日常
物語を始めよう。これは君の物語。何処にでもいる普通の少年が…………——になる物語。
「おーい!ヒカル!起きなさい!起きなさいってば!!」
「あ?……」
「あ?じゃない!学校遅れるわよ!」
「?!」
ヒカル、そう呼ばれる少年は直ぐに起き上がった。否、飛び起きた。
「はー、だりぃー。」
「もう!あと少しで遅刻だったよ?!」
そういうのはヒカルの幼なじみの雪田カオリである。カオリはヒカルの家の隣に住んでいる。なので毎日学校に行く前にヒカルを起こしに来てくれるのだ。チャイムがなってホームルームが始まった。先生の適当な話なんて聞き流しながらホームルームが終わる。するとカオリの斜め後ろの女子達が何やら盛り上がっていた。
「聞いた?︎︎゛赤紫の騎士︎︎゛の話。」
「聞いた聞いた!なんでも二葉町の交差点に出るって噂のやつでしょ?」
「また出たんだって!」
また︎︎゛赤紫の騎士︎︎゛、かと、カオリはうんざりした顔だった。
︎︎゛赤紫の騎士︎︎゛。これはこの町で最近噂になっている怪談話である。
とある交差点に夕暮れの中現れる赤紫色の髪をした女騎士の話。騎士なんてこの現実世界にいるわけが無い。誰かの見間違いだろう。そう言われ続けているのに見たと言う人間が絶えない謎の怪談話である。
「なあ!今度は誰が見たって!?」
「ヒカル……!」
カオリはヒカルが目を輝かせると更にうんざりした。
「それがね、隣のクラスの山田さんなんだけど……」
ヒカルはこの話になると人が変わった。ヒカルは昔からゲーム世界と現実世界との区別が少し曖昧で、すぐに嘘に騙される。私がちゃんと見ててあげないと……!と、カオリは思った。
「こら!ヒカル!それより宿題やったの?ヒカル!?」
カオリのそんな声など聞こえないかのようにヒカルは教室を飛び出した。
「山田さーーんっ!!」
「きゃっ?!」
山田はヒカルの食らいつき気味の猛ダッシュに少し引いた。
「赤紫の騎士見たって本当?!」
「え、あ、うん。」
「何処で?!」
「それがよく覚えてなくて……。」
「えー!?」
「下校途中に歩いてたら気がつくとその交差点にいたの。」
「もっと詳しくっ!あっいて!?」
「こら、山田さん困ってるでしょ?!」
カオリはヒカルの耳を引っ張って教室まで帰ってゆく。それを山田は苦笑いで見送った。
「…………。」
不定期更新ですがよろしくお願いします。




