表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
他サイトで300万PV突破! 無能と蔑まれた能力値1の転生した元社畜のオッサンが、地球知識で爆鳴魔法を編み出し、常識を変える!  作者: だい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/115

第25話:王都のワケあり物件と、夜の同棲宣言

「――というわけだ。お前も十三歳、そろそろ『そういう時期』だろう。だが、王都の娼館には病の危険があり、貴族の令嬢どもは恐ろしい毒婦ばかりだ。お前に変な虫がつかないよう、ザラとレナには『夜の面倒』も含めてお前の世話をするよう私だけではなく、侯爵様からも頼んである。二人とも快諾してくれたぞ」


 ルミナス領を出発する直前。

 義父上ギデオンから真顔で告げられたその言葉が、王都に到着した今でも俺の脳内をぐるぐると駆け巡っていた。

(快諾してくれたぞ、じゃないんだよあの脳筋親父!! 十二歳で養子になったと思ったら、十三歳でもう妾(愛人)の斡旋かよ! 貴族社会どうなってんだ!!)


 馬車の中で頭を抱え、血の涙を流す俺。

 そんな絶賛パニック中の俺をよそに、王都での新生活は慌ただしく幕を開けた。


 王立魔法学院の学生寮には「専属護衛」や「メイド」を連れ込むことはできない。必然的に、学園に通いやすい王都の中心部で、俺たち三人の『拠点(家)』を探す必要があったのだが――。


「……不動産屋の親父さん。この物件、相場の三分の一以下の値段だけど、どういうこと?」


 案内されたのは、閑静な立地にある立派な一軒家。だが、家の中にはどこか陰鬱な空気が漂い、床には不自然なシミがいくつも残っていた。


「あー、お客さん、お目が高い! 実は前の住人がここでちょっと……『派手な事件』を起こしましてね。血のシミも落ちないし、夜な夜なポルターガイスト現象が起きるとかで、誰も寄り付かない『ワケあり物件』なんですよ」


 不動産屋の親父が、足元を見透かしたような下卑た笑みを浮かべる。

 田舎から出てきた世間知らずの学生に、不良債権を押し付けようという魂胆だろうが、相手が悪かった。


「ポルターガイスト? ああ、ただの微弱な風の魔力が溜まってますね。シミについては……『クリーン』」


 俺が指を鳴らした瞬間、微細な砂が混じった水球が、床の血痕ばかりか、汚れなども綺麗にして行く。

ザラとレナも手伝い、やがて家は新築同様の輝きを取り戻した。


「なっ……!?」

「シミは消えました。霊障の類もありません。……で、親父さん。どう言うつもりかは知らないが、バルガス家だと伝えておいたのに事故物件とは、随分と舐めた真似してくれましたね。」

 

俺が前世の営業スマイルで圧をかけると同時、背後に立つザラが眼帯の奥の瞳を細め、強烈な殺気を放った。

不動産屋の親父は、自分が甘く見ていた世間知らずの田舎貴族のボンボンが、塩漬け物件を押し付けるカモどころか、危険な匂いをさせていることに気が付いて震えていた。


ケントは震えている親父に近づき、目を合わせながら


「この家は、本当はもっと安いのではありませんかね?」


と、とてもいい笑顔で静かに聞いた。


「ヒッ!? わ、わかりました! 言った値の半額で!!」


 かくして。元社畜の契約交渉スキルとザラの威圧感により、俺たちは王都の中心部にある豪邸を、破格の安値で手に入れることに成功したのだった。




 ――そして、引っ越しの片付けも終わり、王都の夜が更けた頃。


 広々とした新居のリビングで、俺は一人、挙動不審な動きをしながら、汗を流し小さく震えていた。

……まるで〇俗の待合室で呼び出しを待っている童貞のように


(一つ屋根の下に、あの色気お化けの美魔女と未亡人お姉さんがいる…、しかも閣下や義父上公認で、『そういう事』をしてもいい関係性として……! い、いや落ち着け!俺は前世では風〇店のスタンプカード貯め切った男。ど、童貞とちゃうんや!)


 前世の枯れたはずのおっさんの魂が、かつてないほどの熱量で胸を焦がす。ソワソワと落ち着かず、無意味に立ち上がっては座るという挙動不審を繰り返していると、ガチャリとリビングの扉が開いた。


「ケント様。夜食のスープをお持ちしましたよ。……ふふっ、先ほどから落ち着かないご様子ですね?」


 お盆を手に入ってきたのは、専属メイドのレナだった。

 寝る前だからか、メイド服ではなくゆったりとしたルームウェアを着ている。その薄い生地越しでも分かる豊満な胸の膨らみに、俺は思わず目を逸らした。


「あ、ありがとう、レナ。……いや、その、義父上から出発前に変なこと言われたのを思い出して……」


 誤魔化しきれないと悟った俺が正直に白状すると、レナはスープをテーブルに置き、俺の隣にそっと腰を下ろした。ほのかに甘い、石鹸の香りが鼻をくすぐる。


「……旦那様からの『依頼』のことですね」


 レナは静かに微笑んだ。その瞳には、メイドとしての一線を超えた、真っ直ぐな熱が宿っていた。


「私は未亡人ですし、今さら別の貴族に嫁ぐ気も、恋人を作る気もありません。あの依頼には当然報酬も発生しますが……私が引き受けたのは、それだけが理由ではないんですよ」

「え……?」

「私は、ケント様のことを憎からず思っております。ですから……その、夜のことも、義務ではなく、私の意思でお受けしたんです」


 頬を赤く染め、上目遣いで見つめてくる二十三歳の色気。

 完全に退路を断つ大人の余裕とストレートな好意に、俺の心臓は早鐘のように打ち鳴らされた。中身四十三歳の理性が、音を立てて崩壊していく。


「あー、抜け駆けはずるいぞ、レナ」


 その時。風呂上がりなのか、濡れた髪をタオルで拭きながらザラがリビングに入ってきた。

 はだけたシャツの胸元から、暴力的なまでの谷間が覗いている。彼女はニヤリと笑い、俺のもう片方の隣にドカッと座り込んだ。


「アタシぁ貴族の小難しい事情はよくわかんねぇが、まあ、そういうこった。アタシは普通に、あんたという「男」に惚れてるからな。今日からは、遠慮なく食ってやるから覚悟しとけよ?」

「――――ッ!?」


 ニカッと豪快に笑う三十路の美魔女と、しなだれかかるように寄り添ってくる二十三歳の未亡人メイド。

 右から左から襲い掛かる強烈な大人の香りと柔らかさに、俺の理性と血圧は限界を突破した。


「……よ、よろしくおねがいしますッ!!」


 俺と二人の姿と声は、王都の夜の闇に吸い込まれていく。

 

魔法の革命児であり、国を揺るがす劇薬と恐れられる元社畜の少年。

 だが、最高に魅力的なお姉さん二人と同棲することになった彼にとって、王都での生活は暗殺者や貴族の派閥争いよりも遥かに恐ろしい『欲望に溺れない』事になることが確定したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ