契約
「おい、若造。」
「?」
「お前だよ。お前。」
「ここは……?」
ヒカルは目覚めると光る空間の中に浮いていた。そして光る玉に話しかけられている。
「ここはお前の潜在意識の中だ。」
「貴方は?」
「わしか?わしは魔剣セイバー。お前が抜いた呪われた剣じゃよ。」
「魔剣、セイバー?」
「そう、お前はこれからわしの契約者になる。お前は圧倒的な力を手にしたのじゃ。じゃがな、それと同時に……圧倒的な呪いに苛まれることじゃろう。」
「呪い?」
「そうじゃ、お前はこれからたくさんの怪物の血をわしに献上する事になる。そうしなければお前の命をいただくことになる。」
「!」
「お前が抜いた剣とはそういうものだ。肝に命じておくのだな!では……」
「おい!待てよ!何だよ!それ!いみわかっ……」
段々と光の玉から離れてゆく。目を開けるとそこには……。
「はっ?!」
「ヒカル!!」
「?!」
カオリが抱きついてきた。
「起きないから心配したのよ?!」
「ごめん!……リディアは?」
「む!何よ!心配してる幼なじみより赤紫の騎士の方が気になるの?!」
「あ、いや、そうじゃ……」
「もう知らない!ふんっ!」
怒ったカオリはそっぽを向いてしまった。
「ヒカルくん?!」
そこにリディアがやって来る。
「リディア!」
「よかった!無事だったんだね?」
「それよりこの剣……」
「魔剣、セイバー。選ばれた者しか抜くことができない魔剣。それと同時に呪われた剣で……魔物の血を献上しなければ持ち主の命を少しづつ削ってゆく。」
「!?」
カオリはそれを聞いて驚いた顔で魔剣を見る。
「うん、セイバーから聞いたよ。」
「……すまない。君がそれを抜くのを止められなかった。本当に……」
カオリがリディアの胸ぐらを掴んだ。
「何がすまないよ!!本当はそんな事思ってないでしょ?!ヒカルにもしもの事があったら私はあんたを許さない!!」
「カオリさん……」
「やめろよ!カオリ!リディアだって悪気があったわけじゃないし、抜いたのは俺なんだ!!」
「わざと抜かせたのよ!!」
「そんなわけっ……」
「すまない。」
ヒカルはカオリをなんとか宥める。しばらくしてリディアからやっと手を離してくれた。
「それより、これからどうすれば?」
「ヒカルくん、ご両親は?」
「うーん、生きてるかなぁ?」
「……」
カオリは黙ったままだったが自分の両親を思い出して少し顔色が悪くなった。
「確認しに行った方がいい。」
「わかった。カオリもくるよな?」
「!?は?!行くに決まってるでしょ?!置いてかないでよ!!」
カオリはヒカルに掴みかかる。
「わかった!わかった!」
「では、私も同行しよう。」
こうして、3人はヒカルの家まで行くことになった。赤黒い騎士達を避けながら先を急ぐ。そんな中、瓦礫が多い場所に出た。
「ここって……」
「ヒカル……!ヒカル!!」
どこからともなくヒカルを呼ぶ声がする。ヒカルはその声の主が自分の母親である事を悟った。
「母さん!」
「ヒカル!」
ヒカルの母は瓦礫で下半身が潰れていた。
「……母さん。」
もう助からないだろう。
「ヒカル、よかった。無事なのね。」
「母さん!父さんは?!」
ヒカルの母は押し黙った。やがてある方向を指さす。そこには瓦礫に埋まって潰れた父がいた。
「ヒカル、最後に、会えて、よかった……」
「母さん……!母さん!!」
母はそこで事切れた。
「ヒカル。」
「ヒカルくん。」
カオリとリディアはヒカルを気遣った。俯いていた彼はやがて彼女達をみた。
「はは、死んじまったよ!もっと親孝行するんだったな……!」
なんて笑顔でそういった。強がることしか彼にはできなかった。やがて夕方になる。ヒカルはそれからずっと黙っていた。
「……」
「あんたのせいよ!!」
やがて怒号が響く。
「?!」
「あんたが世界の境界を守れなかったからみんな死んだのよ!!」
カオリがリディアの胸ぐらを掴んでそういう。
「すまない。」
「すまないじゃすまないのよ!!」
「カオリ!やめろよ!」
「もうすぐ夜がくる。それまでに夜をあかせる場所を……」
ガシャンッガシャンッと音がなった。
「赤黒い騎士!?」
ヒカルとカオリ、リディアは息をのんだ。赤黒い騎士達が列を成して歩いていたのだ。なんとか隠れてやり過ごそうとする。そっと移動しようとした時だった。カオリが転けた。赤黒い騎士達はいっせいにこちらを向く。先に動いたのはリディアだった。
「私が騎士達を引きつける!君たちは逃げて!!」
そう言って赤黒い騎士達の前に出た。
「わかった!カオリ!いくぞ!」
「……うん!」
2人は走った。しばらくして安全そうな場所を見つける。
「ここなら大丈夫かな?」
「ああ、そうだといいが。それより……」
リディアだ。リディアが追いかけてこないのだ。
「放っておけばそのうち来るでしょ。」
「……」
ヒカルはある事を決心する。
「カオリ!ここからでるなよ!俺はリディアの所に戻るから!ここにいろ!!」
「は?!ちょっと!ヒカル!ヒカルってば!!」
ヒカルはカオリの声など聞こえていないように猛スピードで走り出した。
「何よ。私を、私を1人にしないでよっ!」
やがてヒカルはさっきの場所に戻る。そこには1人の騎士が怪我をおいながら赤黒い騎士達に囲まれていた。
「リディア!!」
「ヒカ……ル、くん?!」
「リディア!!」
ヒカルは剣を抜いた。そして赤黒い騎士達を切り裂いてゆく。まるで切り裂き方を知っているかのようにズバズバ切れる。
「リディア!」
「ヒカルくん!どうして?!カオリさんは?!」
「大丈夫!それよりリディア大丈夫か!?」
「私の事はいい!カオリさんの所へ早く戻って!」
「もちろん!でも、一緒にだ!リディアも一緒に戻るんだ!!」
「っ?!」
光が無かったリディアの目に光が戻る。
「ここからは俺に任せろ!!」
ヒカルは剣を構えた。




