掛けようとしたが、
邪魔したらころしますわよ?
言葉にはなっていないものの伝わってくる、
その濃厚な気配というか殺気だけでパリスは動けなくなった。
世の中には手を出しちゃいけない美虫もいると、パリスは学んだ。
でも、彼は諦めない。
「あ~もったいねー。あんな美人……人じゃねぇな。美虫?そうそういねーのに。
ちっくしょー。非生産的すぎる恋よりオレの方がいいって何でわっかんないかなぁ。」
ただ、その呟きを大声ではいう気にはなれない。パリスだって命は惜しいのだ。
ちなみに先程の美虫さんはノーマルである。その後普通にオス蜂と結婚した。
……もう一匹?そっちはどうかわからない。
シロップアカシア
その大木に可憐な白い花を咲かせる。
上質な蜜が作られるこの木は昆虫のみならず鳥たちにも愛される植物であるが、
花以外には毒が溜まっており、樹液を飲めるのは毒に耐性がある者だけである。
加えて枝などには鋭い棘がついており、
毒と刺さりやすく抜けにくい棘が合わさると極めて危険であるが、
気を付けていれば問題ない。
例の如く野生個体の一部が突如モンスター化することもある。
同種にリキュールアカシアというものもある。
シロップアカシア同様モンスター化するが、その場合はシロップアカシアよりも強い。
またリキュールアカシアが無くてもシロップアカシアからも取れる
アイテム『アカシアの花』に『リキュール』などを組み合わせて『アカシアリキュール』
が製作可能。
クロニクルアカシア(元モンスター)
情報領域に刻まれた情報を成長しながら自らの棘で幹に刻み続ける巨大な大樹。
刻んだ情報を行使できるようになっている。力の範囲内で書いたことが実際に起こる魔法の樹のモンスター。
但しその表皮は非常に硬く普通は他者が書き込むことはできない。
また、星からのフィードバックを得ているため強力。
刻まれた情報を接続術式として発動するほか、解読した者へ叡智を与える代わりに、
精神力の弱いものを発狂させる。
高知能の星に産まれた生き物の為に星が用意した防御機能付き記録媒体兼高位モンスター
であった今は只の木。
書込み防止を強引に解除されたうえ、
その尾針で記述をボロボロにされて術式の行使不可にされて
そのままモンスター化の術式を物理的に消された。
現在では書き込んだことを叶えることはできない。
何処かの大樹のようにスフィカタワーとセンスのない名前で蜂族には呼ばれている。




