崩壊する世界
「なんだこれ?!」
「ここ、西のダンジョン、じゃない……!」
西のダンジョンに向かった2人は西のダンジョンだった場所を見つめていた。そこは紛れもなく現実世界の二葉町だった。
まずい。何故か2人はそう思った。
「1回落ちよう!」
「うん!」
ヒカルの申し出にカオリも頷く。落ちると現実世界に戻っていた。否、そこは空間が歪んでいた。
「なん、だ、これ?!」
空間が歪み、1部ゲーム世界と混ざっていたのだ。バーチャルリアリティの世界と現実世界が、混ざってゆく。テレビのニュースでは緊急事態宣言が放映されていた。
「こちら二葉町!現実世界の出力が落ちてバーチャルリアリティに飲み込まれようとしています!皆さん、逃げてください!このままでは……きゃあああっ?!」
そこでニュースキャスターは赤黒い騎士に襲われてニュースは切れた。歪んだ空間にはバーチャルリアリティの世界のバグのようにノイズが走っている。
「なんで、こんなっ!」
ヒカルは走って外に出た。現実世界がバーチャルリアリティに飲み込まれてゆく。歪んだ世界から騎士が現れる。
「!?」
騎士に見つからないようにヒカルはカオリの家へと向かった。
「カオリ!」
カオリを見つける。カオリは2階の部屋にいた。
「ヒカル!?何これ!おかしい!おかしいよ!!」
「逃げるぞ!」
「逃げるってどこに?!」
「どこかにだよ!」
ヒカルはカオリの手を引いて走る。1階に降りてキッチンに行くとそこには……。
「お母……」
カオリの母と父が死んでいた。赤黒い騎士が2人を殺していた。赤黒い騎士がこちらを向く。
「「?!」」
「逃げるぞ!」
ヒカルはカオリの手を取って走る。だが、
「きゃ?!」
カオリが転けた。
「カオリ!」
「ヒカル……」
カオリの目の前に剣が刺さる。
「きゃあああっ?!」
赤黒い騎士がカオリを切り裂こうした。ヒカルはなんとか赤黒い騎士に突進した。そしてカオリを助けて走る。カオリは転けた拍子に足を怪我したらしい。
「ヒカル!ヒカル!無理だよ!私を置いて行って!!」
「うるせぇ!!黙って走れ!!」
「ヒカル!」
目の前に新しい赤黒い騎士達が2体現れる。引き返そうとすると赤黒い騎士に追いつかれた。
「ヒカル!」
「カオリ、俺がなんとかするから走って逃げろ!」
「無理だよ!」
なんて言ってる間に、赤黒い騎士の剣が襲いかかる。ヒカルは目を閉じた。
「はぁっ!!」
ヒカルはバラバラに……否。痛くない。目を開ける。そこには……。
「少年、また会ったな!」
「赤紫の、騎士?!」
彼女がいた。赤紫の騎士は赤黒い騎士達を切り裂いてゆく。赤黒い騎士達は皆バラバラになった。
「うっ……」
カオリはそれを見て気分が悪くなったらしい。
「赤紫の騎士!どうしてここに?!いや、それよりこれは?!」
「すまない。私の落ち度だ。世界を救えなかった……。」
「救え、なかった?」
赤黒い騎士がまた2体現れる。
「話は後だ!」
赤紫の騎士はそう言うと赤黒い騎士達と再びまみえた。赤黒い騎士達をやっつけると赤紫の騎士は2人と安全な場所へと移動した。
「ここなら大丈夫。私のネグラだ。」
案内されたのは小さな小屋だった。
「これって……」
ヒカルはそれを見た事があった。ヒカルのプレイしているゲームに出てくる小屋にそっくりだったのだ。
「そうだ。これはバーチャルリアリティの世界の物だ。詳しく説明しよう。まあ、座ってくれ。」
ヒカルとカオリは小屋の中に入ると外から見たよりは少し大きい空間が広がっていた。
「それで、今何が起きてるんだ?」
ヒカルは赤紫の騎士に詰め寄る。
「まあ、まずは名乗ろう。私はリディア。バーチャルリアリティ世界の住人であり、管理人を担当している。」
「「バーチャルリアリティ世界の管理人?!」」
「そう、私はこの世界の住人ではない。本来はバーチャルリアリティ世界のAIなんだ。」
「俺は物部ヒカル。こっちは幼なじみの……」
「雪田カオリ。」
「で、︎︎゛世界を救えなかった︎︎゛って?」
リディアは下を向いた。
「私のせいなんだ。現実世界と仮想世界が混ざってしまったのは……」
「リアルとバーチャルリアリティが混ざった?」
「この世界に混乱をもたらそうとする輩がいる。そいつらは現実世界と仮想世界を同一の世界にしようとしていた。私はそれを止める為に奴らと戦っていたんだ。だが、……奴らは目的を果たした。ついに現実世界に仮想世界をもってきて混ぜることに成功したんだ。」
「そんな事出来るわけないじゃない!」
カオリはそう言い切った。
「貴方のことなんて信用できない!今のおかしい現象だってきっとログアウトできてないからバグってるだけよ!まだ仮想世界内なんだわ!」
「いや、違うよ。君達の世界だった場所だ。」
「カオリ、信じたくないのはわかるけど現実なんだ!」
「ヒカル!またおかしなこと言って!ここは仮想世界!現実世界に戻らないと!!」
カオリは何度もログアウトボタンを押す。だが、ログアウト出来なかった。
「なんで?!なんでよ!!」
「落ち着いて、カオリさん!」
「カオリ!」
「うるさい!うるさい、うるさい!お父さんとお母さんの元に戻るの!!」
「あっ……」
そうだ。カオリの両親はもう……。
「死んでなんか……いない!!」
「カオリ……。」
「赤紫の騎士なんて、いない!こんなの嘘だ!!」
カオリはパニックになっていた。
「カオリ!カオリ!」
「こうすれば!!」
カオリは置いてあった短剣を手に取ると自分に突き立てようとする。
「!」
騎士はカオリの首筋を叩くとカオリは倒れた。
「きゃ?!」
「カオリ!?」
「大丈夫、眠っているだけだ。すまない。手荒な事をして……」
「いや、いい。ありがとう。」
「これからどうすれば……」
「!」
「どうした?!」
「結界の中に入られた!君達はここにいて!直ぐに戻ってくる!」
「あっ!」
騎士は走り去ってゆく。ヒカルは言われた通りにその場でカオリを見ていることにした。しばらく経った時だった。何かがドアを開けて入ってくる。
「リディア?……?!」
現れたのは赤黒い騎士達だった。
「なんで?!」
ヒカルはカオリを起こして逃げようとするがカオリは起きない。
「カオリ!カオリ!!」
そうこうしているうちに赤黒い騎士の剣がヒカルを襲う。
「くそっ!」
ヒカルは、カオリが持っていた短剣でなんとか受け止める。次の一撃がヒカルを襲う。ヒカルはなんとか斬撃を受けとめた。だが、カオリに赤黒い騎士の魔の手が迫る。
「カオリ!!」
眼を逸らした瞬間に赤黒い騎士に力負けして弾き飛ばされる。
「ぐあっ?!」
ヒカルは壁に叩きつけられた。そこにリディアが走って戻ってくる。
「すまない!残党がそっちへ行ってしまった!!」
「カオ、……リ…!」
カオリに赤黒い騎士の剣が迫る。ヒカルは吹き飛ばされた場所におちてあった何かを掴んだ。カオリへと斬撃が落ちてくる。リディアは間に合わない。
「カオリさん!!」
「うわぁああああっ!!」
ガッキンッと音を立ててそれは赤黒い騎士の斬撃を受け止めていた。それは鞘に収まった剣だった。
「!ヒカルくん!それはダメだ!!」
ヒカルはなんとか斬撃を鞘に収まった剣で受け止め続ける。リディアは別の赤黒い騎士の相手をしていてヒカルとカオリの元に行けない。更に別の赤黒い騎士にカオリが襲われそうになる。
「カオリっ!!」
「カオリさん!!」
ヒカルがカオリの元へ行こうとするが赤黒い騎士に弾き飛ばされて壁に埋まる。
「くっそ……」
その時剣が光った。ヒカルは剣に呼ばれた気がした。ヒカルが剣を抜こうとする。それをリディアが声を上げて止める。
「やめろっ!それは抜いてはいけなっ……!」
ヒカルは剣を抜いてしまった。リディアは呆気にとられる。
「ば、ばかな……」
「はぁっ!!」
ヒカルはカオリへの斬撃を受け止めてそれを受け流す。
「なんだ、これ……」
「ヒカルくん!!それは伝説の剣!!選ばれは者しか抜けない剣!!だが、抜いた相手を呪う呪われた妖刀だ!!すぐに捨て……ぐっ!」
リディアは赤黒い騎士の相手で手が離せなかった。
「て、言ったって……」
剣が光る。それは赤黒い騎士達を一網打尽にした。
「……これが、伝説の剣の力……!」
リディアは息を呑む。赤黒い騎士達は光に包まれて消えていった。
「なんだ、これ……すげぇ……」
「ヒカルくん!」
「リディア!カオリは!?」
「大丈夫だよ。それより……」
「ああ。これ、返……」
「ヒカルくん!?」
そこでヒカルの意識は途絶えた。




