再会
現代、バーチャルリアリティが発達した世界。20××年、人類はバーチャルリアリティ世界を確立し、バーチャルリアリティと現実を行き来するまでになっていた。現実世界とバーチャルリアリティ世界が並立する世界。仮想現実のゲーム世界は飛躍的に進歩した。現代の学生達はバーチャルリアリティと現実の世界を生きるようになった。そんな世界でおかしな話が広がってゆく。
「昨日五丁目のコンビニの前でゲームの兵隊見たんだ!」
「俺は学校の校舎裏でゾンビみたいなの見たぜ!」
「私は……」
「オレは……」
「私は……」
「私は見た。︎︎゛赤紫の騎士︎︎゛を……」
「ヒカル!ヒカルってば!!」
「おわっ?!なんだよ!カオリ!」
「また何かおかしな事考えてたんでしょ!」
「うっさいなぁ!なんでもいいだろ!」
「はいはい、赤紫の騎士なんていないわよ!ただの噂……」
「うっさい!カオリにはわかんないんだよ!!」
「何がよ?」
「赤紫の騎士にまた会ってみたいじゃん!」
「……馬鹿なの?」
「馬鹿で結構!!」
そう言ってヒカルは教室へと帰ってゆくと昼休みが終わった。
ヒカルが赤紫の騎士に執着するようになったのは3ヶ月前の事である。ヒカルは赤紫の騎士を見たのだ。駅から帰る時である。ある交差点でヒカルは何かを見た。そして、それは見てはいけないものだったらしい。一瞬の出来事だった。ヒカルの首が飛んだ。否。本当に飛んだと錯覚するほどのスピードで剣が飛んできた。それを剣で弾き飛ばしてくれたのが赤紫の騎士だった。
「少年、ここは危ない。帰りなさい。」
そう言われて気がつくと家のベッドにいた。夢だった。カオリはそう言うが、あの濃厚な死線は今でも思い出すと首筋がゾクリとする。それからだ。ヒカルがおかしくなったのは。ヒカルは赤紫の騎士を追い求めるようになった。学校が終わる。ヒカルはいつものようにカオリと帰路につく。あと少しで家につくと言う時だった。
「あ、カオリ!わりぃ、宿題忘れてきたわ!」
「え?!もう、何してるのよ!」
「取ってくる!先に帰っててくれ!」
「わかったー!」
ヒカルは走った。とある交差点までたどり着く。日は沈みかけていた。紅い夕日が交差点を照らす。信号を待っていた時だった。それは現れる。気がつくと信号を渡った先に赤紫の髪の騎士が立っていた。
「!?」
「……君は、この間の。」
「お、覚えてくれて……!」
「ここはあぶなっ……!」
騎士が何か言おうとした時、何かがこちらに高速で向かってきた。騎士はそれを弾き返してくれた。地面に刺さったそれは短剣だった。ゾクリと身動ぎする。
「少年!帰りなさい!!」
騎士はヒカルを守るようにヒカルの前に剣を構えて立つ。赤紫の騎士の前に赤黒い鎧を纏った騎士がいた。
「あ、あれは!」
ヒカルはソレに見覚えがあった。ヒカルがプレイしているゲームの雑魚敵である。ソレはソレにそっくりだった。
「少年、今ならまだ間に合う!走りなさい!」
赤紫の騎士はそういうとヒカルを突き飛ばす。思いっきり尻もちをついた。
「うわっ?!」
足元に剣が刺さった。突き飛ばさなれなければ刺さっていただろう。
赤紫の騎士は赤黒い鎧の騎士と剣を交える。それをヒカルはぼんやりと眺めていた。
「はぁっ!」
赤紫の騎士が赤黒い騎士を倒す。
「やった!」
ヒカルは何もしてないが赤紫の騎士が勝ったことにガッツポーズをしていた。赤紫の騎士が振り返る。
「少年。帰りなさい。」
「え?」
そう言われた途端に交差点から騎士達は消えていた。信号が変わる。
「……あれ?」
☆☆☆☆
「カオリ!見たんだ!また会えた!!」
「何がよ?」
ヒカルは宿題を学校から持ち帰ると興奮気味にカオリに電話した。
「赤紫の騎士だよ!」
「は?また変なこと言って!そんなのいないっ……」
「いる!いるんだ!」
「いいから早くゲーム始めるわよ?」
カオリは呆れた。
「だから、本当に……」
「いいから!約束でしょ?ゲームで西のダンジョン攻略するって!ヒカルが言い出したのに!」
「あー!カオリは頭が固いんだから……」
「なんか言った?(圧)」
「いや、何も。」
「よろしい!じゃあ、いつものカフェにダイブして!」
「はいはい。」
ヒカルはそう言って機械をつけると仮想世界にダイブした。いつものカフェに集合する。
「ヒカル!遅いってば!」
「カオリが早いんだよ。」
「さあ!ダンジョンへ……あ、あれ?」
「どうした?なんかアイテム買い忘れ?」
「それが、おかしいのよ。」
「は?何が?」
「西のダンジョンへのテレポート先の名前が二葉町になってて……」
「は?カオリ寝ぼけてるのか?」
そんなはずは無い。現実世界の都市の名前が仮想世界に反映されるなんて事は今までなかった。
「見て見てよ!」
そう言ってカオリは地図を見せてくる。ヒカルは半信半疑で地図を覗きこんだ。
「?!」
そう、西のダンジョンだった場所は二葉町に名前が変わっていたのだ。
「なんだよ……これ。」
世界がおかしくなってゆく。それは前触れもなくやって来た。崩壊がやって来た。




