無情な現実
ヒカルはセイバーを握り直す。赤黒い騎士達はヒカルとリディアに容赦なく襲いかかる。
「はぁっ!!」
ヒカルは剣を振りまくる。騎士達は紙のように容易に切り裂かれていく。
「リディア!」
リディアの後ろで赤黒い騎士が剣を振り下ろす。それをヒカルが止めて斬った。
「すまない!ヒカルくん!」
「なんて事ねーよ!」
2人は赤黒い騎士達を倒しながらカオリのいる場所まで走る。
「カオリさん大丈夫かな?」
「大丈夫だと思うけど…………?!」
カオリがいた場所に戻るとそこには血痕が残されていた。
「あ…………」
「ヒカルくん……」
ヒカルは絶句した。カオリを1人残して行ってしまったことをこれでもかと言うほど後悔した。
「……ヒカルくん。」
「リディア……俺の、せいだ……。俺は……。」
「ヒカルくん……」
「うわぁああああああっ!!」
ヒカルは叫んだ。力の限り叫ぶ。ショックのあまり叫ぶ。
「しっかりして!ヒカルくん!大丈夫!死体がない!つまり!」
「……へ?」
そうだ。死体がない!つまり……。
「カオリは、生きてる?」
「その可能性もある。だから、……だからそんなに自分を責めないでくれ。私の責任でもある。」
「そんな!リディアは何も悪くなんかっ!」
「私が騎士達を1人で倒して君達と合流できればよかったんだ。」
「リディアは囮になってくれた!それだけで十分だ!カオリのことは俺の責任だ!」
「ヒカルくん……とにかく今日は休める場所を探そう。」
「ああ……。」
現実は無情である。カオリの死体は見つからず、赤黒い血痕のみがその場に残っていたのだった。
「ここは……」
ある路地の裏に出た時だった。リディアが呟く。
「どうかしたのか?」
「この近くに宿屋がある。そこに向かおう!」
「宿屋?」
リディアの言う通りしばらく歩くと宿屋が見つかった。宿屋に入るとリディアとヒカルは宿屋の主人に泊まれるか聞いてみた。
「部屋?この混乱の中部屋なんかろくに空いてねーよ!」
「それはわかるが……なんとかならないか?」
「……1部屋ならなんとか……あ、1部屋でいいか!ベッド壊すなよ?」
それを聞いて2人は赤面した。
「2人は恋人かなん……」
「「違う!!」」
2人の息はピッタリだった。部屋へとゆく。部屋はこじんまりとしているが綺麗に清掃されていた。
「もっと酷い宿屋を想像してたんだけどなぁ。」
「私も驚いて居る。」
「は?」
「元々ここは荒れ果てた宿屋だったんだが……?」
「は?」
「君たちの世界と混ざってからは綺麗になったのかもしれないよ?」
「そんな事が?」
「なんだ、不満か?」
「あ、宿屋のおやじ……」
「世界が混ざった時に俺の宿屋とホテルっつうのが混ざったらしい。」
「だから綺麗なのか……」
「文句あるなら……」
「ないない!ないから!じゃ!」
リディアとヒカルは宿屋の主人を無理やり部屋から追い出した。
「はぁー、やっと楽になれる!」
「へ?!」
「シャワー先に借りるよー!」
「お、おう?」
リディアはそういうとシャワールームへと消えていった。
「…………」
なんだろう。落ち着かない。女の子が宿屋の部屋でシャワー浴びるのをまつなんて事はしたことが無い。ヒカルは緊張のあまり震えていた。しばらくしてリディアがでてくる。
「お待たせ。ヒカルくんもシャワー浴びたら?」
「え?!お、俺?!俺はいいーよ!別に!」
ヒカルはテンパって声が裏返る。
「?そう?」
「お、おう!」
そうして夜はふけていく。
「ヒカルくん、私はソファで寝……」
「いや、リディアがベッド使ってくれ!おやすみ!!」
そう言ってソファに寝転がった。
「そ、そう?じゃあ、お言葉に甘えて……」
思えば彼女いない歴=年齢の俺が女の子と1夜を共にすることなんてなかった。そう思うと意識してしまう。
「だー!くそ!寝れねー!!」
ヒカルは夜風を浴びに外にでた。
「風が、気持ちいいな……」
そう言った時だった。
「きゃーー?!」
路地裏から声がした。走って行くとそこには女の子が何かに襲われていた。ヒカルは慌てて剣を抜く。
「はあっ!」
剣先はそれを捉えられなかった。
「逃げて!!」
女の子は慌てて逃げていった。月明かりがソレを照らす。
「お前も赤黒い騎士の仲間か?!」
「…………」
何も答えない。だが、それはどこか見覚えのある姿だった。
「へ?」
月明かりがソレを顕にする。
「カオ、………………リ?」
お久しぶりです。不定期更新ですが読んで下さっていつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします。




